【全店撤退説の真相】イオンのフードコートは全国からなくなるのか?
最初に押さえておきたいのは、イオンのフードコート全店が全国一斉に撤退するという発表は確認されていないことだ。
2026年11月3日時点で確認できる公式情報では、イオンモール苫小牧は2階フードコートの営業時間を10時~21時と案内している。また、イオン明石ショッピングセンターもフードコート内の牛角焼肉食堂を営業店舗として掲載している。
つまり、個別店舗の閉店と、施設全体のフードコート廃止は別の問題である。
「イオン」と「イオンモール」の違いにも注意
「イオンフードコート」という言葉は広く使われているが、実際にはいくつかの事業主体が関係している。
- イオン株式会社:総合スーパーなどを展開する小売企業
- イオンモール株式会社:大型商業施設の開発・運営を担う企業
- テナント運営会社:フードコート内で飲食店を営業する企業や事業者
フードコートに出店している飲食店が閉店しても、それだけでイオン側がフードコート事業を終了したことにはならない。
テナントの経営判断、施設側の店舗構成の見直し、契約期間の終了など、閉店に至る経路は複数ある。
全店撤退と個別閉店を見分ける3つのポイント
1. 施設そのものが営業を続けているか:フードコートの営業時間や施設案内を確認する。
2. 閉店するのは何か:飲食店1店舗なのか、複数店舗なのか、フードコート全体なのかを区別する。
3. 跡地に新店舗が入るか:後継テナントが決まっていれば、施設の営業継続を示す重要な材料になる。
この3点を踏まえると、2026年の苫小牧と明石の事例は、全国一斉撤退というよりも、個別のテナント再編として捉えるのが妥当だ。
【2026年最新】イオンモール苫小牧・イオン明石の閉店と出店を時系列で比較
今回の話題の中心となっているのが、北海道のイオンモール苫小牧と兵庫県のイオン明石ショッピングセンターだ。
両施設では2026年に飲食店の閉店が発生したが、その後の動きには違いがある。
2026年の主な閉店・出店一覧
| 施設・店舗 | 時期 | 出来事と現状 |
|---|---|---|
| イオンモール苫小牧・ポモドーロ | 2026年2月28日 | パスタ・オムライス店が閉店 |
| イオンモール苫小牧・とりから一番 | 2026年2月28日 | 唐揚げ専門店が閉店 |
| イオン明石・九州鳥若丸 | 2026年2月8日 | 2番街フードコートの店舗が閉店 |
| イオン明石・牛角焼肉食堂 | 2026年4月24日 | 九州鳥若丸の跡地に開店 |
| イオンモール苫小牧・羅妃焚 | 2026年5月31日 | 2階フードコートの店舗が閉店 |
苫小牧では「2店舗同日閉店」が発生
2026年2月25日付の号外NET苫小牧市の報道によると、イオンモール苫小牧のフードコート「KITCHEN PORT」に入っていたポモドーロと、とりから一番が、同じ2月28日をもって営業を終了した。
ポモドーロはパスタやオムライスを提供する飲食店で、手頃な価格ともちもちした食感のパスタが特徴だった。
とりから一番は唐揚げを中心に展開していた店舗だ。
特に注目したいのは、2店舗が同じ日に閉店したという点である。
1店舗だけの閉店なら、個別の経営判断として受け止められる。しかし、同じフードコートで複数店舗が同時に営業を終了すると、利用者には施設全体の縮小のように映る。
さらに、2025年12月30日にはマクドナルド イオンモール苫小牧店も営業を終了していた。
2026年5月には、同じフードコートのらーめん専家 羅妃焚 苫小牧店も5月31日をもって閉店。号外NETの5月20日付記事では、店舗の閉店告知に加え、人員不足によって一部メニューを制限して営業していたことも紹介されている。
こうした複数の閉店が重なったことで、苫小牧ではフードコートの店舗構成が大きく変化した。
ただし、施設そのものは営業を続けている。イオンモール苫小牧の公式営業時間案内では、2026年11月時点でも2階フードコートの営業時間を10時~21時としている。
これは、フードコートそのものの廃止と、個々のテナントの退店が異なることを示す具体例だ。
明石では閉店した店舗の跡地に新ブランドが登場
一方、イオン明石ショッピングセンターでは、閉店後の展開がさらに分かりやすい。
2番街1階のフードコートで営業していた九州鳥若丸 イオン明石SC店は、2026年2月8日に閉店した。
明石じゃーなるの2026年2月10日付記事によると、同店は2022年6月13日にオープンしており、約3年8か月にわたって営業していた。
九州鳥若丸は、こだわりの卵と鳥料理を扱う飲食ブランドだ。親子丼、焼き鳥丼、とり天丼などを提供していた。
ところが、閉店から約2か月半後の4月24日、同じ区画に新しい店舗が登場する。
それが牛角焼肉食堂 イオン明石ショッピングセンター店だ。
牛角焼肉食堂は、焼肉チェーンの牛角がプロデュースするフードコート専門業態である。
鉄板で焼き上げる焼肉定食や焼肉丼、冷麺、石鍋豆富チゲなどを提供する。
2026年4月24日の明石じゃーなるによる現地報道では、オープン当日の昼過ぎに多くの来店客が並んでいたことも伝えられた。
さらに、イオン明石の公式ショップガイドでも、牛角焼肉食堂は2番街1階のグルメ・フード店舗として掲載されている。営業時間は10時~21時、ラストオーダーは20時30分だ。
この事例は、閉店した店舗の跡地が再び飲食店として活用されることを示している。
【なぜ撤退する?】フードコートのテナント賃料と採算性を分析
個別店舗の閉店理由を考えるうえで、見逃せないのが飲食業界全体の経営環境だ。
ただし、ポモドーロ、とりから一番、九州鳥若丸、羅妃焚について、賃料や売上不振が直接の閉店理由だったとする公式発表は確認できない。
それぞれの閉店を特定の経営要因に結びつけることはできないが、フードコートの飲食店が直面する共通の課題は整理できる。
1. 原材料費の高騰
飲食店にとって、食材価格の上昇は利益を直接圧迫する。
例えば、唐揚げ店なら鶏肉や油、パスタ店なら小麦製品やソースの原材料、ラーメン店なら麺やスープの材料費が影響する。
仕入れ価格が上がっても、販売価格を同じ割合で引き上げられるとは限らない。
フードコートでは、買い物客が複数の飲食店を比較しやすい。価格が上がれば、隣接する競合店舗に客が流れる可能性もある。
2. 人件費と人手不足
注文受付、調理、提供、片付けなど、フードコートの店舗にも一定の人員が必要だ。
営業時間が長い商業施設では、昼食時だけでなく夕方や休日にもスタッフを確保しなければならない。
2026年5月に閉店した羅妃焚の苫小牧店については、号外NETが人員不足による一部メニューの制限を報じている。
この事例は、人材確保が店舗運営に影響する具体的なケースとして注目される。
3. フードコート特有の賃料負担
テナント賃料も経営を左右する要素だ。
商業施設の賃料には、主に次のような契約方式がある。
- 固定賃料型:売上にかかわらず一定の賃料を支払う。
- 歩合賃料型:売上高に応じて賃料が変動する。
- 固定賃料と歩合賃料の併用型:最低保証などを設け、売上に応じて変動部分を加える。
中小企業基盤整備機構のJ-Net21でも、ショッピングセンターへの出店における固定家賃と変動家賃、契約期間中の退店条件などが解説されている。
重要なのは、売上が減少しても固定費が残る契約では、店舗の利益が急速に縮小する可能性があることだ。
4. 客数と客単価のバランス
フードコートは、施設全体の来館者数だけでなく、実際に飲食店を利用する人の割合も重要になる。
来館者が多くても、食事をせずに買い物だけで帰る人が増えれば、飲食店の売上は伸びない。
また、安価なメニューを中心に販売する店舗では、来店客数が多くても利益率が十分でない場合がある。
このように、売上規模だけでは店舗の経営状態を判断できない。
2025年の飲食業界の倒産データが示す厳しさ
帝国データバンクの2026年1月14日公表資料によると、2025年の飲食店の倒産は121件だった。
これは小売業の物価高倒産949件の内訳に含まれる飲食店の件数であり、飲食店全体の倒産件数とは異なる。
一方、同社の2025年倒産集計では、飲食店全体の倒産は900件と過去最多を更新している。
原材料費や人件費、エネルギー価格の上昇が、飲食事業者にとって重い経営課題になっていることは明らかだ。
ただし、こうした業界統計は、イオンの特定テナントが閉店した直接の原因を証明するものではない。
【イオンの契約更新はどうなる?】閉店後の空き店舗と再出店の仕組み
フードコートで飲食店が閉店した場合、その区画はどうなるのか。
大きく分けると、次の3つの方向性が考えられる。
契約更新をせずに退店するケース
テナント契約には契約期間があり、更新時には賃料や営業条件、店舗の継続方針などが検討される。
売上が伸びない店舗にとっては、契約更新が経営を見直すタイミングになることもある。
一方、施設側にとっても、集客力の高い店舗や新しい業態を導入する機会になる。
ただし、イオンの個別テナント契約の内容や、今回の各店舗が契約更新を見送ったかどうかは公表されていない。
空き店舗のまま一定期間運営するケース
退店後、すぐに次のテナントが決まるとは限らない。
新しい出店者の選定、契約条件の調整、厨房設備の準備、内装工事などが必要になるためだ。
特に飲食店の場合、給排水や換気、電気容量などの設備条件が出店判断に関わる。
そのため、空き区画があることだけを理由に、フードコートの廃止が決まったと判断するのは早い。
新しい飲食ブランドを導入するケース
イオン明石の牛角焼肉食堂は、このケースに当てはまる。
九州鳥若丸の閉店後、同じ場所に別のフードコート専門ブランドが出店した。
施設側から見れば、単純に空き区画を埋めるだけでなく、来館者の食事ニーズに合ったブランドを導入することが重要になる。
例えば、従来の丼物中心の構成から、焼肉定食や鉄板料理を提供する店舗に変えることで、食事の選択肢を広げられる。
こうした入れ替えは、フードコートの魅力を維持するための方法の一つだ。
【今後どうなる?】イオンフードコート撤退の可能性と注目ポイント
2026年11月時点で注目すべきなのは、全国一律の撤退ではなく、施設ごとに異なる店舗構成の変化だ。
今後の動向を考えるうえでは、次の3点が重要になる。
1. 地域の客層に合わせたテナント選び
大型商業施設といっても、利用者層は地域によって異なる。
ファミリー層が多い施設では、子ども向けメニューや家族で利用しやすい店舗が求められる。
一方、通勤・通学客が多い施設では、短時間で食事を済ませられる丼物や麺類の需要が見込まれる。
施設側が地域の需要を捉えたテナント構成を実現できるかが、今後のポイントになる。
2. 調理の効率化と専門業態の拡大
牛角焼肉食堂のように、既存の飲食ブランドがフードコート向けの専門業態を展開する動きも注目される。
ブランドの知名度を生かしながら、定食や丼物など、フードコートで提供しやすい商品に特化できるためだ。
今後も、調理工程の効率化や商品構成の見直しを進めるブランドは、出店候補として存在感を高める可能性がある。
3. 空き区画を放置しない施設運営
フードコートは、飲食店の集合体であると同時に、買い物客が休憩する場所でもある。
空き区画が増えれば、選べるメニューが減り、施設の滞在価値にも影響する。
そのため、施設側には新しいテナントの誘致だけでなく、客席の再配置や共用スペースの活用といった対応も求められる。
今後、閉店店舗の跡地にどのようなブランドが入るのかは、各施設の運営方針を見極める重要な手掛かりとなる。
【プロの結論】イオンフードコートの閉店情報は何を基準に判断すべきか
今回の事例から分かるのは、飲食店の閉店数だけを見ても、フードコート全体の将来は判断できないということだ。
特に重要なのは、次の3つの視点である。
第一に、店舗の閉店と施設の撤退を区別すること。
ポモドーロやとりから一番が閉店しても、それはイオンモール苫小牧のフードコート全体がなくなることを意味しない。
第二に、閉店後の跡地を確認すること。
イオン明石のように、閉店した店舗の場所へ新しいブランドが出店する事例は、施設が飲食機能を維持していることを示す。
第三に、閉店理由を単純化しないこと。
賃料や人件費、原材料費、集客力などは飲食店の採算に影響する。しかし、個別店舗の経営判断は、それぞれの契約条件や事業方針によって異なる。
こうした違いを理解すれば、閉店情報に過度に反応することなく、地域の商業施設の変化を冷静に捉えられる。
【イオンフードコート撤退】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:イオンのフードコートは2026年に全国一斉撤退するのですか?
A1:全国一斉撤退を示す公式発表は確認されていない。苫小牧では個別店舗の閉店が続いた一方、公式サイトでは2階フードコートの営業時間が案内されている。明石でも新しい飲食店が出店している。
Q2:イオンモール苫小牧のポモドーロととりから一番はいつ閉店しましたか?
A2:両店舗とも2026年2月28日に閉店した。パスタ・オムライスを扱うポモドーロと、唐揚げを中心に展開していたとりから一番が同じ日に営業を終了した。
Q3:九州鳥若丸の跡地には何ができましたか?
A3:イオン明石ショッピングセンター2番街の跡地には、牛角焼肉食堂が2026年4月24日にオープンした。焼肉定食や焼肉丼などを提供するフードコート専門店だ。
Q4:イオンのフードコートが撤退する理由は賃料の高さですか?
A4:賃料は飲食店の採算を左右する要素の一つだが、今回の閉店店舗について、賃料が直接の理由だったという公表情報は確認されていない。原材料費、人件費、集客力、契約条件など複数の要素が関係する。
Q5:イオンのフードコートは今後も店舗が減っていきますか?
A5:施設ごとに状況が異なるため、一律に減少すると断定できない。閉店する店舗がある一方で、牛角焼肉食堂のように新規出店するケースもある。各施設の公式ショップガイドや開店・閉店情報を確認することが大切だ。
まとめ:イオンフードコート撤退の真相は全国閉鎖ではなく店舗の入れ替わり
2026年のイオンフードコートをめぐる閉店情報を整理すると、全国一斉撤退という見方には根拠がない。
イオンモール苫小牧では、ポモドーロととりから一番が2月28日に閉店し、さらに羅妃焚も5月31日に営業を終了した。複数の閉店が重なったことで、地域の利用者にとって大きな変化となったのは間違いない。
一方、イオン明石では2月8日に九州鳥若丸が閉店したものの、4月24日には同じ区画に牛角焼肉食堂がオープンしている。
この違いが、今回の問題を理解するうえで最も重要なポイントだ。
フードコートの将来を左右するのは、単純な閉店店舗数だけではない。テナントの採算性、契約更新、施設の集客戦略、そして閉店後の再出店がどう進むかが重要になる。
今後もイオン各施設では店舗の入れ替わりが起こる可能性がある。利用者にとっては、いつもの店がなくなる寂しさがある一方、新しい飲食ブランドとの出会いもある。
2026年のイオンフードコートで起きているのは、全国一律の撤退ではなく、地域ごとの事情に応じた飲食テナントの再編と捉えるのが実態に近い。
主な確認資料
- イオンモール苫小牧公式サイトの営業時間・ショップ情報
- イオン明石ショッピングセンター公式ショップガイド
- 号外NET苫小牧市の2026年2月・5月の閉店報道
- 明石じゃーなるの九州鳥若丸閉店・牛角焼肉食堂出店報道
- 帝国データバンク「2025年物価高倒産動向調査」
- 中小企業基盤整備機構 J-Net21「テナント出店契約時の留意点」