【ネタバレ考察】三隅の供述が変わる理由と事件の真相

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【ネタバレ考察】三隅の供述が変わる理由と事件の真相
【ネタバレ考察】三隅の供述が変わる理由と事件の真相
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ネタバレあり

ここからは、物語の核心に踏み込みます。『三度目の殺人』を観終わった人が最も気になるのは、三隅が本当に社長を殺したのか、なぜ供述を変え続けたのかという問題でしょう。

本作には、一般的なミステリーのように最後に犯人の動機と犯行の全容を明確に説明する場面がありません。判決が下されたとしても、観客が事件の真相を完全に理解できるとは限らない構成になっています。

三隅の供述はどのように変わったのか

三度目の殺人原作
【画像】三 度目 の 殺人 原作 関連ショット

物語の進行に伴い、三隅が語る事件の説明は大きく揺れ動きます。

最初の説明では、金銭目的の強盗殺人として事件を認めています。しかし、重盛が調査を進めるなかで、被害者の妻・美津江から殺害を依頼されたという話が出てきます。単純な金銭目的だったはずの事件に、保険金や家族の事情が絡む可能性が浮上するのです。

さらに、被害者の娘である咲江と三隅の関係が見えてくると、それまで重盛が組み立てていた弁護の筋書きも崩れていきます。

重要なのは、供述の変化によって事件の構図だけでなく、三隅という人物そのものの見え方が変わることです。

三隅が嘘をついているのか、それとも誰かを守っているのか

三度目の殺人原作
【写真】三 度目 の 殺人 原作 近影・注目カット

三隅の供述が変わる理由については、複数の解釈が成立します。

一つは、自分に有利な状況を作るために、相手の反応を見ながら話を変えているという見方です。弁護士の重盛がどのような情報を求めているのかを理解し、裁判に利用できる物語を提示している可能性があります。

もう一つは、咲江など自分以外の人物を守るために、あえて事件の説明を変えているという見方です。三隅と咲江の関係が明らかになることで、彼の言動を単なる自己保身だけでは説明できなくなります。

ただし、どちらか一方が映画によって確定された答えではありません。

ここで参考になるのが、是枝監督の制作時の発言です。愛知県フィルムコミッション協議会のインタビューでは、三隅を重盛の理解の半歩外側に置くように設定したと説明しています。

さらに、脚本の制作途中では、咲江が殺したという方向に物語が大きく動いたことも明かしています。しかし、それは制作過程で検討された展開の一つであり、完成した映画において咲江が犯人だと確定したことを意味しません。

この制作秘話から分かるのは、監督自身も三隅を一つの答えに固定せず、人物の行動を追いながら物語を組み立てていたということです。

役所広司の演技が「本当のことを話しているのに信用できない」人物を生んだ

三度目の殺人原作
【資料】三 度目 の 殺人 原作 報道・メディア記録

三隅の謎を深くしているのは、役所広司の演技です。

シネマトゥデイのインタビューで、役所は監督に三隅の設定を尋ねても明確な答えを得られなかったと話しています。そのため、各シーンで三隅が語る内容を本人にとっての真実として演じたと説明しました。

この演技は非常に巧妙です。もし三隅が最初から嘘をついているように見えれば、観客は彼の言葉を疑うだけで済みます。しかし、三隅が毎回本当のことを語っているように見えるからこそ、観客は何を信じるべきか分からなくなります。

シネマトゥデイの取材では、役所と福山の接見室でのやり取りについて、映画の見どころとして7回の接見シーンが挙げられています。ほぼ座ったまま会話をする場面で、これほど強い緊張感を生み出せるのは、二人の表情と声の変化を丁寧に捉えた演出があるからです。

「三度目の殺人」というタイトルの本当の意味

タイトルについても、是枝監督は一つの解釈に限定していません。

映画.comのインタビューによると、監督は企画の初期から「一度目は獣が、二度目は人間が殺した」というテーマと結びつけてタイトルを考えていました。しかし、物語を書き進めるなかで、何をもって三度目と数えるのかという問題が生まれ、タイトルの意味合いも変化していったそうです。

観客の間では、三度目の殺人を司法による死刑の執行と解釈する見方や、事件をめぐる人々によって真実そのものが葬られるという解釈もあります。

実際、是枝監督は海外の映画祭で、観客側から「三度目に殺されたのは真実ではないか」という趣旨の解釈を聞き、興味深いと受け止めたことを公式サイトのティーチイン記録で紹介しています。

つまり、タイトルの意味を理解するためには、殺人事件の回数だけに注目する必要はありません。人間が人間を裁くこと、見たくない事実から目を背けること、そして真実が誰にも完全には理解されないことまで含めて考えると、作品の主題が見えてきます。

【原作と脚本の違い】小説版と映画版はどちらから楽しむべき?

『三度目の殺人』には原作小説がないため、一般的な原作付き映画のように「小説ではこうだったが、映画ではこう変更された」という比較はできません。

比較する対象は、是枝裕和監督が手がけた映画のオリジナル脚本と、映画を小説化した宝島社文庫版です。

映画と小説版の違い

両者の違いは、物語の出発点ではなく、表現方法にあります。

映画では、役所広司の表情や沈黙、福山雅治との視線の交錯、接見室の閉塞感など、映像と演技によって人物の心理を表現しています。観客は登場人物の説明を聞くだけでなく、その場の空気から意味を読み取る必要があります。

一方、小説版は文章によって物語を追えるため、映像とは異なるペースで人物や事件について考えられます。宝島社の紹介文でも、小説化によって物語の「真実」の先を描く作品として案内されています。

ただし、小説版にだけ存在する特定の犯人や、映画版とは異なる確定的な結末があると考えるのは適切ではありません。映画と小説の間にどのような細かな描写の差があるかを比較する場合は、実際に両方の作品を読む必要があります。

2017年から2026年までの作品情報と評価

映画の公開から2026年までの主な記録を整理すると、次のようになります。

時期出来事内容2009年構想開始累犯犯罪者を主人公とする物語を書き始める。2017年9月6日小説版発売宝島社文庫から映画のノベライズを刊行。2017年9月9日映画公開全国公開。第74回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品。2017年国際映画祭サン・セバスティアン、トロントなどでも上映。2018年3月2日日本アカデミー賞最優秀作品賞など主要6部門で最優秀賞を受賞。2026年作品の位置づけ原作付き映画ではなく、是枝裕和監督のオリジナル作品として位置づけられる。

特に注目したいのは、2018年の第41回日本アカデミー賞です。日本アカデミー賞公式記録によると、本作は次の6部門で最優秀賞を受賞しました。

  • 最優秀作品賞
  • 最優秀監督賞:是枝裕和
  • 最優秀脚本賞:是枝裕和
  • 最優秀編集賞:是枝裕和
  • 最優秀助演男優賞:役所広司
  • 最優秀助演女優賞:広瀬すず

作品賞だけでなく、脚本賞と編集賞も是枝監督が受賞している点は見逃せません。オリジナル脚本を執筆し、撮影中も編集を進めながら物語の着地点を探るという制作方法が、作品の完成度を支えていたことがうかがえます。

なお、映画は第74回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門にも正式出品されています。国内の賞だけでなく、国際的な映画祭でも紹介された作品です。

これらの受賞歴は、単に豪華キャストが出演した話題作というだけではなく、脚本、演技、編集を含めた映画全体の完成度が評価されたことを示しています。

【プロの結論】『三度目の殺人』は真犯人探しより人間の判断を考える映画

『三度目の殺人』を理解するうえで、最も大切なのは「原作がないから真相も分からない」という単純な話ではないことです。

この映画は、最初から一人の人物の視点だけで事件を説明する構成を避けています。三隅は自分の言葉を変え、重盛は依頼人を理解しようとしながらも、自分に都合のよい情報を選び取ってしまいます。咲江や美津江も、それぞれの立場から事件に関わっています。

そのため、観客も知らないうちに重盛と同じ立場に置かれます。自分が信じたい情報を集め、矛盾する情報を無視し、いつの間にか一つの結論を作り上げてしまうのです。

ここに本作の独自性があります。事件の謎を解くことだけを目的にすると、物語の結末に物足りなさを感じるかもしれません。しかし、司法の判断と人間の認識の違いを考える作品として観ると、接見室の会話や登場人物の沈黙まで違った意味を持ち始めます。

こんな人におすすめ・おすすめしにくい人

おすすめできる人

  • 犯人や動機が簡単には分からない心理サスペンスが好きな人
  • 福山雅治と役所広司の演技のぶつかり合いを楽しみたい人
  • 是枝裕和監督の人間描写や社会的なテーマに興味がある人
  • 映画を観た後に結末や登場人物の行動について考察したい人
  • 小説版と映画版の両方から同じ物語を味わいたい人

おすすめしにくい人

  • 最後に真犯人と犯行動機が完全に説明されるミステリーを求める人
  • 伏線がすべて回収される明快な結末を好む人
  • テンポの速いアクションや分かりやすい法廷逆転劇を期待する人

映画の結末に納得できなかった場合も、小説版を読んだり、もう一度映画を観たりすることで、人物の表情や会話に込められた意味を再発見できます。

【三度目の殺人の原作】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:映画『三度目の殺人』に原作小説はありますか?
A1:ありません。是枝裕和監督が原案・脚本・編集を手がけたオリジナル作品です。既存の小説や漫画を映画化したものではありません。

Q2:『三度目の殺人』の小説版はどこから出版されていますか?
A2:宝島社文庫から刊行されています。是枝裕和・佐野晶名義で、2017年9月6日に発売された293ページの小説化作品です。映画の原作ではなくノベライズに当たります。

Q3:『三度目の殺人』は実話や実在の事件がモデルですか?
A3:特定の実在事件をそのまま映画化した作品ではありません。是枝監督が2009年から温めていた累犯犯罪者の物語と、弁護士との対話から生まれたオリジナルストーリーです。司法関係者への取材や模擬裁判がリアリティーの土台になっています。

Q4:三隅高司は本当に殺人を犯したのでしょうか?
A4:映画は、観客が事件の真相を一つの答えに確定できるようには作られていません。三隅の供述、咲江との関係、重盛の判断などを踏まえ、複数の解釈が成立する結末になっています。

Q5:三隅高司が供述を変える理由は何ですか?
A5:自分を守るため、あるいは他人を守るためなど、さまざまな解釈ができます。是枝監督は三隅を重盛の理解の外側に置くように描いており、供述の変化そのものが人物の謎を深める仕掛けになっています。

Q6:『三度目の殺人』のタイトルにはどんな意味がありますか?
A6:監督は企画当初から、一度目と二度目の殺人を経た三度目というテーマを考えていました。ただし、物語が進むにつれて数え方や意味合いも変化しています。司法による殺人や真実の喪失など、複数の解釈が可能です。

まとめ:『三度目の殺人』は原作なしのオリジナル映画だからこそ面白い

映画『三度目の殺人』に原作小説はありません。是枝裕和監督が2009年から温めていた構想を発展させ、弁護士への取材や模擬裁判を経て完成させたオリジナル脚本の作品です。

一方、2017年9月6日には宝島社文庫から小説版が刊行されています。こちらは映画のノベライズであり、原作と映画の関係を逆に理解しないことが大切です。

制作背景を知ると、三隅の供述が変わる理由や、重盛が真実を追い始める過程、咲江の存在が物語に与える影響も、より深く理解できます。

2026年に改めて本作を観るなら、真犯人を当てることだけに集中せず、「自分はなぜその人物を信じたのか」「何を根拠に誰かを裁こうとしているのか」という視点を持つことをおすすめします。

原作がないからこそ、観客自身が物語の解釈に参加できる。それが『三度目の殺人』という作品の大きな魅力です。 (出典: 三 度目 の 殺人 原作(Yahoo!ニュース))