地震計の仕組みを徹底解説!振り子の原理から震度計・緊急地震速報まで
地震が発生したとき、地面のわずかな揺れを捉え、震源や地震の規模、各地の震度を明らかにするのが地震計です。その基本原理は、意外にもシンプルな「振り子の慣性」にあります。地面と一緒に動く装置の中で、おもりがその場にとどまろうとする性質を利用し、両者の相対的な動きから地震動を検出するのです。
しかし、実際の地震観測では、振り子の動きを電気信号に変える電磁式地震計、南北・東西・上下の3方向を測るセンサー、加速度を分析する震度計など、複数の技術が組み合わされています。2026年現在、気象庁や防災科学技術研究所(防災科研)が運用する観測網は、緊急地震速報や地震研究にも活用されています。地震計の原理から計測震度の算出方法、P波・S波との関係まで、実際の観測システムに沿って解説します。
📌 この記事の重要ポイントまとめ - 地震計の基本原理: 振り子の慣性を利用し、地面とおもりの相対運動から揺れを検出する。 - 電磁式地震計の仕組み: 磁石とコイルの相対運動を電圧に変換し、微弱な地震動を電気信号として記録する。 - 震度と緊急地震速報: 3方向の加速度記録から計測震度を算出し、P波の検知を利用してS波による強い揺れを予測する。
【基本原理】地震計の仕組みは振り子の慣性の法則で説明できる
地震計の仕組みを理解するために、まず押さえておきたいのが「慣性の法則」です。
慣性の法則とは、物体には現在の運動状態を保とうとする性質があり、外から力が加わらない限り、静止している物体は静止し続け、動いている物体は等速直線運動を続けるという物理法則です。
地震計は、この性質を利用して地面の揺れを測定します。
地面とおもりの動きに生じるズレが揺れを教える
一般的な振り子式地震計をイメージしてください。
装置の本体は地面に固定されています。その内部には、ばねや支点によって支えられたおもりが設置されています。
地震が発生すると、地面が横方向や上下方向に動きます。地面に固定された地震計の本体も、それに合わせて動きます。
一方、おもりは慣性によって急激な動きに追従しにくいため、本体とは異なる動きをします。
このとき発生するのが、地震計の本体と内部のおもりの相対運動です。
この相対的な変位や速度を測定することで、地面がどのように揺れたのかを把握できます。
ただし、おもりがどんな地震でも完全に静止しているわけではありません。実際には振り子の固有周期や減衰特性、地震動の周期によって動き方が変わります。
気象庁の地震観測に関する解説でも、振り子の固有周期より十分に短い周期の地震動では、おもりがほとんど動かず、地面との間に相対運動が生じる原理が説明されています。
昔の地震計と現在の地震計は何が違う?
初期の地震計は、振り子に取り付けたペンで紙や回転ドラムに揺れを記録する機械式でした。
地面が揺れると、振り子と記録装置の間に相対運動が生まれ、その動きが波形として残ります。
現在の地震観測では、機械的な動きを電気信号に変換する方式が広く利用されています。
その代表が電磁式地震計です。
電気信号に変換することで、微弱な振動を増幅したり、デジタルデータとして保存したり、遠隔地の観測施設へ送信したりできます。
つまり、地震計の基本原理は昔も現在も慣性に基づいていますが、記録方法が機械式から電子式・デジタル式へと進化したのです。
【電磁式地震計】動コイル型センサーは揺れをどう電気信号に変える?
現在の地震観測で重要な役割を担っているのが、電磁誘導を利用した電磁式地震計です。
特に微弱な地震動の観測では、動コイル型地震計が活躍しています。
磁石とコイルによって電圧が発生する仕組み
動コイル型地震計の内部には、主に次の部品があります。
- 振り子のおもり
- コイル
- 永久磁石
- 支持機構
- 電気信号の増幅・記録装置
コイルは振り子のおもり側に取り付けられ、その周囲には磁石による磁場が形成されています。
地震が発生すると、地震計の本体と内部のおもりの間に相対運動が発生します。
すると、コイルと磁石の位置関係が変わり、電磁誘導によってコイルに電圧が生じます。
この現象は、ファラデーの電磁誘導の法則によって説明できます。
重要なのは、コイルが磁場の中を動く速度に応じて電圧が発生する点です。
したがって、一般的な動コイル型地震計は、振り子の速度に対応する電気信号を取り出す速度地震計として利用されます。
地震計の信号が記録されるまでの流れ
地震計が揺れを検出してからデータとして記録されるまでには、いくつかの段階があります。
① 地面の揺れ
地震波が観測地点に到達する
② 振り子の相対運動
慣性によって本体とおもりの間にズレが生じる
③ 電磁誘導
磁石とコイルの相対運動から電圧が発生する
④ 信号処理・デジタル記録
電気信号を増幅・変換して波形データとして保存する
⑤ 地震観測・解析
震源、地震の規模、地震動の特徴などを分析する
気象庁の地震観測に関する技術資料によると、動コイル型電磁式地震計は、Hi-netで利用されている高感度地震計にも採用されています。
また、非常に大きな地震動では、従来型の振り子が可動範囲を超えてしまう場合があります。そこで、振り子の位置をフィードバック制御によって保つフォースバランス型加速度計が使われます。
これは振り子の位置のズレを電気的な力で打ち消し、その制御に必要な力から加速度を測定する方式です。
電磁式地震計といっても、すべてが同じ方式で動作するわけではありません。観測対象や必要な感度、測定範囲によってセンサーの構造が異なります。
【3方向の観測】南北・東西・上下を測る理由と速度計・加速度計の違い
地震の揺れは、単純に左右へ動くだけではありません。
地面は南北方向、東西方向、上下方向の3次元で動きます。そのため、地震計では互いに直交する3方向の地震動を観測することが基本です。
南北・東西・上下の3成分で地面の動きを捉える
3成分の観測方向は次のとおりです。
- 南北成分(NS): 南北方向の水平な揺れを測定する。
- 東西成分(EW): 東西方向の水平な揺れを測定する。
- 上下成分(UD): 地面が上下に動く揺れを測定する。
この3方向の情報を組み合わせることで、地震動の立体的な特徴を把握できます。
例えば、震源から伝わってくる地震波には、横方向に揺れる成分だけでなく、上下方向に地面を動かす成分も含まれています。
上下動を測定しなければ、地震の全体像を正確に把握することはできません。
また、地震計の設置方向や水平面の調整も重要です。観測軸が正しく設定されていなければ、本来とは異なる方向の揺れが記録される可能性があります。
速度計と加速度計は何が違う?
地震計を理解するうえで混同しやすいのが、速度計と加速度計です。
両者は同じ地面の揺れを観測しますが、記録する物理量が異なります。
速度計
単位:m/s、m/sなど
地面がどれくらいの速さで動いているかを記録する。微弱な地震動の観測などに利用される。
加速度計
単位:m/s²、gal
地面の速度がどれほどの割合で変化しているかを記録する。強震観測や震度の算出に利用される。
速度と加速度の関係は、物理学では次のように表されます。
\[
a(t)=\frac{dv(t)}{dt}
\]
ここで、\(v(t)\) は速度、\(a(t)\) は加速度です。
速度が時間とともにどれだけ変化したかを表したものが加速度です。
一方、速度を時間について積分すると変位が求められます。
\[
v(t)=\frac{dx(t)}{dt}
\]
ここで、\(x(t)\) は変位です。
つまり、変位・速度・加速度は別々の現象ではなく、同じ地震動を異なる物理量で表したものです。
速度計と加速度計の比較
| 比較項目 | 速度計 | 加速度計 |
|---|---|---|
| 測定する量 | 速度 | 加速度 |
| 主な単位 | cm/s、m/s | gal、m/s² |
| 代表的な方式 | 動コイル型 | フォースバランス型など |
| 主な用途 | 微弱な地震動の観測 | 強震観測、震度計 |
| 観測上の特徴 | 速度の時間変化を記録 | 加速度の時間変化を記録 |
なお、どちらが優れているという単純な関係ではありません。
微弱な地震波を精密に捉えたいのか、大きな地震動を振り切れずに記録したいのかによって、適切なセンサーが変わります。
気象庁の強震観測に関する資料でも、強い地震動を記録する目的では加速度計が主に用いられると説明されています。
【観測網の全貌】気象庁・K-NET・Hi-netは何が違う?
地震計は、全国各地に設置され、観測データを相互に利用できるようにネットワーク化されています。
日本の地震観測を支える代表的な組織が、気象庁と国立研究開発法人防災科学技術研究所です。
それぞれの観測網は目的が異なり、微弱な地震から大きな揺れまで、異なる特徴を持つデータを収集しています。
主要な地震観測網の役割を比較
| 観測網・機関 | 観測の特徴 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 気象庁の地震観測網 | 全国の地震計・震度計による観測 | 震源決定、地震情報、緊急地震速報 |
| K-NET | 約20km間隔の地表強震観測 | 強い地震動の記録、被害分析 |
| Hi-net | 地下深くに設置した高感度地震計 | 微小地震の検出、震源決定 |
| KiK-net | 地表と地中のペアによる強震観測 | 地盤による揺れの変化の分析 |
| 震度観測網 | 3成分の加速度記録を利用 | 計測震度の算出、震度発表 |
K-NETは強い揺れを記録するための観測網
防災科学技術研究所が運用
1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を契機として整備され、1996年6月に運用を開始しました。
防災科研の公開資料によると、K-NETは2025年4月1日時点で全国1,039か所の観測点を持ち、おおむね20km間隔で配置されています。
観測点の多くは地表に設置されており、実際の地盤がどのように揺れたのかを詳細に記録します。
そのデータは、建物や地盤の被害分析、地震防災、地震ハザード評価などに利用されています。
Hi-netは人が感じない微小な地震も捉える
高感度地震観測網
防災科研の公開情報によると、全国約800か所に高感度地震計が設置されています。
大きな特徴は、地表の雑音を避けるため、地震計が地下100〜3,500m程度の井戸の底に設置されていることです。
観測された信号は防災科研へ常時伝送され、震源の位置を決める震源決定などに活用されています。
地表では人や車両、工場などによる振動が発生します。地中深くにセンサーを設置することは、こうした雑音の影響を抑えて微小な地震波を捉えるうえで効果的です。
KiK-netは地表と地中を同時に観測する
特徴は、同じ観測施設に地表と地中の強震計を設置していることです。
防災科研の資料では、2025年4月1日時点で全国695か所に観測施設が整備されています。
地表と地中で同じ地震を観測することで、地盤を通過する際に地震波がどのように変化するのかを比較できます。
例えば、地下の硬い地盤では比較的小さな揺れだったものが、地表に到達するまでに大きく増幅される場合があります。
こうした現象を研究するために、KiK-netの観測データは重要な役割を担っています。
2026年は強震動データの活用も進展
防災科研は2026年7月22日、強震動データプラットフォームの開発と試験運用開始を発表しました。
同プラットフォームでは、K-NET・KiK-netで取得された1996年から2024年までの強震観測記録を対象に、地震の発生時刻やマグニチュード、震源位置、観測地点などの条件からデータを検索できる仕組みが整備されています。
観測するだけでなく、蓄積された波形を研究や防災対策に生かす環境も進化しています。
【震度計の仕組み】計測震度は3方向の加速度からどう算出する?
地震計の仕組みを理解したら、次に知っておきたいのが震度計です。
地震が発生すると、ニュースやスマートフォンの速報では「震度4」「震度5強」などの情報が発表されます。
この数値は、人が感じた揺れの印象をそのまま数値化したものではありません。
現在の日本では、計測震度計が観測した加速度波形をデジタル処理することで計測震度を算出しています。
震度計は加速度を測定している
気象庁によると、1996年4月以降、震度は計測震度計によって自動的に観測・速報される体制になっています。
震度計は、南北・東西・上下の3成分の加速度を記録します。
しかし、単純に3方向の最大加速度を比較して、一番大きな値を震度に換算しているわけではありません。
地震による揺れは、加速度の大きさだけでなく、周期や継続時間によっても人や建物への影響が変わるからです。
そのため、計測震度の算出には、周波数特性を補正するデジタルフィルターが使われます。
気象庁が公開する計測震度の算出方法
気象庁の公式資料では、計測震度の算出方法が具体的に公開されています。
基本的な処理は次の6段階です。
3方向の加速度波形を記録する
南北・東西・上下の3成分について、それぞれの加速度データを取得します。
フーリエ変換を行う
3成分それぞれの波形を周波数領域に変換します。
周期特性を補正する
地震波の周期による影響を考慮するため、所定のフィルターを適用します。
逆フーリエ変換を行う
補正したデータを時間領域の波形に戻します。
3成分の波形をベクトル合成する
3方向の揺れを合成し、揺れの大きさを求めます。
計測震度を計算する
合成波形が一定の加速度以上になる時間の合計が0.3秒となる加速度値を求め、計算式に当てはめます。
計測震度を求める計算式は次のとおりです。
\[
\boxed{I=2\log_{10}a+0.94}
\]
- \(I\):計測震度
- \(a\):合成加速度波形の絶対値が0.3秒にわたって超えるしきい値(gal)
ここでいう0.3秒は、合成波形の絶対値がしきい値以上になる時間の合計です。
例えば、気象庁が公開している2000年10月6日の鳥取県西部地震の米子市の計算例では、計測震度は5.1とされています。計算に使われたしきい値は127.85galです。
計測震度と震度階級の対応表
計算された計測震度は、次の基準に従って10段階の震度階級に換算されます。
| 震度階級 | 計測震度 |
|---|---|
| 震度0 | 0.5未満 |
| 震度1 | 0.5以上1.5未満 |
| 震度2 | 1.5以上2.5未満 |
| 震度3 | 2.5以上3.5未満 |
| 震度4 | 3.5以上4.5未満 |
| 震度5弱 | 4.5以上5.0未満 |
| 震度5強 | 5.0以上5.5未満 |
| 震度6弱 | 5.5以上6.0未満 |
| 震度6強 | 6.0以上6.5未満 |
| 震度7 | 6.5以上 |
最大加速度が大きければ震度も大きいのか?
必ずしもそうではありません。
気象庁は、最大加速度と震度が単純に比例するわけではないことを説明しています。
計測震度には、揺れの周期や継続時間が反映されるためです。
例えば、短時間だけ非常に大きな加速度が発生した場合と、比較的長い時間にわたって強い揺れが続いた場合では、最大加速度が同じでも計測震度が異なる可能性があります。
また、地盤や地形によっても、同じ地震で観測される揺れ方は変わります。
2003年5月26日の宮城県沖の地震では、大船渡市大船渡町で東西方向に1,105.5galという大きな加速度が記録されましたが、その地点では被害がほとんどありませんでした。
この事例からも、最大加速度だけで地震の危険性や震度を判断することはできないと分かります。
【緊急地震速報との関係】地震計はP波を検知してS波の到達を予測する
地震計が社会の安全に直接関わる代表的な仕組みが、緊急地震速報です。
なぜ、まだ大きな揺れが届いていない地域に対して、地震の発生を知らせることができるのでしょうか。
その答えは、地震波の伝わる速さの違いにあります。
P波とS波には伝わる速度の違いがある
地震が発生すると、震源から地震波が周囲に伝わります。
代表的な地震波がP波とS波です。
| 比較項目 | P波 | S波 |
|---|---|---|
| 名称 | Primary Wave | Secondary Wave |
| 伝わる速さ | 秒速約7km | 秒速約4km |
| 到達順序 | 先に到達 | 後から到達 |
| 揺れの特徴 | 初期微動 | 主要動 |
| 緊急地震速報 | 初期検知に活用 | 強い揺れの到達予測に関係 |
P波はS波よりも速く伝わります。
そのため、震源近くの地震計がP波を検知した段階で、離れた地域にはまだS波が到達していないことがあります。
この時間差を利用するのが緊急地震速報です。
地震計から速報が発表されるまでの流れ
地震が発生する
震源からP波とS波が発生し、周囲に伝わる。
震源付近の地震計がP波を検知する
最初に到達するP波の観測データを取得する。
気象庁がデータを解析する
震源の位置やマグニチュードを推定し、各地域の震度や到達時刻を予測する。
緊急地震速報を発表する
発表基準を満たした場合、警報や予報を発表する。
強い揺れが到達する
後から伝わるS波などによって各地で強い揺れが発生する。
気象庁の説明によると、P波の速度は秒速約7km、S波は秒速約4kmです。
また、観測データの通信に使われる電気信号は、原理的には光の速度に近い速さで伝わります。
地震波が伝わる速度と情報通信の速度には大きな差があるため、離れた地域には強い揺れが到達する前に情報を届けられる場合があります。
2026年現在の緊急地震速報はPLUM法も活用
緊急地震速報は、P波を検知して震源や規模を推定する方式だけで成り立っているわけではありません。
気象庁は、PLUM法(プラム法)も利用しています。
PLUM法は、震源やマグニチュードを推定するのではなく、周辺の地震計で実際に観測された揺れの強さから、予測地点の震度を推定する方法です。
考え方は比較的シンプルです。
「ある地点の周辺で強い揺れが観測されているなら、その地点にも同程度の強い揺れが到達する可能性がある」というものです。
巨大地震のように震源域が広い地震では、震源や規模を早期に正確に推定することが難しい場合があります。
こうした場合にも、観測された揺れを直接利用するPLUM法が予測を補います。
気象庁の2026年3月12日時点の資料では、緊急地震速報には全国約690か所の気象庁の地震計・震度計と、防災科研の全国約1,000か所の地震観測網が利用されています。
緊急地震速報が間に合わないケースもある
ここで注意したいのは、緊急地震速報が地震の発生前に地震を予知する情報ではないという点です。
地震計がP波を検知した後に、データ解析や情報伝達を行う仕組みです。
そのため、震源に近い地域では、速報が届く前にS波による強い揺れが到達する場合があります。
特に内陸の浅い場所で地震が発生した場合は、震源近くの地域に十分な猶予時間を確保できないことがあります。
気象庁も、緊急地震速報には技術的な限界があり、予測震度に誤差が生じる可能性があると説明しています。
速報を受け取ったら、予測の正確さを確認するよりも、まず身の安全を確保することが大切です。
【プロの結論】地震計の仕組みを知ると防災情報の見方が変わる
地震計は単に揺れの大きさを測る機械ではありません。
慣性の法則を利用した機械的な検出、電磁誘導による電気信号への変換、デジタル処理による波形解析、全国の観測網を使った情報共有という複数の技術によって成り立っています。
地震計の仕組みを理解すると、防災情報を見るときにも役立つ視点が得られます。
地震情報を見るときに押さえたい3つの判断基準
1. 震度とマグニチュードを混同しない
マグニチュードは地震そのものの規模を表す指標です。一方、震度は特定の観測地点でどれほど揺れたかを示します。
同じ地震でも、震源からの距離や地盤条件によって各地の震度は異なります。
2. 最大加速度だけで危険性を判断しない
最大加速度が大きくても、必ずしも震度が最大になるわけではありません。
揺れの周期や継続時間、地盤の特性なども関係します。
3. 緊急地震速報は予知ではなく、発生後の迅速な観測情報である
P波の検知を利用してS波による強い揺れを予測する仕組みです。
速報が間に合わない地域もあるため、速報の有無にかかわらず、日頃から安全な場所や避難経路を確認しておく必要があります。
【地震計の仕組み】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:地震計はなぜ地面の揺れを測定できるのですか?
地震計の内部にある振り子のおもりが、慣性によって地面の動きにすぐには追従しない性質を利用するためです。地面とおもりの相対運動を測定することで、地震動を記録できます。
Q2:電磁式地震計はどのような仕組みで動いていますか?
振り子に取り付けられたコイルと磁石の相対運動によって電磁誘導を発生させ、電圧として地震動を検出します。動コイル型では、振り子の速度に応じた電圧を取り出します。
Q3:地震計はなぜ南北・東西・上下の3方向を測定するのですか?
地震による地面の動きは3次元だからです。水平2方向と上下方向を測定することで、地震動を立体的に把握できます。
Q4:速度計と加速度計はどちらが優れていますか?
観測目的によって異なります。速度計は微弱な地震動の観測などに利用され、加速度計は強い揺れの記録や計測震度の算出などに利用されます。
Q5:震度は最大加速度だけで決まりますか?
いいえ。計測震度は3成分の加速度波形に周期特性を補正するフィルターを適用し、合成波形から算出します。最大加速度だけではなく、揺れの周期や継続時間も反映されます。
Q6:緊急地震速報はなぜ強い揺れが来る前に発表できるのですか?
P波がS波よりも速く伝わるためです。震源近くの地震計がP波を検知すると、気象庁が観測データを解析し、S波による強い揺れが到達する前に速報を発表できる場合があります。
Q7:K-NETとHi-netの違いは何ですか?
K-NETは被害をもたらすような強い揺れを記録する強震観測網です。一方、Hi-netは地下深くに設置した高感度地震計で、人が感じないほどの微弱な地震動も観測します。両者は観測目的が異なります。
まとめ:地震計の仕組みを知れば地震情報の意味が理解できる
地震計の仕組みの出発点は、振り子の慣性です。地面と一緒に動く本体と、慣性によって動きにくいおもりとの相対運動を捉えることで、地震の揺れを測定します。
動コイル型の電磁式地震計では、磁石とコイルの相対運動を電圧に変換し、微弱な地震動を記録します。さらに、南北・東西・上下の3成分を観測することで、地面の立体的な動きを把握できます。
震度計では3方向の加速度記録にデジタル処理を施して計測震度を算出し、気象庁や防災科研の観測網では、地震の検知や緊急地震速報にも観測データが活用されています。
地震計は、振り子の小さな動きを捉える物理学の装置であると同時に、社会全体の防災を支える重要な観測システムです。
2026年現在も、K-NETやHi-netなどの観測網によるデータの蓄積と活用は続いています。こうした観測技術の進歩が、地震の理解を深め、将来の被害軽減につながっていきます。
主な参考資料・公的情報
- 気象庁「地震計」(気象庁ガイドブック)
- 気象庁「計測震度の算出方法」
- 気象庁「震度と加速度」
- 気象庁「緊急地震速報のしくみ」
- 防災科学技術研究所「強震観測網を知る」
- 防災科学技術研究所「地震津波火山観測研究センター」
- 東京大学地震研究所「地震波形の縦軸の話」 (出典: 地震 計 仕組み(Yahoo!ニュース))