虫の声はなぜ鳴る?スズムシ・コオロギの種類と仕組み、季節や聞き分け方を徹底解説【2026年版】
秋の夜、草むらや庭先から聞こえてくる「リーンリーン」「コロコロ」「チンチロリン」という虫の声。何気なく耳にする音ですが、実際にはどの虫が、何のために鳴いているのでしょうか。
虫の声の正体は、主にスズムシやコオロギ、マツムシ、キリギリスなどの昆虫が発する音です。多くの種類では、オスが前翅(まえばね)をこすり合わせて音を出し、メスを呼び寄せたり、自分の縄張りを知らせたりしています。また、鳴く時間帯や季節、音の高さやリズムには種類ごとの特徴があり、耳を澄ませば姿が見えなくても虫の種類を推測できます。
2026年11月現在、虫の声を理解するうえで押さえたいのは、発音の仕組みだけではありません。気温によって鳴き方が変化する理由、昼と夜で活動する虫が違う背景、そして秋以外にも鳴く虫がいるという季節の特徴です。
この記事では、京都府の自然環境に関する資料や環境省の昆虫生態資料、昆虫飼育・観察に関する専門資料などをもとに、代表的な虫の鳴き声から聞き分け方まで詳しく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 虫が鳴く理由:多くの種類ではオスがメスを呼び寄せたり、縄張りを知らせたりするために音を出す。
- 鳴く仕組み:スズムシやコオロギは、基本的に2枚の前翅をこすり合わせて音を発生させる。
- 代表的な種類:スズムシ、マツムシ、エンマコオロギ、キリギリス、クツワムシ、カンタンなどがいる。
- 鳴く季節と時間:8〜9月に種類が最も多くなり、夜に鳴く虫だけでなく昼に鳴く虫もいる。
- 気温との関係:気温が高いと発音のテンポが速くなる傾向があるが、種類によって異なる。
【基本知識】虫の声はなぜ鳴る?オスとメスの関係や発音の仕組み
虫の声を聞くと、人間のように口から声を出している姿を想像するかもしれません。しかし、スズムシやコオロギなどの鳴く虫は、人間や鳥とはまったく異なる方法で音を生み出しています。
そもそも、虫が鳴くのは単なる習性ではありません。繁殖や個体間のコミュニケーションに関係する、生き残るための重要な行動です。
虫が鳴く最大の理由はメスへのアピール
スズムシやコオロギなど、一般に「鳴く虫」と呼ばれる昆虫の多くは、オスが発音します。
その代表的な目的が、メスを呼び寄せることです。
草むらの中では、同じ種類の虫が広い範囲に分散して生活しています。視界の悪い草の間で相手を見つけるのは簡単ではありません。
そこでオスは特徴的な音を出し、自分の存在や居場所をメスに知らせます。
メスはその音を手がかりにオスのいる方向へ近づき、繁殖相手を探します。
つまり、秋の夜に聞こえる虫の合唱は、昆虫たちにとって繁殖相手を見つけるための情報交換でもあるのです。
虫が鳴く理由は求愛だけではない
虫の声には、求愛以外にも複数の役割があります。
代表的なものは次の3つです。
- 呼び鳴き:離れた場所にいるメスを呼び寄せる。
- 求愛鳴き:メスが近づいたときに、交尾につなげるための信号を送る。
- 闘争鳴き:ほかのオスに対して威嚇したり、競争相手を遠ざけたりする。
例えば、エンマコオロギは呼び鳴きや求愛鳴き、闘争鳴きなどを使い分けます。
同じ個体でも状況に応じて音のパターンが変化するため、単純に「この音なら必ずこの行動」と決めつけることはできません。
国分寺市の自然観察資料でも、コオロギ類の鳴き分けや、発音器官と聴覚器官の位置について紹介されています。
コオロギやスズムシが鳴く仕組み
スズムシやコオロギが音を出す仕組みは、昆虫の発音方法の中でも代表的なものです。
基本的な流れは次のとおりです。
1. オスが前翅を持ち上げる。
2. 片方の翅にあるヤスリ状の部分を、もう片方の翅の硬い部分にこすりつける。
3. 翅に振動が生まれる。
4. その振動が空気中に伝わり、人間にも聞こえる音になる。
この発音方法は「摩擦発音」と呼ばれます。
特にコオロギ類では、翅の一部に細かな歯のような構造があり、反対側の翅にある硬い部分と接触することで規則的な振動が発生します。
さらに、翅を立てることで音を効率よく響かせます。
重要なのは、単に羽をこすっているのではなく、発音に適した特殊な構造を使っているという点です。オスの前翅は発音器として発達していますが、メスの翅は基本的に同じ構造ではありません。
虫にも耳がある?音を聞く場所はどこ?
虫は人間のように頭の左右に耳を持っているとは限りません。
コオロギやキリギリスの仲間では、主に前脚のすねにあたる部分に鼓膜器官があります。
ここで周囲の音を受け取り、ほかの個体が発する音を認識します。
一方、セミでは腹部側に聴覚器官があります。
虫は種類によって音を出す仕組みだけでなく、音を聞き取る器官の位置も異なっているのです。
なお、すべての昆虫が翅をこすり合わせて鳴くわけではありません。セミは腹部にある発音膜を振動させ、バッタの仲間には後ろ脚と翅をこすり合わせて音を出す種類もいます。
【種類別一覧】スズムシ・コオロギ・マツムシなど代表的な虫の声を比較
虫の声を聞き分けるには、種類ごとの音の特徴を知っておくことが近道です。
日本でよく知られている鳴く虫には、スズムシ、マツムシ、エンマコオロギ、キリギリスなどがいます。
京都府が公開している「京の虫の音ブックレット」では、代表的な鳴く虫の音色や生息環境、鳴く時期が紹介されています。
以下は、その資料などを参考に整理した代表的な種類の比較です。なお、擬音は音の印象を表した目安で、実際の聞こえ方には個人差があります。
代表的な虫の鳴き声一覧
| 虫の種類 | 鳴き声の特徴 | 主な時期・時間帯 | 主な生息環境 |
|---|---|---|---|
| スズムシ | リーン、リンリン | 8〜10月・主に夜 | 湿り気のある草地 |
| マツムシ | チンチロリン、ピッピリリ | 8〜10月・主に夜 | やや乾燥した草地 |
| エンマコオロギ | コロコロリー | 8〜10月・昼夜 | さまざまな草地 |
| ツヅレサセコオロギ | リー・リー・リー | 8〜10月・昼夜 | 草地や地表付近 |
| キリギリス | ギーッ、チョン | 7〜9月・主に昼 | 開けた草地 |
| クツワムシ | ガシャガシャ | 8〜9月・主に夜 | 林縁や背の高い草地 |
| ハタケノウマオイ | スイッチョ、スイッチョ | 8〜9月・主に夜 | 開けた草地 |
| カンタン | ルルルル | 8〜10月・主に夜 | 林縁や草地 |
| カネタタキ | チン、チン、チン | 8〜10月・昼夜 | 生垣や樹木 |
| アオマツムシ | リュー、リュー | 8〜10月・主に夜 | 公園や街路樹 |
スズムシの鳴き声は「リーンリーン」
スズムシは、日本の秋を代表する鳴く虫です。
特徴は、鈴を振ったような澄んだ高音です。
「リーンリーン」「リンリンリン」と聞こえる音が連続し、ほかの虫の声に比べて透明感のある響きを持っています。
主な活動時期は8〜10月頃。湿り気のある草地を好み、地表付近で主に夜に鳴きます。
体長はおよそ16〜19mmです。
名前の由来も、鈴を鳴らしたときのような音色にあります。
コオロギの鳴き声は種類によって違う
コオロギは一種類の名前ではなく、複数の種類を含む呼び方です。
なかでも身近なのがエンマコオロギです。
エンマコオロギは「コロコロリー」という独特の音を出し、8〜10月頃に地表付近で鳴きます。昼夜を問わず声が聞こえることも特徴です。
体長は約29〜35mmで、比較的大きなコオロギです。
また、ツヅレサセコオロギは「リー・リー」と繰り返すような音が特徴で、晩秋まで鳴き声を聞けることがあります。
同じコオロギの仲間でも、音の高さや連続する回数、鳴くタイミングが異なるため、耳を澄ませると違いが分かってきます。
キリギリスの鳴き声は昼間にも聞こえる
キリギリスの代表的な鳴き声は「ギーッ・チョン」です。
スズムシやマツムシのような繊細な音とは異なり、力強く、はっきりした響きがあります。
大きな特徴は、主に昼間に鳴くことです。
京都府の資料では、7〜9月頃に草の上で鳴くと紹介されています。
また、国土交通省中国地方整備局の太田川河川事務所の生態資料によると、キリギリスは日当たりのよい草原に生息し、オスが鳴くとメスがその音を聞いて近づきます。
そのため、日中の草むらから「ギーッ・チョン」という音が聞こえたら、キリギリス類を候補に考えるとよいでしょう。
マツムシの鳴き声は「チンチロリン」
マツムシは、童謡「虫のこえ」にも登場する秋の代表的な虫です。
一般的には「チンチロリン」と表現されますが、実際には「ピッ、ピリリ」といった高く金属的な音にも聞こえます。
8〜10月頃、丈の高い草地で主に夜に鳴きます。
スズムシよりも乾いた印象の音で、遠くまで通るような響きが特徴です。
京都府の資料では、マツムシはやや乾燥した背の高い草地に生息すると説明されています。環境省の生態資料でも、河川敷や林縁などの草地が主な生息場所として挙げられています。
クツワムシやカンタンなど、ほかにも個性的な虫がいる
代表的な鳴く虫は、スズムシやコオロギだけではありません。
クツワムシは「ガシャガシャ」という大きくにぎやかな音が特徴です。8〜9月頃の夜、林縁や背の高い草地で鳴きます。
カンタンは「ルルルル」と続く柔らかな音を出します。8〜10月頃、主に夜に鳴く虫です。
ハタケノウマオイは「スイッチョ」という音で知られています。名前も鳴き声の印象に由来しています。
カネタタキは「チン、チン、チン」と短く区切るように鳴きます。草むらではなく、生垣や樹木の上で聞こえることもあります。
こうした種類を知っておくと、夜の草むらだけでなく、庭木や街路樹から聞こえる音にも興味が広がります。
【季節と時間帯】虫の声はいつ聞こえる?秋以外にも鳴く虫はいる?
虫の声というと秋のイメージが強いものですが、実際には春から秋にかけてさまざまな種類が活動しています。
また、昼に鳴く虫と夜に鳴く虫がいるため、聞こえる時間帯も重要な手がかりです。
虫の声が最も多く聞こえるのは8〜9月
京都府の「京の虫の音ブックレット」では、春先から鳴き始める種類は少なく、季節が進むにつれて鳴く虫の種類が増え、8〜9月頃に最も多くの種類が鳴くと説明されています。
その背景には、昆虫の成長サイクルがあります。
多くの秋の鳴く虫は、次のような生活史を持っています。
- 春:卵から幼虫がかえる。
- 初夏:幼虫が脱皮を繰り返しながら成長する。
- 夏:翅が発達し、成虫になる。
- 夏の終わり〜秋:繁殖行動が活発になり、オスの鳴き声が目立つ。
- 冬:多くの種類は卵の状態で越冬する。
もちろん、すべての種類が同じ時期に成長するわけではありません。地域の気候や標高によっても出現時期は変わります。
虫が鳴く時間帯は種類によって異なる
虫の声を聞き分けるときには、何時頃に鳴いているかも重要です。
主な傾向は次のとおりです。
昼間に鳴く虫
- キリギリス
- 一部のコオロギ類
- 日中にも活動する種類
夜間に鳴く虫
- スズムシ
- マツムシ
- クツワムシ
- カンタン
- アオマツムシ
昼夜ともに鳴く虫
- エンマコオロギ
- ツヅレサセコオロギ
- カネタタキ
ただし、これは一般的な傾向です。気温や天候、繁殖状態、周囲の明るさなどによって鳴くタイミングが変わることもあります。
秋の虫の声はなぜ夜に響きやすい?
夜に虫の声がよく聞こえる理由は、虫自身の活動時間だけではありません。
夜間は人間の生活音や交通音が減り、周囲が静かになることも関係しています。
特に草むらにいる小さな虫は、日中にはほかの環境音に紛れてしまいがちです。
夜になると、その音が相対的にはっきり聞こえるようになります。
さらに、夜に活動する種類は、暗い草むらの中で音を使って相手を探すという利点もあります。
ただし、すべての虫が夜に鳴くわけではありません。昼間の草地から聞こえるキリギリスの声も、秋の虫の観察では重要な手がかりになります。
【気温との関係】虫の声は温度で変わる?鳴く回数と音の高さの秘密
虫の鳴き声と気温には密接な関係があります。
暖かい夜にはテンポよく鳴いていた虫が、気温の低い夜にはゆっくりと鳴くことがあります。
これは偶然ではありません。
気温が高いと鳴くテンポが速くなる理由
スズムシやコオロギなどは、体温が周囲の温度に影響される変温動物です。
人間のように一定の体温を保つ仕組みを持っていないため、周囲の温度によって筋肉や代謝の働きが変化します。
暖かい環境では、発音に使う筋肉が比較的活発に動きます。
その結果、翅を動かすテンポや鳴き声の間隔が変化します。
反対に、気温が下がると筋肉の働きが鈍くなり、鳴くテンポが遅くなる傾向があります。
日本昆虫協会理事への取材を掲載したJタウンネットの記事でも、変温動物は周囲の温度によって代謝速度が変わり、発音に使う筋肉の活動にも影響が及ぶと説明されています。
コオロギの鳴く回数から気温が分かる?
「コオロギの鳴き声を数えると気温が分かる」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。
実際、公益財団法人日本科学協会の科学実験教材では、15秒間の鳴く回数を数え、次の計算式に当てはめる方法が紹介されています。
\[
\text{推定気温}=\frac{(\text{15秒間の鳴く回数}+8)\times5}{9}
\]
例えば、15秒間に28回鳴いた場合は、
\[
\frac{(28+8)\times5}{9}=20
\]
となり、約20℃という結果になります。
この方法は、虫の活動と温度の関係を体験する教材として興味深いものです。
ただし、すべてのコオロギに使える温度計ではない
ここで注意したいのが、計算式の適用範囲です。
コオロギには多くの種類があり、種類によって鳴き方や音のテンポが違います。
同じ種類でも、個体の状態や環境条件によって鳴く回数は変化します。
Jタウンネットの専門家取材でも、紹介された計算式はすべてのコオロギに当てはまるものではなく、日本で使う場合には種類ごとの計測が必要になると指摘されています。
つまり、虫の声は気温の影響を受けますが、鳴く回数だけで正確な気温を測定できるわけではありません。
気温と鳴き声の関係を知るための目安として楽しむことが、正しい理解につながります。
【実践編】虫の声の聞き分け方!姿が見えなくても種類を推測する方法
虫の姿が見えなくても、鳴き声から種類を推測することは可能です。
そのためには、音の高さだけで判断するのではなく、リズム、鳴く時間帯、聞こえる場所を組み合わせることが大切です。
まずは音の特徴を聞き分ける
最初に注目したいのは、音の印象です。
- 鈴のように澄んだ音が続く:スズムシの可能性
- 金属的で高い音が繰り返される:マツムシの可能性
- コロコロと連続する音:エンマコオロギの可能性
- ガシャガシャと大きく響く音:クツワムシの可能性
- ギーッ・チョンと力強い音:キリギリスの可能性
- チン、チンと短く区切られる音:カネタタキの可能性
音を聞くときは、単発の一音ではなく、数秒から数十秒程度の鳴き方全体に注目してください。
同じ種類でも、鳴き始めと鳴き終わりでは音の印象が違うことがあります。
次に鳴いている時間帯を確認する
音だけでは判断が難しい場合、時間帯を手がかりにします。
例えば、昼間の明るい草むらから大きな「ギーッ・チョン」という声が聞こえた場合は、キリギリスが候補になります。
一方、夜の湿った草地から澄んだ「リーンリーン」という音が聞こえたら、スズムシの可能性があります。
夜の背の高い草地から「チンチロリン」と響く声なら、マツムシも考えられます。
虫がいる場所にも注目する
虫の種類によって、好む環境には違いがあります。
例えば、次のような場所が観察の手がかりになります。
- 湿った草むら:スズムシ
- やや乾燥した背の高い草地:マツムシ
- 地面に近い草地:エンマコオロギ
- 日当たりのよい草原:キリギリス
- 林縁や高い草地:クツワムシ
- 生垣や街路樹:カネタタキ、アオマツムシ
特に注目したいのは、アオマツムシです。
明治時代以降に中国から持ち込まれた外来種と考えられており、公園や街路樹などの樹上にも生息しています。
そのため、都市部でも夜に「リュー、リュー」という声が聞こえることがあります。
草むらから聞こえるという先入観を持たず、木の上から聞こえる音にも耳を傾けてみてください。
虫の声を聞き分けるときのチェックポイント
実際に観察するときは、次の4点を記録すると種類を推測しやすくなります。
1. 音色:高い音、低い音、金属的な音、連続音など。
2. リズム:一定の間隔か、短く区切られるか、連続しているか。
3. 時間:昼、夕方、夜のどの時間帯か。
4. 場所:地面付近、草の上、背の高い草地、樹木の上など。
一つの特徴だけで種類を決めず、複数の条件を照らし合わせるのがポイントです。
また、スマートフォンで鳴き声を録音しておけば、後から図鑑や自然観察資料と比較できます。
虫は人が近づくと鳴きやむこともあるため、姿を探すときには急に近づかず、少し離れた場所から音の方向を確かめると観察しやすくなります。
【よくある誤解】虫の声について知っておきたい意外な事実
虫の声には、昔から親しまれてきた文化的な側面もあります。一方、一般的なイメージと昆虫の生態には違いがある部分も存在します。
虫はすべてオスだけが鳴く?
スズムシやコオロギなど、一般に秋の鳴く虫として親しまれている種類では、基本的にオスが発音します。
ただし、「すべての昆虫がオスしか音を出さない」という意味ではありません。
昆虫にはさまざまな発音方法があり、発音の目的や雌雄の役割も種類によって異なります。
そのため、オスとメスの違いを理解するときは、対象となる種類を確認することが大切です。
虫は秋にしか鳴かない?
秋の印象が強いものの、実際には夏から鳴く種類もいます。
キリギリスは7月頃から鳴き始める地域があり、エンマコオロギも夏から秋にかけて活動します。
また、春先から鳴く種類も存在します。
したがって、虫の声は秋だけの現象ではなく、季節の進行とともに聞こえる種類が変化していくものです。
日本人は昔から虫の声を楽しんできた?
日本では、虫の音を楽しむ文化が古くから存在します。
京都府の資料によると、『万葉集』には虫の音を詠んだ歌が収録されており、奈良時代にはすでに人々が虫の声に親しんでいたことが分かります。
平安時代には、鳴き声の美しい虫を選んで宮中に献上する「虫撰(むしえらみ)」や、虫を籠に入れて鳴き声を楽しむ「虫合(むしあわせ)」などの風習もありました。
さらに、文部省唱歌「虫のこえ」は、1910年(明治43年)に小学校の音楽教科書に掲載されました。
興味深いのは、当初の歌詞では現在の「こおろぎや」にあたる部分が「きりぎりす」だったことです。
虫の種類の呼び方や人々の認識が、時代とともに変化してきたことを示す一例です。
【虫の声に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:虫の声で最もよく知られている種類は何ですか?
A1:スズムシ、マツムシ、エンマコオロギ、キリギリスなどです。特にスズムシの「リーンリーン」、マツムシの「チンチロリン」は、秋の虫の代表的な鳴き声として親しまれています。
Q2:虫が鳴くのはオスだけですか?
A2:スズムシやコオロギなど、一般的な秋の鳴く虫では主にオスが鳴きます。メスを呼び寄せたり、ほかのオスに自分の存在を知らせたりするためです。ただし、すべての昆虫に共通するルールではありません。
Q3:虫の声はなぜ夜になるとよく聞こえるのですか?
A3:スズムシやマツムシなど、夜に活動する種類が多いためです。また、夜は周囲の生活音や交通音が減り、虫の声が目立ちやすくなることも理由です。
Q4:コオロギの鳴き声で気温が分かるのは本当ですか?
A4:気温が高いと鳴くテンポが速くなる傾向はあります。ただし、種類や個体によって鳴く回数が異なるため、一般的な計算式だけで正確な気温を測ることはできません。
Q5:秋以外にも虫の声は聞こえますか?
A5:聞こえます。キリギリスは夏から鳴き始めることがあり、種類によって活動時期は異なります。春先から鳴く虫もいるため、虫の声は季節を通して楽しめます。
Q6:虫の声を聞き分ける一番簡単な方法は何ですか?
A6:音の高さやリズムに加えて、鳴いている時間帯と場所を確認する方法です。例えば、昼間の草むらから「ギーッ・チョン」と聞こえればキリギリス、夜の湿った草地から「リーンリーン」と聞こえればスズムシが候補になります。
まとめ:虫の声を聞き分けるには種類・季節・気温の3つが重要
虫の声は、単なる秋の風物詩ではありません。
スズムシやコオロギ、マツムシ、キリギリスなど、それぞれの昆虫が繁殖や個体間のコミュニケーションのために発している大切な信号です。
多くの鳴く虫は、オスが前翅をこすり合わせて音を作ります。その音には種類ごとの特徴があり、鳴く時間帯や生息環境と組み合わせることで、姿が見えなくても種類を推測できます。
特に覚えておきたいポイントは次のとおりです。
- スズムシ:鈴のような「リーンリーン」という音。
- マツムシ:金属的な「チンチロリン」という音。
- エンマコオロギ:「コロコロリー」という連続音。
- キリギリス:昼間にも聞こえる「ギーッ・チョン」という音。
- クツワムシ:夜の草むらに響く「ガシャガシャ」という音。
また、虫の声は気温によってテンポが変わる傾向があり、季節が進むにつれて聞こえる種類も変化します。8〜9月は特に多くの種類が鳴く時期です。
【プロの結論】
虫の声を本当に楽しむためには、音だけを聞くのではなく、「どこで」「いつ」「どのようなリズムで」鳴いているかを観察することが大切です。
例えば、同じ夜の草むらでも、湿った地面に近い場所から聞こえるスズムシと、背の高い草の中から響くマツムシでは、生息環境も音の特徴も異なります。
さらに、街路樹から聞こえるアオマツムシの声に気づけば、都市の中にも多様な昆虫が暮らしていることが分かります。
2026年の秋、次に虫の声が聞こえたら、少し立ち止まって耳を澄ませてみてください。
その音の正体を知ることは、身近な自然の変化や昆虫たちの暮らしを理解する第一歩になります。
主な参考資料:京都府「京の虫の音ブックレット」、環境省「昆虫指標について」、国土交通省中国地方整備局・太田川河川事務所「キリギリス」、公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会の昆虫飼育資料、公益財団法人日本科学協会「コオロギは温度計」、Jタウンネットの昆虫専門家取材記事。 (出典: 虫 の 声(Yahoo!ニュース))