猫エリザベスカラーはいつまで必要?サイズ選びと嫌がる猫への対策を徹底解説
猫の手術後や皮膚トラブルの治療で使われるエリザベスカラー。首の周囲を覆う独特の形状から、装着した猫が歩きにくそうにしたり、食事や水飲みに苦労したりする姿を見て、できるだけ早く外してあげたいと考える飼い主も少なくない。ところが、猫が傷口を舐めたり噛んだりすると、感染や傷口の開き、縫合糸の脱落につながる可能性がある。エリザベスカラーは、こうした治療中のトラブルを防ぐための大切な保護具だ。
2026年現在、猫用エリザベスカラーには従来のプラスチック製だけでなく、布製のソフトタイプ、ドーナツ型、透明タイプなど、さまざまな選択肢がある。ただし、柔らかければ必ず快適というわけではなく、猫の体格や患部の位置によっては保護効果が不足することもある。装着期間の目安、正しいサイズの測り方、嫌がる猫への慣らし方、食事や睡眠の工夫まで、飼い主が知っておきたいポイントを整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 必要な理由:術後の傷口や皮膚の患部を舐めたり噛んだりする行動を防ぎ、感染や治癒の遅れを予防する。
- 使用期間:術後は7〜14日程度が一つの目安だが、手術内容や傷の状態によって異なり、獣医師の指示が優先される。
- 選び方:首回りだけでなくカラーの深さと患部への届き方を確認し、プラスチック・布製・ドーナツ型を使い分ける。
【基礎知識】猫にエリザベスカラーはなぜ必要?術後や皮膚トラブルで守る役割
エリザベスカラーは傷口への接触を防ぐ保護具
エリザベスカラーとは、猫の首に装着して顔の周囲を覆い、口や前足が患部に届きにくくするための保護具だ。円すい形のものが一般的で、英語では「E-collar」や「Elizabethan collar」と呼ばれる。
猫は体を清潔に保つため、日常的に毛づくろいをする動物だ。しかし、手術後の傷口や炎症を起こしている皮膚に対しても、同じように舐めたり噛んだりすることがある。
問題は、猫の舌や口による刺激が治療中の患部にとって負担になることだ。傷口を繰り返し舐めると、炎症が悪化したり、細菌感染が起きたりする可能性がある。縫合部分を噛めば、糸が外れて傷口が開く危険もある。
米国の動物病院ネットワークVCA Animal Hospitalsの術後ケア案内でも、猫が手術部位を舐めたり噛んだりする行動を防ぐため、エリザベスカラーや術後服の使用が案内されている。縫合糸を自分で外してしまった場合には、速やかに病院へ連絡する必要がある。
使用が必要になる代表的なケース
エリザベスカラーが必要になるのは、避妊・去勢手術の直後だけではない。患部を自分で傷つけてしまう可能性がある場合に、治療の補助として使用される。
- 避妊・去勢手術後:腹部や手術部位を舐めたり、縫合部分を噛んだりするのを防ぐ。
- 皮膚炎・アレルギー:かゆみのある皮膚を繰り返し舐めたり、掻いたりする行動を抑える。
- 外傷・けが:切り傷や皮膚の損傷など、治療中の患部への接触を防ぐ。
- 眼の治療:目の周囲を前足で擦る行動を防ぎ、角膜などへの追加の損傷を避ける。
- 耳や顔の治療:治療中の患部を後ろ足や前足で掻く行動を抑える。
- 点滴・カテーテル管理:医療器具を引っ張ったり、外したりするのを防ぐ。
特に注意したいのは、猫が傷口を気にしていないように見えても、保護が必要な場合があることだ。飼い主が見ていない時間帯や就寝中に患部を舐めることもあるため、見た目だけで必要性を判断するのは避けたい。
エリザベスカラーを使わなくてもよい場合はある?
すべての手術や皮膚トラブルで、必ず同じタイプのカラーが必要になるわけではない。患部の場所や手術方法、縫合の状態、猫が患部を気にする程度によって、保護方法は変わる。
例えば、腹部の手術後には術後服が選択肢になる場合がある。一方、顔や足先など、服では覆えない場所にはエリザベスカラーが適していることもある。
2022年に公表されたISFM・AAFPの猫に配慮した獣医療環境ガイドラインでは、必要な場合にはソフトタイプのカラーを優先し、ドーナツ型や術後服なども選択肢として挙げている。ただし、どの保護具も猫の動きや快適さを制限する可能性があり、必要性と負担を見極めることが求められている。
大切なのは、カラーを装着すること自体を目的にせず、患部を安全に保護できる方法を選ぶことだ。
【使用期間】猫のエリザベスカラーはいつまで使う?術後の日数と外す判断基準
術後は7〜14日程度が一つの目安
猫のエリザベスカラーの使用期間は、手術の種類や傷口の位置、治癒の進み具合によって異なる。
一般的な術後ケアでは、7〜14日程度を一つの目安とする案内がある。葛西りんかい動物病院では、傷口が完全に治癒し、抜糸が終わるまでの期間として通常7〜10日程度を紹介している。VCA Animal Hospitalsでも、皮膚の縫合糸を取り除く時期は多くの場合7〜14日後と案内している。
ただし、これはすべての猫に当てはまる固定日数ではない。手術方法によっては抜糸が不要な場合もあり、外側に糸が見えないからといって、傷口の保護が不要になったとは限らない。
手術以外の皮膚トラブルでは長期間になることも
皮膚炎やアレルギーなどの場合、傷口が閉じるまでの期間だけでなく、猫が患部を舐めたり掻いたりする行動が落ち着くまで保護が必要になる場合がある。
症状が長引くと、数週間以上の装着が必要になることもある。皮膚疾患ではカラーだけでなく、かゆみの原因に対する治療も並行して行うことが大切だ。
カラーを外した直後に再び舐め始める場合は、保護を終了する段階ではない可能性がある。自己判断で外したままにせず、動物病院に相談したい。
カラーを外してよいか判断するチェックポイント
- 手術部位や患部が順調に治癒している。
- 赤みや腫れ、異常な分泌物がない。
- 縫合部分に問題がなく、必要な抜糸や診察が済んでいる。
- 猫が患部を繰り返し舐めたり噛んだりしていない。
- 獣医師から保護具を外してよいという指示が出ている。
傷口に強い赤みや腫れが出た場合、膿のような分泌物や悪臭がある場合、出血が続く場合には、装着期間を延ばすだけで対応しようとせず、早めに受診する必要がある。
また、猫が縫合糸を外したり、傷口が開いたりした場合は、速やかに動物病院へ連絡したい。
【タイプ別比較】プラスチック・布製・ドーナツ型はどれがいい?
猫用エリザベスカラーには、素材や形状の違いによって複数の種類がある。それぞれにメリットと弱点があり、単純に柔らかいものや価格が高いものを選べばよいわけではない。
主な保護具の特徴と価格目安
| 種類 | 特徴・メリット | 注意点 | 価格目安 |
|---|---|---|---|
| プラスチック製 | 形状を保ちやすく、患部への接触を防ぎやすい | 視界や動きが制限され、家具などにぶつかる場合がある | 約500〜1,500円 |
| 布製ソフトタイプ | 軽くて柔らかく、首や家具に当たる負担を抑えやすい | 変形すると口が患部に届く可能性がある | 約1,000〜2,500円 |
| ドーナツ型 | 視界を確保しやすく、食事や休息がしやすい場合がある | 腹部や足先などに届いてしまう猫もいる | 約1,000〜2,000円 |
| 術後服 | 腹部や胴体を覆い、首周りの負担を減らせる | サイズが合わないと傷口が露出し、汚れや蒸れにも注意が必要 | 約1,500〜3,000円 |
価格は製品やサイズ、販売店によって変わる参考価格帯であり、病院での処方・販売価格や高機能製品では異なる。例えば、国内のペット用品販売店では、一般的なソフトタイプが2,000円前後で販売される例がある一方、ポンポリースの公式販売商品には3,080〜9,020円の製品もある。
プラスチック製は保護力を優先したい猫に向いている
昔から使用されている円すい形のプラスチック製カラーは、形状が崩れにくい点が大きな特徴だ。
猫が体を曲げてもカラーが一定の空間を保ちやすく、傷口への接触を防ぎやすい。特に、患部をしっかり守る必要がある場合や、柔らかい素材を噛んでしまう猫には選択肢となる。
一方、視界の一部が遮られたり、食器や家具にカラーが当たったりすることがある。装着したまま移動できるスペースを確保し、食事や飲水ができているか確認したい。
布製・ソフトタイプは負担の軽さが魅力
布製のエリザベスカラーは、首に当たる部分が柔らかく、家具や床に接触したときの衝撃を抑えやすい。寝転んだり、伏せたりするときにも硬い素材より扱いやすい場合がある。
特に、カラーを長期間使用する必要がある猫や、硬い素材に強い抵抗を示す猫では検討する価値がある。
ただし、布製にも薄手と厚手がある。薄手のものは軽量である反面、猫が体を曲げたときに変形しやすい。厚手のものは保護力を確保しやすいが、重さや首周りの圧迫感を確認する必要がある。
また、布は汚れや皮脂を吸収するため、洗濯できるか、乾燥しやすいかも選択基準になる。
ドーナツ型は快適性と保護範囲のバランスが課題
ドーナツ型は、首の周囲にリング状のクッションを装着するタイプだ。円すい形のカラーに比べて顔の周囲を大きく覆わないため、周囲を見渡しやすく、食器に顔を近づけやすい場合がある。
ただし、ここで注意したいのは、ドーナツ型なら必ず患部を保護できるわけではないという点だ。
胴体が柔らかい猫や体を大きく曲げられる猫では、ドーナツ型を装着していても腹部や足先、しっぽなどに口が届く可能性がある。特に術後の腹部を守る場合には、実際の保護範囲を獣医師に確認する必要がある。
顔や首周辺の保護には適していても、全身のあらゆる患部を守れる万能な形状ではない。
術後服は腹部の傷口を守る選択肢
術後服は、猫の胴体を衣服のように覆う保護具だ。腹部の手術後など、首周りにカラーを装着することが負担になる猫に向いている場合がある。
ただし、服の隙間から傷口に口が届かないか、猫が脱いでしまわないか、排泄時に汚れないかを確認しなければならない。
また、服を着せたまま傷口の状態を確認できる構造かどうかも重要だ。服の中で蒸れたり、傷口に布が擦れたりする場合には、別の保護方法を検討する必要がある。
猫の状態別に考えるおすすめの選び方
- 腹部の術後:プラスチック製や、獣医師が適切と判断した術後服。
- 足先のけが:十分な深さがあるカラー。ドーナツ型だけでは保護できない場合がある。
- 顔や目の周囲:患部に前足が届かない形状とサイズを優先する。
- 硬いカラーを強く嫌がる:保護効果を確認したうえでソフトタイプを検討する。
- 長期的な皮膚トラブル:通気性や洗濯のしやすさも含めて選ぶ。
猫専門病院Tokyo Cat Specialist院長の山本宗伸獣医師も、猫のエリザベスカラーについて、患部の状態や装着期間に応じて素材を選ぶことを紹介している。使いやすさだけでなく、必要な保護力が確保できるかを優先したい。
【サイズの測り方】猫に合うエリザベスカラーを選ぶ3つのポイント
エリザベスカラー選びで失敗しやすいのがサイズだ。体重だけでサイズを決めると、首周りが合わなかったり、カラーの長さが足りなかったりすることがある。
確認したいのは、首周り、カラーの深さ、患部への届き方の3点だ。
1.柔らかいメジャーで首周りを測る
最初に、猫の首の付け根付近を柔らかいメジャーで一周測る。
- 首周りの毛を軽くかき分ける。
- 柔らかいメジャーを首の付け根に回す。
- 締め付けず、自然な状態で数値を確認する。
- メーカーが提示しているサイズ表と照合する。
金属製の硬いメジャーは猫の首に当たると危険なため、布製や柔軟な素材のものを使いたい。
サイズ表の数値は製品ごとに異なる。例えば、JEWELCAKEのソフトエリザベスカラーでは、XSが首周り15cm以下、Sが21cm以下、Mが28cm以下、Lが37cm以下というサイズ展開が掲載されている。
この数値は特定商品の基準であり、別のメーカーのサイズにそのまま当てはめることはできない。
2.首から鼻先までの長さも確認する
首周りが合っていても、カラーの深さが不足していると、猫の鼻先がカラーの縁より前に出てしまう。
その場合、口が患部に届き、保護具として十分に機能しない可能性がある。
特に、足先や腹部、しっぽなどを守る場合には、カラーの高さや長さが重要だ。首周りのサイズと合わせて、首元から鼻先までの距離も確認しておくと選びやすい。
3.装着後は指の入り方と抜けにくさを確認する
装着後は、首とカラーの間に指が1〜2本程度入る余裕があるかを確認する。きつすぎると首に負担がかかり、緩すぎると猫が自分で外してしまうことがある。
さらに、次のポイントをチェックしたい。
- 呼吸や飲み込みを妨げていない。
- 首周りに赤みや擦れが出ていない。
- 頭を振っても簡単に抜けない。
- 鼻先がカラーの縁から出ていない。
- 体を曲げても患部に口や足が届かない。
- 前足がカラーの内側に入り込んでいない。
実際のサイズ確認では、猫の体格だけでなく、保護する患部の位置も考慮することが大切だ。首周りが合っていても、猫が体を曲げたときに患部へ届くなら、長さや形状の見直しが必要になる。
【嫌がる猫への対策】エリザベスカラーの慣らし方と食事・睡眠の工夫
エリザベスカラーを初めて装着した猫は、歩き方がぎこちなくなったり、後ずさりしたり、首を振って外そうとしたりすることがある。視界や体の動きが変わるため、戸惑うのは珍しいことではない。
大切なのは、無理に我慢させるのではなく、安全を確保しながら生活環境を整えることだ。
嫌がる猫を慣らすための5つの方法
① 装着前にカラーの存在に慣れさせる
カラーを猫の近くに置き、自由に確認できるようにする。無理に顔へ近づけず、においを嗅いだり、周囲を歩いたりできる時間を作る。
② 短時間から段階的に慣らす
手術前など、事前に練習できる場合は、短い時間から装着に慣れさせる。嫌がる様子が強い場合は無理に続けず、少しずつ進める。
③ 装着後に好物やおやつを与える
装着できたときに好物を与えたり、落ち着いた声で話しかけたりする。カラーを着けることと安心できる経験を結び付ける方法だ。
④ 落ち着ける環境を用意する
家具の隙間や狭い通路など、カラーが引っ掛かりやすい場所を整理する。最初は広く安全な場所で過ごさせ、無理な移動を避ける。
⑤ 装着状態を見直す
嫌がる原因がサイズや重さ、素材にある場合もある。首周りが擦れていないか、カラーが重すぎないかを確認し、必要に応じて動物病院で別のタイプを相談する。
食事・水飲みが難しい場合の工夫
エリザベスカラーを装着すると、カラーの縁が食器に当たり、普段どおりに食べられなくなることがある。
その場合は、以下の方法を試してみたい。
- 浅くて広い食器に変更する。
- 食器の周囲に十分なスペースを確保する。
- 安定感のある滑りにくい器を使う。
- 必要に応じて食器の高さを調整する。
- 水飲み場を複数設置し、飲みやすい場所を探す。
特に、カラーの縁が食器にぶつかる場合は、食器の形を変えるだけで食べやすくなることがある。
食事中にカラーを外す方法もあるが、獣医師の許可を前提とし、外している間は必ず飼い主が見守る。食べ終わったら、速やかに再装着することが大切だ。
食べられない、水を飲まない状態が続く場合は、カラーだけが原因とは限らない。術後の痛みや麻酔の影響、体調不良なども考えられるため、動物病院へ相談したい。
寝るときは外してもいい?
原則として、獣医師から終日装着するよう指示されている場合は、寝るときも外さない。
飼い主が眠っている間に猫が傷口を舐めたり、縫合糸を噛んだりする可能性があるためだ。短時間の油断が傷口のトラブルにつながることもある。
ただし、装着したまま安全に眠れる環境を作ることも欠かせない。
- カラーが引っ掛かる突起物や家具の隙間をなくす。
- 柔らかく、体を伸ばして休める寝床を用意する。
- カラーの縁が寝床に強く押し付けられないか確認する。
- 首周りの擦れや赤みがないか毎日確認する。
- カラーが外れたり、変形したりしていないか確認する。
寝ているときにカラーが苦しそうに見える場合は、無理に外すのではなく、獣医師に相談して軽量タイプやソフトタイプへの変更を検討する。
トイレや移動で困らないための環境づくり
カラーを着けると、猫は自分の体の幅や周囲との距離を把握しにくくなる。普段なら通れる場所で引っ掛かったり、トイレの縁にカラーがぶつかったりすることもある。
トイレの入り口が低く、十分な広さがあるか確認し、カラーが引っ掛からない環境に整えたい。高い場所へのジャンプや狭い場所への出入りも、治療中はできるだけ避ける。
また、カラーを装着したまま排泄できているかも確認する。排泄が難しい場合や、トイレに入れずに強いストレスを示す場合は、動物病院に相談することが必要だ。
【購入・手作りの注意点】費用を抑えながら安全なカラーを選ぶ方法
価格だけで決めないことが大切
エリザベスカラーの価格は、素材や形状、サイズ、ブランドによって異なる。
一般的なプラスチック製は比較的安価な商品が多く、布製やドーナツ型では素材や縫製、機能によって価格差が生まれる。さらに、猫専用のサイズ展開や長さを細かく選べる商品では、価格が高めになる場合もある。
2026年に確認できる国内販売例では、ドッグガーデンのソフトタイプがセール価格1,680〜2,280円、ポンポリースの公式販売商品では3,080〜9,020円の価格帯で展開されている。
購入前には、以下の項目を比較したい。
- 首周りとカラーの高さが明記されているか。
- 患部を保護できる長さがあるか。
- 重量が猫の首に負担をかけないか。
- 洗濯や消毒ができる素材か。
- 留め具が外れにくく、装着しやすいか。
- サイズ交換や返品の条件が明確か。
特に術後に使用する場合、価格の安さよりも必要な保護力を優先するべきだ。安価な商品を購入しても患部に口が届くのであれば、十分な対策にはならない。
エリザベスカラーを手作りするときの注意点
市販品がすぐに用意できない場合、身近な材料で代用品を作ることを考える飼い主もいる。
ただし、手作りのカラーは、形状や固定方法によって保護効果が大きく変わる。材料の切断面が首や顔に当たる、固定部分が外れる、猫が部品を噛んで飲み込むといった危険もある。
また、サイズが合っていないと、首を圧迫したり、カラーがずれて患部に口が届いたりする可能性がある。
埼玉動物医療センターでは、自作のネックピロー型カラーについて、顔周辺の保護に限定した使用例を紹介している。体の傷を保護する場合には、病院で処方されたカラーを推奨している。
このように、手作り品はすべての患部に使えるわけではない。特に手術直後や感染リスクのある傷口には、自己判断で代用品を使用せず、動物病院に相談することが望ましい。
使用中に必ず確認したい注意点
カラーを装着したら終わりではない。猫の状態は日々変化するため、装着中も定期的に確認する必要がある。
- 首の皮膚:擦れ、赤み、脱毛、圧迫痕がないか。
- 患部:出血、腫れ、膿、悪臭、傷口の開きがないか。
- 食事・飲水:普段どおり食べたり水を飲んだりできているか。
- 排泄:トイレに入り、正常に排泄できているか。
- 行動:歩行や休息に大きな支障が出ていないか。
- 装着状態:カラーがずれたり、外れたりしていないか。
カラーを着けているにもかかわらず患部を舐められる場合は、サイズや形状が適切でない可能性がある。より長いタイプへの変更や術後服への切り替えなど、別の方法を検討したい。
こんな症状があれば獣医師に相談
次のような状態が見られたら、単なる装着への不慣れと決めつけず、動物病院に相談する。
- カラーを着けてから呼吸が苦しそうになった。
- 首が強く締め付けられ、皮膚に傷ができた。
- 食事や水分を十分に取れない。
- 強いパニック状態が続き、落ち着いて休めない。
- 患部の腫れや赤みが悪化している。
- 傷口から出血や膿が見られる。
- カラーを着けても患部を舐めてしまう。
呼吸困難や強い出血、急激な体調悪化がある場合は、速やかな受診が必要だ。
【プロの結論】最優先すべきなのは快適さと保護力の両立
猫のエリザベスカラー選びで、最も重視したいのは「猫が嫌がらないこと」だけではない。患部に口や足が届かず、治療を妨げないことが第一条件になる。
柔らかい素材は猫の生活を快適にする助けになるが、変形して患部を守れなくなれば本来の役割を果たせない。反対に、保護力の高い硬いカラーでも、食事や移動ができずに強いストレスが生じるなら、別の方法を検討する必要がある。
つまり、選択の基準は次の3つだ。
- 保護範囲:守るべき患部に猫の口や足が届かないか。
- 生活のしやすさ:食事、水飲み、睡眠、排泄を妨げていないか。
- 継続できる安全性:長時間装着しても首や皮膚に問題が起きないか。
この3点を満たすものを、獣医師と相談しながら選ぶことが、治療の成功と猫の負担軽減につながる。
【よくある質問】猫のエリザベスカラーに関する疑問を解決
Q1:猫のエリザベスカラーは何日くらい着ける必要がありますか?
A1:術後の場合は7〜14日程度が一つの目安です。ただし、手術内容や傷口の治り方によって異なります。皮膚炎などではさらに長期間必要になることもあるため、獣医師の指示に従ってください。
Q2:エリザベスカラーを嫌がる猫は外してもいいですか?
A2:自己判断で外し続けることはおすすめできません。まずはサイズや素材、装着方法を見直し、必要ならソフトタイプや術後服への変更を相談してください。食事などのために一時的に外す場合も、獣医師の許可と飼い主の監視が必要です。
Q3:布製とプラスチック製ではどちらがおすすめですか?
A3:猫の性格や患部によって異なります。布製は柔らかく生活しやすい一方、変形すると保護力が不足する場合があります。プラスチック製は形状を保ちやすく、患部をしっかり守りたい場合に適しています。
Q4:ドーナツ型のカラーなら食事や睡眠が楽になりますか?
A4:顔の周囲を覆う範囲が小さいため、食事や休息がしやすくなる猫もいます。ただし、腹部や足先などに口が届く場合があるため、患部の保護が十分にできるかを確認する必要があります。
Q5:エリザベスカラーを着けたまま寝ても大丈夫ですか?
A5:獣医師から終日装着を指示されている場合は、睡眠中も装着します。カラーが家具や寝具に引っ掛からないよう環境を整え、首周りに異常がないか確認してください。
Q6:猫のエリザベスカラーは100円ショップの材料で手作りできますか?
A6:応急的な代用品を考えることはできますが、安全性や保護力を保証できません。首への圧迫、誤飲、患部への接触などの危険があるため、術後や傷口の保護には動物病院で適切な製品を選んでもらうことをおすすめします。
まとめ:猫に合ったエリザベスカラーで安全な回復を目指そう
猫のエリザベスカラーは、術後の傷口や皮膚トラブルを守り、猫自身による舐めたり噛んだりする行動を防ぐための大切な保護具だ。装着期間は術後7〜14日程度が一つの目安になるものの、すべての猫に共通する日数ではない。
選ぶときは、首周りのサイズだけでなく、カラーの深さや患部への届き方を確認することが重要だ。プラスチック製、布製ソフトタイプ、ドーナツ型、術後服にはそれぞれ特徴があり、猫の体格や傷の位置によって適したものは変わる。
また、嫌がる場合は無理に我慢させるのではなく、段階的な慣らし方や食器・寝床・トイレの工夫によって負担を減らしていきたい。
最も避けたいのは、猫がかわいそうだからという理由だけで保護具を早く外し、傷口の悪化を招いてしまうことだ。反対に、必要以上に装着を続けることも望ましくない。
愛猫の患部を確実に守りながら、できるだけ普段に近い生活を送れること。それが、猫にとって本当に適したエリザベスカラーを選ぶための判断基準になる。迷ったときは、サイズや素材だけでなく、実際の食事や睡眠の様子も獣医師に伝え、最適な保護方法を一緒に考えていきたい。
主な参考資料:ISFM・AAFP「猫に配慮した獣医療環境ガイドライン」、VCA Animal Hospitals「猫の術後ケア」、Cats Protection「手術後の猫のケア」、ねこのきもちWEB MAGAZINE(山本宗伸獣医師監修)、葛西りんかい動物病院、埼玉動物医療センター、国内ペット用品販売各社の製品情報。
主な根拠資料の確認先
- 国際的な猫の診療指針:ISFM・AAFPのガイドライン
- 術後の傷口管理・装着期間:VCA Animal Hospitals、Cats Protection
- 日本国内の獣医師監修情報:ねこのきもちWEB MAGAZINE、葛西りんかい動物病院
- サイズ・装着方法:ひだまり動物病院、JEWELCAKE製品仕様
- 手作りの注意点・国内価格例:埼玉動物医療センター、ドッグガーデン、ポンポリース (出典: 猫 エリザベス カラー(Yahoo!ニュース))