東京都市町村職員共済組合2026年最新ガイド|掛金率・給付・退職後の手続きを徹底解説
東京都内の市町村や一部事務組合などで働く地方公務員にとって、東京都市町村職員共済組合は、医療保険や年金、休業時の給付、貯金・貸付など、生活を支える重要な制度を運営する組織です。2026年11月現在、令和8年度の掛金率は前年度から変更されており、短期給付に係る掛金率は一般組合員で4.45%となっています。また、令和8年4月からは子ども・子育て支援分の掛金も新たに設定されています。
一方、組合員資格は勤務形態によって異なり、短時間勤務職員には短期組合員としての適用があるほか、家族を被扶養者にする場合には独自の収入基準や生計維持要件があります。退職後も任意継続組合員として最長2年間、医療給付などを利用できる仕組みが用意されています。ここでは東京都市町村職員共済組合の公式情報と全国市町村職員共済組合連合会の年金関連情報をもとに、加入から退職後までの制度を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 令和8年度の掛金率:一般組合員の短期分は4.45%。令和7年度の5.00%から0.55ポイント引き下げられています。
- 組合員・被扶養者の資格:常勤職員は原則として採用日から加入し、短時間勤務職員にも一定条件で短期組合員の資格があります。
- 3つの主要事業:短期給付、長期給付、福祉事業を通じて、医療・年金・健康管理・貯金・貸付などを支援します。
- 退職後の選択肢:任意継続組合員、国民健康保険、家族の被扶養者という3つの医療保険の選択肢があります。
- 年金手続き:年金の決定・支給などの長期給付事業は、全国市町村職員共済組合連合会が一元的に担っています。
【2026年最新】東京都市町村職員共済組合とは?対象者と組織の仕組み
東京都市町村職員共済組合は、東京都内の市町村や一部事務組合などに勤務する地方公務員と、その家族の生活を支える共済組合です。
地方公務員の共済制度は、相互扶助によって組合員と家族の生活の安定、福祉の向上を図ることを目的としています。民間企業の健康保険組合に似た役割を持ちながら、医療給付だけでなく、年金や独自の福祉事業まで幅広く扱っている点が特徴です。
東京都内70の所属所で構成される共済組合
東京都市町村職員共済組合の公式組合概要によると、2026年8月末現在の構成は次のとおりです。
- 市:26団体
- 町:5団体
- 村:8団体
- 一部事務組合:31団体
- 所属する地方公共団体等の合計:70団体
同時点の組合員数は45,809人、被扶養者数は22,018人です。また、任意継続組合員は923人、年金受給者は30,773人となっています。
所属所には八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、町田市、調布市、多摩市などの自治体が含まれています。市役所や町村役場だけでなく、病院企業団、衛生組合、斎場組合などの一部事務組合も対象です。
ここで注意したいのは、東京都内で働く地方公務員全員がこの共済組合に加入するわけではないという点です。東京都庁の職員や特別区の職員などは、それぞれ別の共済組合の対象となる場合があります。勤務先が東京都市町村職員共済組合の所属所に該当するかどうかを確認することが、加入制度を把握する第一歩です。
共済組合が担う3つの事業
東京都市町村職員共済組合の事業は、大きく3つに分かれています。
短期給付事業は、病気やけが、出産、死亡、休業、災害など、日常生活で発生するリスクに対応する制度です。
長期給付事業は、老齢、障害、死亡などに対する年金や一時金を扱います。公的年金制度と連動しており、退職後の生活設計に関わります。
福祉事業は、健康診査や健康相談、宿泊施設、貯金、貸付などを通じて、組合員と家族の健康や生活を支援する仕組みです。
なお、市町村職員共済組合における長期給付の年金決定・支給などの業務は、全国市町村職員共済組合連合会が一元的に実施しています。東京都市町村職員共済組合がすべての年金業務を単独で処理するわけではありません。
【令和8年度の掛金率を徹底比較】前年度から何が変わった?
2026年度の掛金率を確認するうえで、最初に理解したいのが、掛金と負担金の違いです。
掛金は組合員本人が負担する金額であり、負担金は勤務先である地方公共団体などが負担する金額です。共済組合の運営費用は、この双方によって賄われています。
一般組合員の短期掛金率は4.45%に引き下げ
東京都市町村職員共済組合が公表する令和8年度の掛金率は、一般組合員の短期分について、組合員本人の負担率が44.5‰(4.45%)です。
令和7年度は50.0‰(5.00%)だったため、0.55ポイントの引き下げとなりました。事業主負担分を含む短期分の合計率も、100.97‰から89.87‰へ低下しています。
ただし、これは短期給付に関する率の比較です。介護掛金や年金関係の掛金まで一律に引き下げられたわけではありません。
令和7年度と令和8年度の掛金率比較表
公式の掛金率・負担金率の公表資料を整理すると、主要な項目は次のようになります。数値は原則として千分率(‰)で示し、括弧内に組合員本人の負担率をパーセントで記載しています。
| 制度・関連主体 | 令和8年度 | 令和7年度 | 変更・関係性 |
|---|---|---|---|
| 東京都市町村職員共済組合 | 所属所70団体、組合員45,809人 | 前年度実績 | 東京都内の市町村等を対象とする共済組合 |
| 短期給付・一般組合員 | 本人44.5‰(4.45%)、負担金44.5‰、合計89.87‰ | 本人50.0‰(5.00%)、負担金50.0‰、合計100.97‰ | 本人負担は0.55ポイント低下 |
| 任意継続組合員の短期分 | 89.0‰(8.90%) | 100.0‰(10.00%) | 本人が全額負担 |
| 介護掛金 | 7.82‰(0.782%) | 7.82‰(0.782%) | 40歳以上65歳未満が対象。変更なし |
| 子ども・子育て支援分 | 1.15‰(0.115%) | 独立した同項目の設定なし | 令和8年度から新設された負担項目 |
| 厚生年金保険経理 | 本人91.5‰(9.15%)、負担金91.5‰、公的負担39.9‰ | 本人91.5‰(9.15%)、負担金91.5‰、公的負担41.5‰ | 本人負担率は変更なし |
| 退職等年金給付 | 本人7.5‰(0.75%) | 本人7.5‰(0.75%) | 変更なし |
| 全国市町村職員共済組合連合会 | 年金の決定・支給等を一元的に実施 | 同様 | 各市町村職員共済組合と連携 |
※表中の厚生年金保険経理の合計率は、組合員本人の掛金、事業主負担分、公的負担分などを合わせた数値です。令和8年度の合計は222.9‰、令和7年度は224.5‰です。また、介護掛金は本人と事業主がそれぞれ7.82‰を負担します。子ども・子育て支援分も本人と事業主がそれぞれ1.15‰を負担します。
標準報酬月額によって実際の掛金が決まる
掛金率だけを見ても、毎月の給与から差し引かれる金額は分かりません。実際の計算には、標準報酬月額と標準期末手当等の額が使われます。
標準報酬月額とは、組合員が受け取る報酬を等級表に当てはめて決定した金額です。実際の基本給だけでなく、報酬に該当する諸手当なども関係します。
掛金の基本的な計算方法は次のとおりです。
標準報酬月額 × 該当する掛金率 = 毎月の掛金額
期末手当などについても、標準期末手当等の額に対応する率を乗じて算出します。
また、介護掛金は40歳以上65歳未満の組合員が対象となり、厚生年金保険経理の率は70歳未満の組合員に適用されます。年齢によって控除項目が変わるため、給与明細の掛金項目を個別に確認することが大切です。
令和8年度の掛金率を見る際の注意点
短期分が引き下げられた一方で、令和8年度からは子ども・子育て支援納付金分が設定されています。本人負担率は0.115%です。
そのため、短期掛金率だけを見て、給与から差し引かれる社会保険関連の金額全体が同じ割合で減少すると判断するのは適切ではありません。
さらに、短期組合員、一般組合員、任意継続組合員では適用される項目が異なります。自分の勤務形態や年齢に対応した区分を選び、公式の令和8年度掛金率表と給与明細を照合してください。
【組合員資格と被扶養者認定】加入条件・年収基準を詳しく解説
東京都市町村職員共済組合の組合員資格は、職員としての身分や勤務条件によって決まります。また、配偶者や子ども、親などを被扶養者として認定してもらう場合には、続柄だけでなく収入や生計維持の状況も審査されます。
常勤職員は採用日から原則として組合員になる
地方公共団体の常勤職員となった場合、原則として職員になった日から共済組合の組合員資格を取得します。本人が加入を希望するかどうかで決まる任意加入制度ではありません。
一方、短時間勤務の職員なども、一定の条件を満たす場合には短期組合員として加入します。
公式情報で示されている主な条件は、次のとおりです。
- 週20時間以上勤務すること
- 報酬月額が8万8,000円以上であること
- 雇用期間が2か月を超えることなど、所定の要件を満たすこと
短期組合員に適用されるのは、短期給付と福祉事業です。共済組合の長期給付は適用されないため、一般組合員と同じ年金制度の適用関係になるとは限りません。
採用時の資格取得届は、採用日から5日以内に提出することとされています。通常は勤務先の共済事務担当部署を通じて「共済組合員申告書」を提出します。
被扶養者として認定される家族の範囲
被扶養者とは、組合員の収入によって主として生計を維持されている家族などを指します。認定される可能性があるのは、主に次の親族です。
- 配偶者(内縁関係を含む)
- 子・孫
- 父母・祖父母
- 兄弟姉妹
- その他の三親等内の親族
- 内縁関係の配偶者の父母および子
ただし、親族であれば必ず認定されるわけではありません。内縁関係の配偶者や一定の三親等内親族については同一世帯であることが条件となります。
また、原則として日本国内に住所を有し、日本国内に生活の基礎があることも求められます。海外留学中の学生など、一定の例外は設けられています。
2026年の被扶養者認定における収入基準
被扶養者認定で特に注意したいのが、年間収入の基準です。
2026年現在の基本的な収入基準は、次のようになっています。
- 一般の対象者:年額130万円未満
- 60歳以上の人:年額180万円未満
- 一定の障害年金受給要件に該当する人:年額180万円未満
- 19歳以上23歳未満の人:年額150万円未満(組合員の配偶者を除く)
19歳以上23歳未満の人に対する150万円基準は、令和7年10月1日以降の認定に関係する変更です。対象者の年齢は12月31日時点で判定されます。
令和8年4月からの給与収入に関する特例
令和8年4月1日からは、給与収入のみの人について、一定の条件を満たせば臨時的な収入によって年間収入が基本基準を超えた場合でも、直ちに被扶養者認定が取り消されない取り扱いが設けられています。
東京都市町村職員共済組合の事務処理要領では、雇用契約書などによって定められる年間収入が基準内であることを前提に、予想されなかった臨時的な収入が生じた場合の取り扱いを示しています。
対象となる収入の目安は次のとおりです。
- 一般の対象者:130万円未満から143万円未満の範囲
- 19歳以上23歳未満の対象者(配偶者を除く):150万円未満から165万円未満の範囲
- 60歳以上の対象者:180万円未満から198万円未満の範囲
これは誰でも143万円、165万円、198万円まで自由に収入を得られるという意味ではありません。給与収入のみであることの申立てや労働契約書などの提出が必要で、契約上の年間収入が基準内であることなどの条件があります。
さらに、預貯金などを含めた生活状況や、組合員が主たる扶養者であるかどうかも審査の対象です。健康保険上の被扶養者と所得税法上の扶養親族は別の制度であるため、税法上の扶養に入っているから共済組合でも自動的に認定される、という理解は誤りです。
パート勤務の家族を扶養に入れる場合や、収入が変動した場合には、勤務先の共済事務担当者に最新の認定要件を確認してください。
【短期給付・長期給付】医療・休業・年金で受けられる給付とは
東京都市町村職員共済組合の給付制度は、日常的な医療費負担を軽減する短期給付と、退職後や障害・死亡時の生活を支える長期給付に分けられます。
短期給付は病気・出産・休業などを幅広くカバー
短期給付には、法律で定められた法定給付と、共済組合が独自に定款で定める附加給付があります。
代表的な法定給付は次のとおりです。
1.療養の給付・家族療養費
組合員本人や被扶養者が病気やけがで医療機関を受診した場合、診察、薬剤の支給、手術、入院などに対する給付を受けられます。一般的な年齢区分では医療費の70%相当が保険給付の対象となり、残りを自己負担する仕組みです。
2.高額療養費
医療費の自己負担が一定額を超えた場合、標準報酬月額などに応じて定められた自己負担限度額を超える部分が支給されます。長期入院や高額な治療を受ける場合には、事前に適用条件を確認しておくと安心です。
3.出産費・家族出産費
組合員本人または被扶養者が出産した場合、原則として1件につき50万円の出産費または家族出産費が支給されます。東京都市町村職員共済組合では、これに加えて一定の条件のもとで2万円の附加給付も設けています。
4.傷病手当金
公務によらない病気やけがで療養し、勤務できなくなった場合に支給される給付です。原則として1日につき標準報酬の日額の3分の2相当額が支給され、支給期間は通常1年6か月が限度となります。結核性の病気については別の期間が定められています。
5.出産手当金
組合員本人が出産する場合、出産日前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日までの間で、勤務できなかった期間を対象に給付されます。支給額は原則として標準報酬の日額の3分の2相当額です。
このほか、育児休業手当金、育児休業支援手当金、育児時短勤務手当金、介護休業手当金、休業手当金、災害に関する給付などがあります。
附加給付は東京都市町村職員共済組合独自のメリット
法定給付に加えて、東京都市町村職員共済組合では附加給付も実施しています。
代表的なものには、家族療養費附加金、家族訪問看護療養費附加金、出産費附加金、家族出産費附加金、埋葬料附加金、家族埋葬料附加金などがあります。
例えば、一定の条件を満たす出産では、法定の出産費50万円に加えて2万円の附加給付が支給されます。
医療費の一部負担金払戻金についても、標準報酬月額に応じて独自の基準が設定されています。一般的な健康保険の給付内容だけを調べていると、こうした共済組合独自の給付を見落とす可能性があります。
短期給付の請求には2年間の時効がある
給付の種類によっては、自動的に支給されるものと、組合員本人が請求手続きを行うものがあります。
医療機関への直接支払いなどを除き、給付金を受け取るためには所定の請求書と必要書類を共済組合へ提出する必要があります。
東京都市町村職員共済組合の公式案内では、短期給付の請求権は原則として給付事由が発生した日から2年間請求しなければ時効によって消滅するとされています。
出産や休業、災害などが発生した場合は、勤務先の共済担当者に早めに相談することが大切です。
長期給付は老齢・障害・死亡に備える年金制度
長期給付は、組合員の退職後の生活だけでなく、現役時代の障害や死亡によって生じる経済的なリスクにも対応しています。
全国市町村職員共済組合連合会が案内する年金制度には、主に次の給付があります。
- 老齢厚生年金:原則として被保険者期間などが10年以上あり、65歳以上になった場合に受給する年金。
- 障害厚生年金:在職中に初診日のある病気やけがによって一定の障害状態となった場合に支給される年金。
- 遺族厚生年金:被保険者などが死亡した場合に、所定の条件を満たす遺族に支給される年金。
- 退職等年金給付:平成27年10月以降の地方公務員共済組合員期間に対応する年金払い退職給付。
平成27年10月の被用者年金制度の一元化以降、地方公務員の年金制度は厚生年金制度に統合されています。ただし、過去の組合員期間に対応する経過的職域加算額など、旧制度に由来する給付もあります。
退職等年金給付は、終身退職年金と有期退職年金で構成されます。有期退職年金については、原則20年間の受給に加え、一定期間内に手続きを行うことで10年間または一時金として受け取る選択肢もあります。
このように、長期給付は単純に退職時の勤続年数だけで決まる制度ではありません。加入期間、報酬記録、年齢、障害状態、死亡時の状況などによって受給要件が変わります。
【福祉事業】貯金・貸付・保健・宿泊サービスの利用方法
東京都市町村職員共済組合の福祉事業は、医療や年金とは別に、組合員の日常生活や健康を支援するための制度です。
公式に案内されている事業は、保健事業、宿泊事業、貯金事業、貸付事業、物資事業などです。
貯金事業は組合員の資産形成を支援
貯金事業では、組合員から預かった資金を運用し、その運用に応じた利息を支払う仕組みが設けられています。
一般の銀行預金とは制度の仕組みや利用条件が異なるため、金利だけで判断するのではなく、預入限度額、払戻方法、利息の計算方法、税金の取り扱いなども確認する必要があります。
また、共済組合の貯金制度は組合員向けの福祉事業です。退職後も同じ条件で利用できるとは限らないため、退職予定者は利用資格の終了時期や払戻手続きについて事前に確認しておきましょう。
貸付事業は住宅取得や臨時支出に対応
貸付事業は、組合員が住宅や土地を取得する場合、または臨時の支出が発生した場合などに資金を貸し付ける制度です。
民間金融機関の住宅ローンやフリーローンと比較する際には、金利だけでなく、融資限度額、返済期間、保証条件、繰上返済の可否、退職時の残債処理などを確認する必要があります。
特に住宅取得のための貸付は、長期間にわたる返済計画と退職後の生活設計が関係します。毎月の返済額だけでなく、ボーナス返済や退職金との関係も含めて検討することが重要です。
保健事業・宿泊事業・物資事業も対象
保健事業では、組合員の健康維持や保養、教養に関係する取り組みを実施しています。健康診査や健康相談などを通じて、病気の予防や健康管理を支援する役割があります。
宿泊事業では、組合員が利用できる保養所や共済会館などの運営が行われています。物資事業では、組合員が必要とする物資を比較的低廉な価格で供給する取り組みがあります。
これらの事業は、組合員の要望や財源などを考慮して運営されるため、利用対象者、申込方法、料金、利用期間などは事業ごとに異なります。
福祉事業を利用する前に確認したいこと
貯金や貸付、宿泊サービスを検討する場合は、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 現在の組合員資格で利用できる事業か
- 短期組合員や任意継続組合員も対象になるか
- 申込期間や利用回数に制限があるか
- 金利や手数料、返済条件はいくらか
- 退職や資格喪失時に必要な手続きは何か
特に貯金事業と貸付事業については、公式の事業概要だけで具体的な利率や限度額を判断することはできません。最新の募集案内や事業別の利用要項を確認し、所属所の共済担当部署を通じて詳細を把握することが確実です。
【退職後の医療と年金手続き】任意継続組合員はどう活用する?
退職時に見落としやすいのが、共済組合の組合員資格が失われた後の医療保険です。在職中は給与から掛金が控除されますが、退職日の翌日からは原則として新しい保険制度への切り替えが必要になります。
退職後の医療保険は3つの選択肢が基本
退職後に再就職しない場合、基本的には次の3つから選択します。
1.東京都市町村職員共済組合の任意継続組合員になる
一定の条件を満たせば、退職後も最長2年間、共済組合の短期給付と福祉事業の一部を利用できます。
2.国民健康保険に加入する
市区町村が運営する国民健康保険に加入する方法です。保険料は前年所得や世帯構成、自治体の算定方式などによって変わります。
3.家族が加入する健康保険の被扶養者になる
配偶者などが会社の健康保険に加入している場合、一定の収入・生計維持要件を満たせば、その被扶養者となる選択肢があります。
どの制度が有利かは、退職時の標準報酬月額、前年の所得、家族構成、再就職の予定などによって変わります。
任意継続組合員になるための条件
任意継続組合員になるには、退職の日の前日まで引き続き1年以上組合員であったことが必要です。
さらに、退職の日から原則20日以内に、共済組合へ任意継続を希望する旨を申し出なければなりません。
資格が認められれば、退職後も最長2年間、短期給付と福祉事業の一部について、組合員に準じた取り扱いを受けられます。
ただし、任意継続組合員にすべての在職中の給付が適用されるわけではありません。
例えば、傷病手当金、出産手当金、育児休業手当金、育児休業支援手当金、育児時短勤務手当金、介護休業手当金、休業手当金などは、原則として任意継続組合員には新たに支給されません。
一方、在職中に傷病手当金や出産手当金を受給していた場合には、所定の条件を満たせば退職後も継続して支給される場合があります。
任意継続組合員の掛金はどう計算される?
任意継続組合員は、在職中と違って事業主負担分がないため、必要な掛金を本人が納付します。
掛金の計算には、原則として次のいずれか低い額を基礎として使用します。
- 退職時の標準報酬月額
- 共済組合の定款で定める限度額(令和7年度以降は50万円)
令和8年度の任意継続組合員の短期分の掛金率は89.0‰、つまり8.90%です。
これとは別に、40歳以上65歳未満の人には介護分の掛金が適用されます。また、子ども・子育て支援分についても所定の掛金が必要です。
納付方法は、毎月払い、半年一括前納、1年一括前納から選択できます。半年または1年分をまとめて前納する場合には、所定の前納割引率が適用されます。
なお、任意継続組合員になってから2年が経過した場合や、掛金を納付期限までに支払わなかった場合、ほかの健康保険の被保険者になった場合などには資格を失います。
退職後の年金手続きは全国市町村職員共済組合連合会が関係する
医療保険と異なり、年金は退職した時点ですべての給付が終了するわけではありません。
老齢厚生年金や退職等年金給付などは、それぞれの受給要件を満たした段階で請求手続きを行います。
全国市町村職員共済組合連合会の案内によると、老齢厚生年金の請求については、受給権がある人に対して支給開始年齢到達の3か月前を目安に年金請求書が送付されます。
一方、退職等年金給付の退職年金は、原則として65歳に達した後に「退職年金決定請求書」を提出します。請求書は、65歳の誕生日の前月までに共済組合へ届け出ている住所に送付されます。
さらに、令和8年5月以降に65歳となる人で、共済組合から退職年金決定請求書が郵送された場合は、マイナ手続きポータルから電子申請することも可能になっています。
退職年金の請求では、組合員期間等証明書や受取口座に関する情報、戸籍抄本または住民票などが必要になる場合があります。公金受取口座を登録している場合には、金融機関関係の添付書類を省略できるケースもあります。
退職後の年金相談や各種届出は、原則として退職当時に加入していた共済組合が窓口となります。年金記録や請求状況について不明点がある場合は、退職時の勤務先の共済事務担当者や年金相談窓口に問い合わせるとよいでしょう。
【プロの結論】東京都市町村職員共済組合を賢く利用するための判断基準
東京都市町村職員共済組合の制度を理解するうえで、最も大切なのは、掛金率、給付内容、資格条件をそれぞれ別々に考えないことです。
例えば、令和8年度は一般組合員の短期掛金率が前年度より引き下げられましたが、同時に子ども・子育て支援分の掛金が設定されています。短期掛金率だけを比較して、保険関連の本人負担全体が同じ割合で減ったと判断するのは正確ではありません。
また、短時間勤務職員は短期組合員として医療給付や福祉事業の対象になる場合がありますが、一般組合員と長期給付の適用関係が異なります。自分の雇用形態がどの区分に該当するかを把握することが重要です。
現役組合員が優先して確認したい3つのポイント
第一に、給与明細の掛金項目を確認すること。
短期分、介護分、厚生年金保険料、退職等年金給付、子ども・子育て支援分など、自分に適用される項目を整理してください。標準報酬月額と掛金率を照合すれば、控除額の仕組みが分かります。
第二に、被扶養者の収入と認定条件を定期的に確認すること。
家族の就職、転職、パート勤務の増加、年金受給の開始などは、被扶養者資格に影響する場合があります。税法上の扶養と健康保険上の扶養を混同せず、変更が生じたときは早めに届け出ましょう。
第三に、利用できる福祉事業を把握すること。
貯金や貸付、宿泊、保健事業などは、組合員であることによって利用できる制度です。利用条件を確認せずに民間サービスだけを比較すると、選択肢を狭めてしまう可能性があります。
退職予定者は医療保険と年金を分けて考える
退職を予定している場合、医療保険と年金は別々に手続きを整理する必要があります。
医療保険については、任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者という3つの選択肢を比較します。任意継続を希望する場合は、原則20日以内という申出期限を忘れてはいけません。
年金については、老齢厚生年金と退職等年金給付の受給要件や請求時期を確認し、住所変更などによって請求書が届かなくなる事態を防ぐことが重要です。
共済組合の制度は、在職中だけでなく、退職後の生活にも長く関係します。退職直前になって初めて調べるのではなく、数か月前から勤務先の担当部署に相談しておくと、必要書類や申請期限を整理しやすくなります。
【東京都市町村職員共済組合】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:東京都市町村職員共済組合の令和8年度の掛金率はいくらですか?
A1:一般組合員の短期分は44.5‰(4.45%)です。令和7年度の50.0‰(5.00%)から0.55ポイント引き下げられました。40歳以上65歳未満の組合員には介護分として7.82‰(0.782%)が適用されます。また、令和8年度から子ども・子育て支援分として1.15‰(0.115%)が設定されています。年金関係の掛金率は別に定められているため、合計の控除額は年齢や組合員区分によって異なります。
Q2:東京都市町村職員共済組合の被扶養者になれる年収はいくらまでですか?
A2:一般の対象者は年額130万円未満、60歳以上または一定の障害年金受給要件に該当する人は180万円未満、19歳以上23歳未満の対象者(組合員の配偶者を除く)は150万円未満が基本です。さらに、令和8年4月1日からは、給与収入のみで雇用契約上の年間収入が基準内にある場合、臨時的な収入による超過について143万円、165万円、198万円までの特例的な取り扱いがあります。ただし、必要書類やその他の認定要件があります。
Q3:東京都市町村職員共済組合は退職後も利用できますか?
A3:一定の条件を満たせば、任意継続組合員として退職後も最長2年間、短期給付と福祉事業の一部を利用できます。原則として退職前に1年以上継続して組合員であること、退職日から原則20日以内に申し出ることが条件です。ただし、在職中のすべての休業給付が継続されるわけではありません。国民健康保険や家族の健康保険の被扶養者になる方法とも比較して選択してください。
Q4:短期組合員と一般組合員では何が違いますか?
A4:一般組合員は短期給付、長期給付、福祉事業の対象となるのに対し、短期組合員は原則として短期給付と福祉事業が対象です。短期組合員には共済組合の長期給付が適用されません。加入条件や年金制度の適用関係は勤務条件によって異なるため、採用時に確認する必要があります。
Q5:東京都市町村職員共済組合の貯金・貸付事業は誰でも利用できますか?
A5:基本的には組合員向けの福祉事業です。ただし、短期組合員や任意継続組合員など、具体的な資格区分によって利用条件が異なる場合があります。貯金の利率、貸付限度額、返済期間、申込方法などは最新の事業案内で確認してください。
Q6:退職年金の請求はいつ行えばよいですか?
A6:退職等年金給付の退職年金は、原則65歳になった後に退職年金決定請求書を提出します。全国市町村職員共済組合連合会から請求書が郵送される仕組みがあり、令和8年5月以降に65歳となる対象者については、条件を満たせばマイナ手続きポータルによる電子申請も利用できます。
まとめ:東京都市町村職員共済組合の制度を理解して2026年度の給付を活用しよう
東京都市町村職員共済組合は、東京都内の市町村や一部事務組合などに勤務する地方公務員と、その家族を支える重要な社会保障制度です。短期給付、長期給付、福祉事業の3本柱によって、現役時代の医療・休業から退職後の年金や生活支援まで幅広く対応しています。
2026年度の注目点は、一般組合員の短期掛金率が4.45%に引き下げられたこと、子ども・子育て支援分の掛金が新設されたこと、そして被扶養者認定に給与収入に関する新たな取り扱いが導入されたことです。
また、任意継続組合員制度を利用すれば、退職後も最長2年間、一定の医療給付を受けられます。年金については全国市町村職員共済組合連合会が重要な役割を担い、退職等年金給付では電子申請も利用できるようになっています。
制度を十分に活用するためには、掛金率だけでなく、自分の組合員区分、被扶養者の収入条件、福祉事業の利用資格、退職時の手続き期限まで把握しておくことが欠かせません。
最新の掛金率や給付内容、各種申請書類については東京都市町村職員共済組合の公式情報を確認し、年金の請求や受給に関する疑問は全国市町村職員共済組合連合会や勤務先の共済事務担当者に相談しましょう。加入中から退職後まで制度を正しく理解しておくことが、将来の安心につながります。
主な公式情報の参照先
- 東京都市町村職員共済組合「組合概要」「令和8年度 掛金(保険料)の率と負担金の率」
- 同組合「組合員」「被扶養者」「短期給付の種類」
- 同組合「福祉事業のあらまし」「退職後の医療」
- 全国市町村職員共済組合連合会「年金給付の種類」「退職年金を請求するとき」 (出典: 東京 都 市町村 職員 共済 組合(Yahoo!ニュース))