【実践ガイド】飛行機の耳抜き方法とベストなタイミングを解説
飛行機の耳抜きで大切なのは、痛くなってから慌てて行うのではなく、気圧が変化し始めた段階で早めに対処することです。
特に着陸時は、耳管が開きにくくなる前から飲み込む動作を繰り返すと、耳の負担を軽減しやすくなります。
まず試したい基本の耳抜き方法5つ
1. 水や飲み物を飲む
最も手軽な方法です。
少量の水を口に含み、ゆっくり飲み込みます。嚥下によって耳管が一時的に開き、中耳の圧力を調整しやすくなります。
一度に大量に飲む必要はありません。少量ずつ、こまめに飲むのがポイントです。
2. あくびをする
口を大きく開け、自然にあくびをするように顎を動かします。
あくびをすると耳管周辺の筋肉が動き、圧力調整を助けます。実際に眠くなくても、あくびの動きを意識的に再現してみましょう。
3. ガムを噛む
ガムを噛む動作は、顎の筋肉を動かしながら唾液を飲み込む回数を増やせるため、耳抜きの補助になります。
着陸前から噛み始めておくと、耳が痛くなる前に対処できます。
4. トインビー法
鼻をつまんだ状態で唾液を飲み込む方法です。
嚥下によって耳管を開き、圧力の調整を促します。バルサルバ法のように息を押し出す必要がないため、最初に試す選択肢としても適しています。
5. バルサルバ法
一般的に「耳抜き」として知られる方法です。
鼻をつまみ、口を閉じた状態で、ごく軽く鼻から息を出すように圧力をかけます。耳の奥で軽く抜ける感覚があれば、そこで終了します。
無理に何度も繰り返したり、強くいきんだりする必要はありません。
バルサルバ法の正しいやり方と注意点
バルサルバ法は、手順を間違えると耳に余計な負担をかける可能性があります。
基本的な流れは次のとおりです。
1. 鼻を軽くかむ。強くかみすぎないようにする。
2. 息を軽く吸い込む。
3. 口を閉じ、両方の鼻を指でつまむ。
4. 鼻からごく弱く息を出すようにする。
5. 耳に圧力が抜ける感覚があれば、すぐに力を緩める。
重要なのは、力任せに息を吹き込まないことです。
耳管が炎症などで塞がっているときに強く圧力をかけると、鼓膜や内耳を傷めるリスクがあります。
藤田医科大学の中部国際空港診療所や日本航空の案内でも、耳抜きを強く行わないよう注意が呼びかけられています。
トインビー法とバルサルバ法はどう違う?
両者の違いは、圧力を調整する際の動作です。
| 比較項目 | トインビー法 | バルサルバ法 |
|---|---|---|
| 基本動作 | 鼻をつまんで唾を飲む | 鼻をつまんで軽く息を出す |
| 圧力のかけ方 | 嚥下運動を利用 | 呼気による圧力を利用 |
| 特徴 | 息を強く押し出さずに行える | 圧力を直接調整しやすい |
| 注意点 | 鼻づまりが強いと難しい場合がある | 強く行うと耳を傷める可能性がある |
| おすすめの順番 | 基本的な方法として先に試す | 嚥下などで改善しない場合に慎重に試す |
どちらが必ず優れているというわけではありません。耳管の状態や鼻づまりの程度によって、適した方法は異なります。
離陸時と着陸時、耳抜きはいつ行うべき?
日本航空の案内によると、機内の気圧変化は離陸後の上昇時と着陸前の下降時、それぞれ約15〜30分間に起こります。
| 飛行の段階 | 耳の状態・気圧変化 | おすすめの対処 |
|---|---|---|
| 離陸・上昇時 | 機内の気圧が低下する | 水を飲む、あくびをする |
| 水平飛行時 | 気圧変化が比較的小さい | 必要に応じて嚥下する |
| 着陸前・下降開始 | 機内の気圧が上昇する | 早めに水を飲み、こまめに耳抜き |
| 着陸直前 | 耳の圧力差が大きくなる場合がある | 痛みが出る前から嚥下を繰り返す |
| 着陸後 | 耳の詰まりが残る場合がある | 無理をせず、症状を確認する |
特に注意したいのは、着陸時に寝てしまうことです。
睡眠中は起きているときより飲み込む回数が減るため、自然な耳管の開閉が少なくなります。着陸前はできるだけ起きておき、意識して水を飲んだり、あくびをしたりしましょう。
【緊急対処】飛行機で耳抜きできないときはどうする?
耳抜きをしても耳が抜けない場合、焦って何度も強く息を送り込むのは避けてください。
耳管が開かない原因が鼻の炎症や粘膜の腫れにある場合、無理な圧力をかけても改善しないことがあります。
耳抜きできないときに試したい対処法
次の順番で、負担の少ない方法から試してみましょう。
STEP1:いったん力を抜く
強い耳の痛みがある場合は、バルサルバ法を繰り返さないようにします。
STEP2:水を少量飲む
少しずつ水を飲み、自然な嚥下運動を促します。
STEP3:顎を動かす
口を開けたり閉じたり、顎を左右に動かしたりしてみましょう。無理に大きく動かす必要はありません。
STEP4:トインビー法を試す
鼻を軽くつまみ、唾液を飲み込みます。息を強く送り込む必要はありません。
STEP5:改善しなければ無理をしない
強い痛みや違和感が続く場合は、耳抜きを中断して客室乗務員に相談しましょう。
鼻づまりがあるときの耳抜きは要注意
風邪や花粉症で鼻が詰まっていると、耳管の開閉が妨げられる場合があります。
特に次のような状態では、耳抜きが難しくなる傾向があります。
- 鼻水が多く、鼻呼吸がしにくい。
- 鼻の奥が腫れている。
- 副鼻腔炎による顔面の圧迫感がある。
- 風邪をひいていて、喉や鼻に炎症がある。
成人の場合、医師や薬剤師に相談したうえで、適切な点鼻薬や鼻づまりの薬を使用する選択肢があります。Mayo Clinicも、航空性中耳炎の対処として点鼻タイプや内服タイプのうっ血除去薬を紹介しています。
ただし、薬を使用すれば必ず耳抜きができるわけではありません。血管収縮性点鼻薬は使いすぎると反動で鼻づまりが悪化することもあるため、製品の用法・用量を守る必要があります。
また、強い鼻づまりや耳・副鼻腔の感染症がある場合は、搭乗を延期することも含めて医師に相談してください。
耳抜きができないまま着陸したら?
着陸後に耳が詰まっていても、軽症であれば時間の経過とともに改善することがあります。
藤田医科大学の中部国際空港診療所も、軽症では数分から数時間で症状が治まることが多いと説明しています。
ただし、次の症状がある場合は注意が必要です。
- 強い耳の痛みが続く。
- 耳鳴りが突然出てきた。
- 聞こえが明らかに悪くなった。
- めまいがする。
- 耳から血液や液体が出ている。
特に急な難聴や強い耳鳴り、めまいは、単なる耳詰まりとして放置してはいけません。早急に耳鼻咽喉科を受診してください。
徳洲会グループの2025年5月26日付の医療解説でも、飛行機を降りた後に耳鳴りや難聴が現れた場合は、速やかな耳鼻咽喉科受診が必要とされています。
【子ども・赤ちゃん対策】飛行機の耳抜きは年齢によって方法が違う
子どもや赤ちゃんは、大人と同じ方法で耳抜きをするのが難しいため、年齢に合わせた対策が必要です。
特に赤ちゃんは、自分で耳の違和感を説明できません。着陸時に突然泣き始めたり、不機嫌になったりする場合、耳の痛みが原因になっている可能性があります。
赤ちゃんの耳抜きは授乳・ミルク・おしゃぶりが基本
赤ちゃんには、鼻をつまんで息を出すバルサルバ法をさせることはできません。
その代わり、自然に飲み込む動作を促す方法が役立ちます。
おすすめの方法は次の3つです。
1. 授乳する
母乳を飲む動作によって、自然な嚥下運動が起こります。着陸前の下降時に合わせて授乳できるよう、タイミングを調整するとよいでしょう。
2. 哺乳瓶でミルクを飲ませる
ミルクを飲むことで、赤ちゃんが繰り返し飲み込む動作を行えます。哺乳瓶を使う場合は、赤ちゃんを起こして上体を起こした姿勢で飲ませ、無理に飲ませないようにします。
3. おしゃぶりを使う
おしゃぶりを吸う動作も、唾液を飲み込むきっかけになります。授乳やミルクが難しい場合の補助として活用できます。
米国疾病予防管理センター(CDC)の2026年版Yellow Bookでも、乳児には授乳や哺乳瓶を吸うこと、年長の子どもにはガムを噛むことが、下降時の耳の圧力調整に役立つと説明されています。
子どもの耳抜きで気をつけたいこと
幼児や小学生には、年齢や発達に応じて次の方法を取り入れましょう。
- 水やジュースを少量ずつ飲ませる。
- あくびをするように声をかける。
- 安全にガムを噛める年齢なら、ガムを活用する。
- 着陸前はできるだけ起きて過ごさせる。
- 耳が痛いと訴えたら、無理な耳抜きをさせない。
特に飴や硬いキャンディーは、幼い子どもには窒息の危険があります。年齢や咀嚼能力を考慮し、無理に使用しないでください。
また、子どもに市販の風邪薬や鼻づまりの薬を自己判断で飲ませるのも避けたいところです。
CDCの2026年版Yellow Bookでは、子どもの飛行機での耳痛に対して、抗ヒスタミン薬やうっ血除去薬の有効性は示されていないと説明されています。特に4歳未満へのうっ血除去薬の使用には注意が必要です。
中耳炎のある子どもは飛行機に乗っても大丈夫?
中耳炎の治療中や、耳の奥に液体がたまっている場合は、搭乗前に小児科または耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
CDCは、飛行機での移動が中耳炎の症状や合併症を悪化させるという根拠はないと説明しています。一方、実際の搭乗可否は症状や耳の状態によって異なります。
次のような場合は、特に事前相談をおすすめします。
- 発熱や強い耳の痛みがある。
- 耳だれが出ている。
- 中耳炎の治療を始めたばかり。
- 過去のフライトで強い耳痛を経験している。
- 耳の手術を受けたことがある。
子どもの旅行では、耳抜きの方法だけでなく、搭乗前の健康状態を確認することも大切です。
【予防と注意点】飛行機用耳栓の効果や航空性中耳炎の対策
耳抜きが苦手な人にとって、搭乗前の準備は大きな意味を持ちます。
特に毎回着陸時に耳が痛くなる人は、耳抜きの方法を覚えるだけでなく、鼻の状態や補助用品についても確認しておきましょう。
飛行機用耳栓にはどのような効果がある?
飛行機用耳栓には、気圧変化を緩やかにすることを目的としたフィルター付きの製品があります。
一般的な耳栓が主に騒音を遮るのに対し、飛行機用の気圧調整タイプは、耳にかかる圧力変化を緩和することを目的に設計されています。
ただし、医学的な効果については慎重に考える必要があります。
2010年に医学誌『Aviation, Space, and Environmental Medicine』に掲載された無作為化比較試験では、気圧調整耳栓によって被験者の主観的な不快感は改善しましたが、耳管機能そのものの改善は確認されませんでした。
さらに2005年の研究では、気圧調整耳栓による航空性中耳炎の予防効果は確認されていません。
つまり、飛行機用耳栓は補助用品として検討できますが、耳抜きの代わりにはなりません。
飛行機用耳栓が向いている人・注意したい人
| 利用者 | 考え方 |
|---|---|
| 機内の騒音が気になる人 | 遮音目的で利用を検討できる |
| 気圧変化が苦手な人 | 補助用品として試す選択肢がある |
| 着陸時に毎回耳が痛くなる人 | 耳栓だけに頼らず耳鼻科に相談する |
| 鼻づまりや中耳炎がある人 | 医師に相談してから利用する |
| 赤ちゃん | 製品の対象年齢・使用上の注意を確認し、通常は授乳や吸啜を優先する |
搭乗前にできる5つの予防策
1. 風邪や鼻炎を治療しておく
搭乗前から鼻づまりがある場合は、医師に相談しておきましょう。
2. 水やガムを用意する
離陸時・着陸時にすぐ使えるよう、飲み物やガムを準備します。
3. 耳抜きの方法を事前に練習する
バルサルバ法やトインビー法は、地上で無理のない範囲で手順を確認しておくと安心です。強く息を出す練習は必要ありません。
4. 着陸前に寝ないようにする
下降中は意識的に水を飲み、耳管の開閉を促しましょう。
5. 過去に航空性中耳炎を繰り返した人は耳鼻科を受診する
毎回痛みが出る人や、耳抜きが極端に苦手な人は、搭乗前に耳の状態を調べてもらうことが有効です。
【よくある質問】飛行機の耳抜きに関するFAQ
Q1:飛行機の耳抜きは離陸時と着陸時のどちらで行うべき?
A1:どちらも気圧が変化するため、必要に応じて行いましょう。特に着陸前の下降時は耳が痛くなりやすいため、下降が始まった段階から水を飲んだり、あくびをしたりすることが大切です。
Q2:飛行機で耳抜きができないとき、無理にバルサルバ法をしても大丈夫?
A2:おすすめできません。強く息を送り込むと鼓膜や内耳を傷める可能性があります。まずは水を飲む、あくびをする、トインビー法を試すなど、負担の少ない方法を優先してください。痛みが強い場合は中断しましょう。
Q3:飛行機で赤ちゃんの耳抜きはどうすればいい?
A3:授乳、哺乳瓶、おしゃぶりなどで吸う・飲み込む動作を促す方法がおすすめです。特に着陸前の下降時に合わせて活用するとよいでしょう。赤ちゃんに大人と同じバルサルバ法をさせる必要はありません。
まとめ:飛行機の耳抜きは「痛くなる前」が成功のポイント
飛行機で耳が詰まったり痛くなったりする原因は、機内の気圧変化に耳管の調整が追いつかなくなることです。特に着陸時は中耳と機内の圧力差が大きくなりやすく、航空性中耳炎につながることがあります。
【プロの結論】として、飛行機の耳抜きで覚えておきたいポイントは次の5つです。
1. 耳抜きは早めに始める: 痛みが出てからではなく、離着陸時の気圧変化に合わせて行う。
2. 負担の少ない方法から試す: 水を飲む、あくびをする、ガムを噛む、トインビー法を活用する。
3. バルサルバ法は優しく行う: 強い圧力をかけず、耳が抜けたらすぐにやめる。
4. 子どもや赤ちゃんには年齢に合った方法を使う: 授乳、ミルク、おしゃぶり、飲み物などで自然な嚥下を促す。
5. 症状が続く場合は耳鼻咽喉科を受診する: 強い痛み、難聴、耳鳴り、めまいなどを放置しない。
飛行機用耳栓は補助用品として利用できますが、確実な予防策ではありません。また、鼻づまりや中耳炎がある場合は、搭乗前に医師へ相談することが大切です。
飛行機での耳の痛みは、正しいタイミングと方法を知っておくだけでも軽減できる可能性があります。次の旅行では、着陸前の下降が始まるタイミングを意識し、無理のない耳抜きを心がけましょう。 (出典: 飛行機 耳 抜き(Yahoo!ニュース))