いじめの加害者に学校はどう対応する?心理・指導・出席停止と2026年最新制度を徹底解説
いじめの加害者に対して、学校はどこまで指導できるのか。加害児童生徒の保護者には何が伝えられ、悪質な行為や暴力が確認された場合には出席停止や警察への相談に発展するのか。被害を受けた子どもやその家族にとっても、加害側の子どもを持つ保護者にとっても、対応の実態は切実な問題だ。
2026年は、SNS上で児童生徒間の暴力行為を撮影した動画が投稿・拡散される問題を受け、文部科学省が1月30日に緊急対応通知を発出。さらに3月19日には、学校におけるいじめ重大事態への備えを点検した結果を公表し、組織的な対応や警察との連携を改めて求めた。いじめの加害者に対する対応は、単なる口頭注意や謝罪で終わるものではなく、被害者の安全確保、個別指導、保護者への説明、再発防止までを含む。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 加害者の心理:支配欲や仲間内の同調圧力、ストレス、優位性の確保など複数の要因が絡み、特定の性格だけで説明できない。
- 学校の対応:いじめ防止対策推進法に基づき、組織的な事実確認、加害児童生徒への個別指導、保護者への助言、再発防止を継続する。
- 2026年の重要な動き:1月30日のSNS動画拡散に関する緊急通知と3月19日の点検結果通知により、警察連携や日常的な早期発見が重視されている。
【加害者の心理とは?】いじめをする子どもの特徴と行動に至る理由
いじめの加害者には、どのような心理が働いているのだろうか。
「性格が悪い子」「家庭環境に問題がある子」といった単純な分類では、いじめが起きる仕組みを十分に理解できない。文部科学省の『生徒指導提要』も、加害行為の背景や加害児童生徒が抱える課題、人間関係などを多角的にアセスメントする必要性を示している。
1. 仲間内で優位に立ちたいという心理
いじめの背景にある心理の一つが、集団内で自分の立場を強くしたいという欲求だ。
クラスや部活動などの集団では、発言力のある子どもが周囲を支配するような関係が生まれることがある。特定の子どもをからかったり、仲間外れにしたりすることで、周囲の注目や笑いを集め、自分の立場を確認しようとするケースもある。
この場合、加害者本人は行為を「冗談」「遊び」「いじり」と認識していることがある。しかし、行為を受けた側が心身の苦痛を感じていれば、本人の認識だけでいじめではないと判断することはできない。
2. 周囲の同調や集団心理に流される
最初から強い攻撃意図を持っていたわけではなく、周囲に合わせていじめに加わる子どももいる。
友人が悪口を言っているから同調する。グループから外されることを恐れて、仲間外れに協力する。誰かを笑いものにすることで、自分が標的になるのを避ける。こうした心理が重なると、一人では行わないような行為にも加担してしまう。
いじめは加害者と被害者だけの問題ではない。周囲で面白がる観衆や、気付いていても何もしない傍観者の存在によって、行為が長期化することもある。
3. ストレスや不安、不満の表れ
学校生活や家庭生活で感じているストレス、対人関係の不安、欲求不満などが、他者への攻撃として表れる場合もある。
文部科学省の生徒指導に関する資料では、加害児童生徒が内面に抱える不安、不満、ストレスなどを理解しながら、加害行為そのものは毅然として指導する必要性が示されている。
ただし、ストレスを抱えていることは、他人を傷つける行為の正当化にはならない。背景を理解する目的は責任を軽くすることではなく、同じ行為を繰り返させないために必要な支援を見つけることにある。
4. 相手の苦痛を理解できていない
加害者の中には、自分の発言や行動が相手にどれほどの苦痛を与えているのか、十分に理解できていない子どももいる。
特に、日常的にからかいや悪口が続いている集団では、攻撃する側の感覚が麻痺し、相手の反応を軽く受け止めてしまうことがある。
そのため、個別指導では単に「もうやらない」と約束させるだけではなく、自分の行為によって相手の生活や心理状態にどのような影響が生じたのかを理解させることが求められる。
いじめの加害者に共通する特徴はあるのか
加害者を見分けるための絶対的な性格診断や外見上の特徴は存在しない。普段は明るく、成績もよく、友人が多い子どもが加害行為をすることもある。
注目すべきなのは性格のレッテルではなく、実際の行動だ。相手の嫌がることを繰り返す、集団で一人を孤立させる、被害を訴えられても行為をやめない、SNSで悪口や画像を共有するなどの行為が確認された場合には、具体的な事実に基づいた対応が必要になる。
文部科学省の『生徒指導提要』は、被害と加害が複雑に入り交じる事案や、仲のよいグループ内で起きるいじめ、閉鎖的な部活動内のいじめなども、対応が難しくなりやすいケースとして挙げている。表面的な人間関係だけで判断しないことが重要だ。
【2026年最新】いじめ防止対策推進法と文部科学省の対応方針
いじめの加害者に対する学校の対応を理解するうえで、基本となるのが2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」だ。
同法第2条では、いじめを、一定の人的関係にある児童生徒から受ける心理的または物理的な影響を与える行為で、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものと定義している。インターネットを通じて行われる行為も対象に含まれる。
つまり、殴る、蹴るといった身体的な暴力だけでなく、悪口、無視、仲間外れ、SNS上の嫌がらせなども、法律上のいじめに該当し得る。
令和6年度のいじめ認知件数は約77万件
文部科学省が2025年10月29日に公表した令和6年度の調査結果によると、全国の小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は769,022件だった。前年度より36,454件増加し、過去最多を更新している。
重大事態の発生件数も1,405件と過去最多になった。年度末時点で解消が確認された件数は585,349件、解消率は76.1%だった。
なお、認知件数の増加は、すべてのケースでいじめそのものが同じ割合で増えたことを意味しない。法律の定義に基づく積極的な認知や、アンケート、教育相談、1人1台端末による心の健康観察などによって、これまで把握できなかった事案が見つかるようになったことも背景にある。
一方、文部科学省は2025年12月の通知で、重大事態1,405件のうち約4割について、重大事態に至るまでに学校がいじめとして認知できていなかったことを指摘した。初期段階での見逃しが深刻化につながる危険性を示す数字だ。
2026年1月30日:SNS上の暴力動画拡散を受けた緊急通知
2026年1月30日、文部科学省は「SNS上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について」という通知を発出した。
背景には、児童生徒間の暴力行為などを撮影した動画がSNSに投稿・拡散される事案が複数報道されたことがある。動画が拡散されるまで学校が被害を把握できていなかったケースも問題視された。
「児童生徒の暴力行為やいじめは、決して許されるものではありません。」
通知では、学校に対して次の対応を求めている。
- アンケートや面談、心の健康観察などによる被害の再確認。
- 被害児童生徒の安全確保と心身のケア。
- 加害児童生徒への厳正な指導と背景・要因の分析。
- 犯罪行為に該当する場合の警察などとの連携。
- SNS上の動画や誹謗中傷に対する削除要請などの対応。
- 情報モラル教育の実施と再発防止。
重要なのは、動画が拡散されたかどうかによって対応の必要性が変わるわけではないという点だ。学校内で起きた行為も、インターネット上で起きた行為も、被害が確認されれば適切に対応する必要がある。
2026年3月19日:学校のいじめ対策の点検結果を公表
さらに文部科学省は、2026年3月19日、重大事態調査のガイドラインに基づく平時からの備えについて、学校と学校設置者の点検結果を公表した。
その結果、学校側では、いじめ防止基本方針の説明、記録の管理、警察への相談・通報についての保護者への周知など、いくつかの項目で実施できていると回答した割合が90%前後にとどまった。
学校設置者側でも、保護者への直接説明や調整の体制、医療・福祉などとの連携、重大事態発生時の対応手順の明確化といった項目で、実施できている割合が90%を下回った。
これは、制度が整備されていても、実際の運用には学校や教育委員会ごとに差が残っていることを示している。2026年のいじめ対策は、法律を知っているだけでなく、現場で機能させられるかが問われる段階に入っている。
【学校は誰に何を求める?】いじめ対応に関わる組織と役割を比較
いじめの加害者に対する指導は、担任の判断だけで完結するものではない。いじめ防止対策推進法第22条では、学校に対し、複数の教職員や心理・福祉の専門家などで構成される「学校いじめ対策組織」の設置を義務付けている。
それぞれの関係者には、明確に異なる役割がある。学校が対応しきれない場合には、教育委員会や警察などの外部機関が関わることもある。
| 主体・関係者 | 主な役割・根拠 | 対応上のポイント |
|---|---|---|
| 学校いじめ対策組織 | 法第22条に基づき、学校内のいじめ防止・対処を組織的に実施 | 担任だけで抱え込まず、複数の教職員と専門家で情報を共有する |
| 校長・教職員 | 法第23条・第25条に基づく事実確認、指導、必要な懲戒 | 被害者の安全確保と加害側への継続的な指導を行う |
| スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー | 心理面・福祉面から児童生徒や家庭を支援 | 加害行為の背景や再発につながる要因を分析する |
| 保護者 | 法第9条に基づき、子どもに規範意識を育てるための指導に努める | 学校と情報を共有し、家庭での指導と支援を継続する |
| 教育委員会・学校設置者 | 法第24条・第26条に基づく学校への支援、調査、出席停止など | 学校だけで解決できない事案を支援し、必要な措置を判断する |
| 警察 | 犯罪行為に相当するいじめへの対応、捜査や被害防止 | 重大な被害のおそれがある場合は速やかに連携する |
この関係を見ると、学校は単なる仲裁役ではなく、いじめを認知した段階から組織的に動く責任を負っていることが分かる。
また、学校設置者である教育委員会などは、学校からの報告を受けて必要な支援や指示を行う立場にある。学校側の対応に問題がある場合や、保護者との調整が難しい場合には、教育委員会が直接説明・調整に関わることも想定されている。
文部科学省が2026年3月19日の通知で改めて求めたのも、この組織的な連携体制の整備だ。いじめの問題を担任一人の力量や判断に委ねない仕組みが、再発防止の前提となる。
【加害児童生徒への個別指導】学校はどのような順番で対応するのか
いじめが確認された場合、学校に求められるのは、被害を受けた児童生徒を守りながら、加害児童生徒に対して適切な指導を継続することだ。
いじめ防止対策推進法第23条第3項は、いじめをやめさせ、再発を防ぐため、複数の教職員が心理・福祉の専門家などの協力を得ながら、被害児童生徒への支援と加害児童生徒への指導を継続するよう定めている。
1. まず事実関係を確認する
学校は、被害を訴えた児童生徒、加害行為をしたとされる児童生徒、周囲で状況を見ていた児童生徒などから情報を集める。
確認する内容は、行為の日時、場所、回数、具体的な言動、関係者、SNS上のやり取り、被害者の心身への影響などだ。
この段階では、被害者と加害者を安易に同席させて話し合わせるのではなく、個別に聞き取りを行い、心理的な負担や報復の危険性にも配慮する必要がある。
2. 加害児童生徒に個別指導を行う
事実関係を踏まえ、加害児童生徒には個別の指導が行われる。
具体的には、次のような内容が考えられる。
- どのような行為を行ったのか、事実を具体的に確認する。
- 相手が受けた心理的・身体的な苦痛を理解させる。
- いじめを冗談や遊びとして正当化できないことを伝える。
- 加害行為に至った背景や人間関係を分析する。
- 同じ行為を繰り返さないための具体的な行動目標を設定する。
- 必要に応じてスクールカウンセラーなどによる継続支援を行う。
特に大切なのは、本人が「もうしません」と答えたことだけで指導を終了しないことだ。
周囲からの圧力に流されていたのか、相手を支配しようとしていたのか、怒りや不満を適切に表現できなかったのか。背景によって必要な指導や支援は異なる。
3. 被害児童生徒と加害児童生徒の接触を管理する
同じ教室での生活が被害者にとって大きな負担になる場合、学校は別室での学習や座席・活動場所の変更などを検討する。
いじめ防止対策推進法第23条第4項では、必要に応じて加害児童生徒を被害児童生徒が使用する教室以外の場所で学習させるなど、安心して教育を受けられる環境を確保するための措置を定めている。
ここで注意したいのは、被害者側だけに転校や別室登校を求める対応になっていないかという点だ。被害を受けた子どもが、さらに学校生活上の不利益を負わないよう配慮する必要がある。
4. 謝罪と再発防止を切り離さない
いじめの加害者が謝罪したとしても、それだけで問題が解決するわけではない。
謝罪は、加害行為の事実を理解し、相手の苦痛を認識したうえで行われるべきものだ。被害児童生徒が望まない場合、無理に対面させたり、謝罪を受け入れるよう求めたりすることは適切ではない。
また、謝罪の場を設けることと、再発防止のための指導は別の問題だ。学校は加害行為が止まったか、被害者が安心して過ごせているかを継続して確認しなければならない。
文部科学省の生徒指導提要では、加害児童生徒へのアセスメントと指導・援助を再発防止の鍵として位置付けている。必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを交え、被害者への支援、加害者への指導、周囲の児童生徒への働きかけを一体的に進める考え方だ。
【保護者への説明・出席停止・警察連携】加害者側の責任はどこまで及ぶ?
いじめが確認されたとき、学校は加害児童生徒本人だけでなく、その保護者にも事実関係を説明し、協力を求める。
保護者が「うちの子に限ってそんなことはしない」と否定した場合でも、学校には確認された事実を共有し、再発防止に向けた話し合いを続ける責任がある。
加害者の保護者に求められる対応
いじめ防止対策推進法第9条では、保護者の責務として、子どもがいじめを行わないよう、規範意識を養うための指導などに努めることを定めている。
学校から連絡を受けた保護者は、まず子どもの説明だけで判断せず、学校が確認した事実を聞くことが大切だ。
具体的には、次のような対応が求められる。
- 学校から説明された行為の内容や経緯を正確に把握する。
- 子どもの言い分を聞きながら、被害者の立場や苦痛を理解させる。
- いじめを正当化したり、被害者側に責任を転嫁したりしない。
- 学校の個別指導や専門家による支援に協力する。
- 家庭内でも行動の変化を確認し、再発防止に取り組む。
学校側も、加害者の保護者を一方的に責めるだけでは十分な解決につながらない。保護者に正確な情報を伝え、家庭と学校が同じ方向を向いて子どもの行動を改善することが重要になる。
なお、法第23条第5項では、被害者側と加害者側の保護者間で争いが起きないよう、学校が必要な情報共有などの措置を講じることも定められている。
出席停止はどのような場合に認められるのか
いじめの加害者に対する措置として、出席停止制度がある。
いじめ防止対策推進法第26条は、市町村教育委員会に対し、いじめを行った児童生徒の保護者に出席停止を命じるなど、被害児童生徒やその他の児童生徒が安心して教育を受けられるための措置を速やかに講じるよう定めている。
ただし、出席停止は、いじめが一度確認されたら自動的に適用される処分ではない。
学校教育法第35条などに基づき、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の教育を受ける権利を守る必要性を踏まえて判断される。市町村教育委員会が判断する制度であり、校長が単独で自由に命令するものではない。
また、出席停止は懲戒や罰として子どもを学校から排除する制度ではない。文部科学省は、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するための措置であると説明している。対象となった子どもについても、学校への円滑な復帰に向けた学習支援などが必要になる。
実際の対応では、まず別室での学習や個別指導などを検討し、改善が見られない場合や、正常な教育環境を回復する必要性が高い場合には、出席停止を含めた措置が検討される。
なお、法第26条が学校教育法第35条と第49条を根拠としているため、ここで説明している出席停止制度は主に市町村立の小学校・中学校などの義務教育段階が対象となる。高校については、同じ制度がそのまま適用されるわけではなく、学校教育法第11条に基づく懲戒など、学校段階に応じた対応を確認する必要がある。
警察への相談・通報が必要になるケース
いじめはすべて学校内の指導だけで解決するとは限らない。
暴行、傷害、恐喝、金品の強要、脅迫など、犯罪行為に該当する可能性がある場合には、警察との連携が必要になる。
いじめ防止対策推進法第23条第6項は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認められる場合、学校が所轄警察署と連携して対処することを定めている。さらに、生命、身体または財産に重大な被害が生じるおそれがある場合には、直ちに警察に通報し、適切な援助を求めなければならない。
文部科学省も2023年2月7日の通知で、重大ないじめ事案などについて、警察への速やかな相談・通報と日常的な情報共有を求めている。
2026年1月30日の緊急対応通知では、SNS上に暴力動画が投稿された場合にも、警察などと連携して事実確認を進めることが示された。動画に学校名や個人情報が含まれていれば、関係する児童生徒全体の安全にも影響するためだ。
動画や画像が拡散された場合には、投稿をさらに共有して被害を広げることを避け、投稿日時、アカウント、投稿内容などの記録を適切に保全し、学校や警察、関係する相談窓口に相談することが大切だ。
特に、動画を投稿した本人だけでなく、拡散に加わった人による誹謗中傷も新たな人権侵害を生む可能性がある。文部科学省は2026年の通知で、SNS上の悪質な投稿について、内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪などの刑罰の対象になり得ることも指摘している。
【いじめ重大事態と加害者のその後】謝罪だけでは終わらない再発防止の実態
いじめが深刻化した場合、学校は通常の生徒指導とは異なる重大事態への対応を求められる。
いじめ防止対策推進法第28条では、重大事態を大きく二つに分類している。
重大事態に該当する二つのケース
第1号重大事態は、いじめによって児童生徒の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがある場合だ。
自殺を企図したケース、心身に重大な傷害を負ったケース、金品に重大な被害を受けたケースなどが該当し得る。
第2号重大事態は、いじめによって児童生徒が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合だ。
文部科学省の2024年8月改訂ガイドラインでは、重大事態に該当する疑いが生じた段階から調査に向けて動き出す必要があるとされている。被害が確定するまで調査を先送りする対応は適切ではない。
重大事態調査では何を調べるのか
重大事態が発生した場合、学校または学校設置者の下に調査組織が設けられ、質問票や関係者への聞き取りなどによって事実関係を明らかにする。
調査の目的は、単に誰かの責任を追及することではない。被害の実態を把握し、重大事態への対処と同種の事態の再発防止につなげることにある。
調査では、被害児童生徒や保護者への事前説明、関係児童生徒や保護者への説明、調査結果の報告なども重要な手続きとなる。
被害者側が重大事態に当たると考えている場合、学校が独自の判断で問題を小さく扱わず、法の定義に沿って適切に対応することが求められる。
加害者のその後はどうなる?
加害児童生徒のその後は、行為の内容、年齢、被害の程度、再発の有無、学校の判断、警察などの関係機関との連携によって異なる。
学校内での個別指導やカウンセリング、保護者との面談、別室での学習、出席停止、学校教育法に基づく懲戒などが検討される場合がある。犯罪行為に該当する場合は、警察による対応や、年齢に応じた少年司法上の手続きにつながる可能性もある。
ただし、いじめの加害者になった子どもが、必ず退学や転校、逮捕などに至るわけではない。措置は個々の事案に応じて判断される。
ここで重要なのは、加害者への指導を一度実施して終わりにしないことだ。
文部科学省の生徒指導提要では、いじめの解消について、少なくとも次の二つの条件を満たしているか確認する必要があるとしている。
- いじめに係る行為が止んでいること。
- 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと。
また、行為が止んだ状態が少なくとも3か月を目安として継続しているか、本人や保護者への面談などを通じて確認することが求められる。
この条件を満たしていじめが解消したと判断された後も、卒業まで日常的な見守りを続けることが大切だ。
再発防止には加害者だけでなく集団への働きかけも必要
いじめの加害者だけを指導しても、集団内の力関係や周囲の同調圧力が変わらなければ、別の児童生徒が新たな加害者になる可能性がある。
そのため、学校はクラス全体や部活動などの集団にも働きかける必要がある。傍観者が被害を見過ごさず、安心して大人に相談できる環境をつくることも再発防止の一部だ。
加害児童生徒への成長支援と、被害児童生徒の安全確保は対立するものではない。両方を同時に進めることが、学校に求められる対応である。
【保護者・学校が確認すべきこと】いじめを繰り返させないための判断基準
いじめの問題が発生したとき、関係者が確認すべきなのは、謝罪したか、指導を受けたかという形式的な事実だけではない。実際に被害が止まり、子どもが安心して生活できる状態になったかどうかだ。
被害児童生徒の保護者が学校に確認したいこと
- 学校いじめ対策組織が事案を正式に把握しているか。
- 被害児童生徒の安全確保が具体的に行われているか。
- 加害児童生徒への指導内容や再発防止策が明確になっているか。
- 加害者との接触を避けるための措置が取られているか。
- スクールカウンセラーなどの支援を受けられるか。
- 対応の経過や今後の見守りについて定期的な説明があるか。
学校の対応が不十分だと感じる場合は、校長や学校いじめ対策組織だけでなく、教育委員会や学校設置者への相談も検討できる。
加害児童生徒の保護者が確認したいこと
- どのような行為が問題とされているのか、具体的な事実を把握する。
- 学校が求めている指導内容や改善目標を確認する。
- 家庭での声掛けや行動観察について学校と共有する。
- 必要に応じて心理・福祉の専門家による支援を受ける。
- 謝罪だけでなく、行動が改善したかを継続的に確認する。
子どもが加害行為を認めない場合でも、保護者が感情的に対立するのではなく、学校の調査結果と本人の説明を照らし合わせ、事実に基づいて対応することが重要だ。
学校の対応が適切かを見極める基準
2026年の文部科学省通知を踏まえると、学校の対応を評価する際には、次の点が重要になる。
- 担任だけでなく学校いじめ対策組織が関与しているか。
- 被害者の安全確保が加害者への指導より後回しになっていないか。
- 加害者の背景や要因を分析した個別指導が行われているか。
- 保護者への説明と情報共有が適切に行われているか。
- 必要な場合に警察や教育委員会と連携しているか。
- 解消後も継続的な見守りが行われているか。
特に、学校側が「本人同士で仲直りした」「謝罪を受けた」「もう問題はないと言っている」といった説明だけで対応を終了しようとしている場合には、被害児童生徒本人の心理状態や、その後の行為の有無を改めて確認する必要がある。
【いじめの加害者】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:いじめの加害者は学校から退学や転校を命じられる?
A1:いじめをしたからといって、自動的に退学や転校になるわけではない。学校は個別指導や別室学習、懲戒などを検討し、義務教育段階では必要に応じて市町村教育委員会による出席停止制度もある。具体的な措置は学校段階や行為の内容、状況によって異なる。
Q2:いじめの加害者の保護者にも責任がある?
A2:いじめ防止対策推進法第9条は、保護者に対し、子どもがいじめを行わないよう規範意識を育てるための指導などに努めることを求めている。ただし、子どもがいじめをしたという事実だけで、保護者が自動的に刑事責任を負うわけではない。学校と協力し、再発防止に取り組むことが重要だ。
Q3:いじめの加害者に警察が介入することはある?
A3:ある。暴行、傷害、恐喝、脅迫など犯罪行為に該当する場合には、警察との連携が必要になる。特に生命、身体、財産に重大な被害が生じるおそれがある場合、学校には直ちに警察へ通報して援助を求める義務がある。2026年1月30日の文部科学省通知でも、SNS上の暴力動画などに関する警察連携が改めて求められた。
まとめ:【プロの結論】いじめの加害者への対応は指導・責任・再発防止が柱
いじめの加害者に対する学校の対応は、単なる注意や謝罪で終わるものではない。いじめ防止対策推進法に基づき、事実確認、被害者の安全確保、加害児童生徒への個別指導、保護者への説明、必要に応じた出席停止や警察との連携まで、段階的かつ組織的に進められる。
2026年1月30日のSNS動画拡散に関する緊急通知、3月19日の平時からの備えに関する点検結果は、学校の対応が形式的なものにとどまらず、日常的な早期発見と組織的な再発防止に結び付いているかを改めて問い直すものだ。
【プロの結論】
いじめの加害者に必要なのは、責任を曖昧にしない厳正な指導と、同じ行為を繰り返さないための成長支援の両立である。加害者の心理や家庭環境を理解することは、行為を許すことではない。背景を把握しなければ、根本的な再発防止につながらないという意味だ。
同時に、被害を受けた子どもに我慢や仲直りを強いることもあってはならない。学校が優先すべきなのは、被害児童生徒が安心して学び、生活できる環境を取り戻すことだ。
保護者にとっても、加害者への処分の重さだけで学校の対応を判断するのではなく、事実確認の正確さ、被害者の安全、個別指導の内容、継続的な見守りという四つの観点から対応を確認することが重要になる。
いじめをなくすために必要なのは、一度の謝罪や一時的な処分ではない。加害行為を止め、被害者を守り、学校全体の人間関係を改善し、同じ問題を繰り返さない仕組みをつくること。それこそが、2026年のいじめ対策に求められる本質である。
主な根拠資料:文部科学省「いじめ防止対策推進法」「生徒指導提要(改訂版)」「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(令和6年8月改訂)」「SNS上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について(2026年1月30日通知)」「平時からの備えに関する点検結果及びこれを踏まえた対応について(2026年3月19日通知)」。 (出典: いじめ の 加害 者(Yahoo!ニュース))