【猟友会と公務員の違い】鳥獣被害対策実施隊に入ると報酬が変わる?
猟友会の給料を理解するうえで、もう一つ知っておきたいのが「鳥獣被害対策実施隊」の存在です。
猟友会の会員と鳥獣被害対策実施隊員は、同じ人が兼ねる場合もありますが、法律上の立場は異なります。
猟友会の会員は自動的に公務員になるわけではない
猟友会は狩猟者が自主的に加入する団体です。大日本猟友会も、狩猟者が地域の猟友会に加入することは義務ではないと説明しています。
一方、鳥獣被害対策実施隊は、鳥獣被害防止特措法第9条に基づいて市町村が設置できる組織です。隊員には、市町村職員から指名される人と、民間から市町村長に任命される人がいます。
民間から任命された隊員は、非常勤の地方公務員として活動します。そのため、通常の猟友会員とは異なり、条例に基づく報酬や公務災害補償の対象になります。
鳥獣被害対策実施隊員になるメリット
実施隊に所属するメリットは、報酬だけではありません。
- 活動報酬:自治体の条例などに基づく日額・年額報酬や出動報酬を受け取れる。
- 公務災害補償:任命された民間隊員は、対象となる公務中の事故について補償を受けられる。
- 狩猟税の優遇:主として捕獲活動に従事する対象鳥獣捕獲員には、一定の税制上の優遇措置がある。
- 技能講習の特例:一定の要件を満たす隊員には、猟銃所持許可の更新に関する技能講習の免除措置がある。
農林水産省の2026年3月資料によると、2025年4月時点で鳥獣被害対策実施隊を設置している自治体は1,266市町村、隊員数は42,950人です。地域の鳥獣被害対策を担う組織として、全国に広がっています。
能代市の制度から見る実施隊員の立場
秋田県能代市の規則では、猟友会の各支部に所属する会員のうち、地域の被害防止対策に積極的に取り組むことが見込まれる人を、猟友会の推薦を受けて市長が任命する仕組みになっています。
任命された民間隊員は非常勤の特別職職員となり、任期は2年以内です。2026年の報酬改定でも、隊員の活動内容に応じた複数の報酬区分が設けられています。
つまり、猟友会の会員として活動するだけなのか、自治体の実施隊員として任命されるのかによって、報酬や補償の仕組みが変わるのです。
【経費の実態】狩猟免許・猟銃・ガソリン代で手取りはどれだけ減る?
猟友会の収入を考える際、見落としやすいのが活動経費です。出動手当や捕獲報奨金が支給されても、狩猟に必要な道具や移動費などを自分で負担する場合、実際に残る金額は少なくなります。
狩猟免許の取得に必要な費用
環境省が公開している狩猟開始時の費用目安では、猟法によって初期費用が異なります。
- 狩猟免許の取得:申請手数料は1種類につき5,200円が目安。診断書や事前講習などの費用は別途必要。
- 銃猟:免許取得に加えて猟銃所持許可、射撃教習、狩猟者登録などの手続きが必要。
- わな猟・網猟:銃の所持許可が不要なため、比較的初期費用を抑えやすい。
環境省の参考資料では、猟銃を使う場合、猟具購入費などを除いた手続き関連費用の合計は約14万4,800円以上、わな猟・網猟は約4万円とされています。銃本体や保管庫なども含めた銃猟の初期投資は、約30万円が目安として紹介されています。これらは参考額であり、地域や購入する装備によって変わります。
猟銃の維持費・弾薬代・ガソリン代
狩猟を続ける場合、初期費用だけでなく継続的な支出も発生します。
- 猟銃関連費:定期的な点検や整備、保管設備の管理など。
- 弾薬費:射撃や狩猟で使用する弾薬の購入費用。
- 保険料:狩猟中の事故や賠償責任に備える保険。
- 交通費:出動場所までのガソリン代や車両維持費。
- 会費:地域の猟友会や都道府県猟友会への会費など。
大日本猟友会が公表している構成員納入金は、第一種銃猟4,800円、第二種銃猟3,300円、わな猟・網猟2,300円です。ただし、これは大日本猟友会に納める会費部分であり、都道府県や地域の猟友会の会費が別に必要となる場合があります。
特にガソリン代や車両の維持費は、活動する地域の広さや出動回数によって変わります。自宅から現場までの距離が長ければ、日当が支給されても交通費で利益が減ることがあります。
2026年は活動経費への公的支援も拡充
2026年度の環境省・農林水産省の資料では、捕獲活動に関連する費用として、射手への日当や手当、捕獲個体の搬出・処理費用、保険料、銃弾、ガソリン代などが交付金の対象経費として示されています。
これは自治体などが実施する事業に対する財政支援であり、すべての猟友会員にガソリン代や弾薬代が自動的に支給されるという意味ではありません。自治体がどの制度を利用し、どの費用を負担するかによって実際の待遇は変わります。
出動報酬だけで判断せず、交通費や装備費用の補助、保険の加入状況まで確認することが、実質的な収入を見極めるポイントです。
【確定申告】猟友会の報酬や捕獲報奨金に税金はかかる?
猟友会の活動で報酬や捕獲報奨金を受け取った場合、税務上の所得区分も確認する必要があります。
重要なのは、受け取ったお金がすべて同じ種類の所得として扱われるわけではないことです。活動の実態や契約関係、支給の性質によって、給与所得、事業所得、雑所得などの判断が変わります。
報酬の所得区分は活動形態によって異なる
例えば、鳥獣被害対策実施隊員として非常勤特別職の公務員に任命され、職務に対する報酬を受け取る場合と、個人の活動として捕獲報奨金を受け取る場合では、税務上の取り扱いが異なる可能性があります。
国税庁によると、給与所得は俸給や給料、賃金など、雇用関係に基づく給与としての性質を持つ所得です。一方、雑所得には、営利を目的として継続的に行う副業の収入などが含まれます。
そのため、単純に「猟友会の報酬だから雑所得」「捕獲報奨金だから給与所得」と決めることはできません。自治体などの支払元に所得区分や発行書類を確認することが大切です。
必要経費として認められる可能性がある費用
事業所得や雑所得として扱われる場合、収入を得るために直接必要となった費用などは、必要経費として計算できる可能性があります。
国税庁が示す必要経費の基本的な考え方は、総収入金額を得るために直接必要な費用や、その年に発生した業務上の費用です。自家用車を使う場合など、私生活と業務の両方に関係する支出については、業務上必要な部分を明確に区分する必要があります。
経費管理で残しておきたい書類は次のとおりです。
- 猟友会や自治体から受け取った報酬明細・支給通知。
- 捕獲報奨金の交付決定通知や振込記録。
- 弾薬や狩猟用品などの購入レシート。
- 車両の燃料代や業務使用分を確認できる記録。
- 保険料や会費などの支払証明。
なお、所得の種類や他の収入の状況によって確定申告の要否は異なります。給与所得者の副業に関する申告基準などを一律に当てはめず、自身の所得全体を確認してください。判断が難しい場合は、税務署や税理士に相談するのが確実です。
【よくある質問】猟友会の給料に関するFAQ
Q1:猟友会に入れば毎月決まった給料がもらえますか?
A1:いいえ。一般の猟友会員に固定月給が支給される制度はありません。自治体からの出動依頼、捕獲活動、捕獲報奨金などに応じて収入が発生します。鳥獣被害対策実施隊員に任命された場合は、自治体の条例に基づく報酬を受け取れる場合があります。
Q2:クマを1頭駆除すると報酬はいくらもらえますか?
A2:全国一律の金額はありません。2026年の公表例では、能代市は緊急銃猟2万円、ツキノワグマの捕獲処理2,500円/頭を設定しています。秋田市では狩猟期間中に捕獲したツキノワグマ1頭につき1万円の報奨金を支給しています。制度や支給条件が異なるため、単純に同じ報酬として比較することはできません。
Q3:猟友会の報酬や捕獲報奨金は確定申告が必要ですか?
A3:所得区分や年間の所得状況によって異なります。自治体からの支給が給与所得に該当する場合もあれば、個人の活動による収入が事業所得や雑所得に該当する場合もあります。支給通知や源泉徴収票などを確認し、必要に応じて税務署に相談してください。
まとめ:【プロの結論】猟友会の給料は報酬額より実質収入で判断する
猟友会の給料について、2026年11月時点の公表情報から見えてくるのは、全国共通の固定月給ではなく、自治体ごとの活動報酬や捕獲報奨金によって収入が決まる仕組みです。
2026年の自治体別の公表例では、出動1回5,000円、通常の捕獲活動8,000円、緊急銃猟2万円など、活動内容に応じて金額が設定されています。イノシシやシカ、クマなどの捕獲報奨金も地域によって違います。
ただし、報酬額だけを見て猟友会への加入や活動を判断するのはおすすめできません。狩猟免許の取得費用、猟銃の維持費、保険料、ガソリン代などを差し引いて考える必要があります。
猟友会の活動を収入面から検討するなら、次の3点を確認してください。
- 自治体の報酬制度:出動日当、捕獲報奨金、クマなどの緊急対応に対する加算があるか。
- 隊員としての待遇:鳥獣被害対策実施隊への任命、非常勤公務員としての身分、公務災害補償があるか。
- 経費の負担割合:ガソリン代、弾薬代、保険料、車両費などを誰が負担するか。
猟友会は、単純に高収入を得るための仕事ではありません。地域の農業や住民の安全を守る役割を担いながら、狩猟技術や知識を生かして活動する組織です。
報酬の高さだけではなく、活動に伴う危険や責任、経費負担に見合った待遇が用意されているか。そこまで確認することが、猟友会の収入の実態を正しく理解するための判断基準になります。 (出典: 猟 友 会 給料(Yahoo!ニュース))