【検査と治療】神経伝導検査で原因を特定できる?指のしびれの治し方
指のしびれは、原因によって必要な検査も治療法も異なります。手首や肘での神経圧迫が疑われる場合と、首や脳、糖尿病など全身の病気が疑われる場合では、調べる対象が変わります。
神経伝導検査とは?どのようなことが分かるのか
指のしびれの診断で重要な検査の一つが、神経伝導検査です。
神経伝導検査は、皮膚の上から電気刺激を与え、神経を伝わる電気信号の速度や反応を調べる検査です。
主に次のような情報を確認します。
- 神経の電気信号が正常に伝わっているか。
- 神経の伝導速度が低下していないか。
- 神経障害がどの部分に生じているか。
- 神経障害の程度を評価する手掛かりがあるか。
手根管症候群では、手首の手根管を挟んだ正中神経の伝導速度を測定します。これによって、正中神経が手首付近で圧迫されている可能性を評価できます。
肘部管症候群など、ほかの末梢神経障害との鑑別にも役立ちます。
指のしびれで行われる主な検査
| 検査 | 調べる内容 |
|---|---|
| 神経伝導検査 | 神経の伝導速度や反応を確認する |
| 筋電図検査 | 筋肉や神経の機能を評価する |
| レントゲン検査 | 骨や関節の変形を確認する |
| MRI検査 | 頚椎や神経の圧迫、脳の病変などを調べる |
| 血液検査 | 血糖値など、全身性の病気に関係する情報を調べる |
すべての検査を一度に行うわけではありません。問診や身体診察で原因を推測し、必要な検査を選択します。
例えば、首から腕に症状が広がっている場合は頚椎の画像検査が検討され、両手足にしびれがある場合は糖尿病などの全身性疾患について血液検査を行うことがあります。
病気別に見る治療法
1.手根管症候群の治療
初期から中等度の場合は、手首の安静や負担軽減を中心とした保存療法が行われます。
主な治療法は次のとおりです。
- 手首に負担がかかる作業を減らす。
- シーネなどで手首を固定する。
- 消炎鎮痛薬などを使用する。
- 状態に応じてビタミンB12製剤を使用する。
- 手根管内への注射を検討する。
症状が改善しない場合や、親指の付け根の筋肉がやせている場合などは、手術が検討されます。
代表的な手術は手根管開放術です。圧迫の原因となる靱帯を切開し、正中神経への圧力を軽減します。内視鏡を使う方法や、小さな切開で行う方法があります。
2.肘部管症候群の治療
初期では肘への負担を減らし、安静を保つ保存療法が基本です。
- 長時間肘を深く曲げない。
- 肘を机などに押し付けない。
- 症状を悪化させる動作を避ける。
- 医師の判断で薬物療法や装具を利用する。
保存療法で改善しない場合や、筋肉の萎縮、麻痺の進行が認められる場合には、尺骨神経の圧迫を取り除く手術が検討されます。
靱帯の切離や神経の前方移行術などが代表的です。
3.頚椎症・頚椎椎間板ヘルニアの治療
頚椎が原因の場合は、首への負担を軽減することが治療の基本になります。
症状に応じて、消炎鎮痛薬、適切な方向への頚椎牽引、理学療法などの保存的治療が行われます。
ただし、筋力低下が著しい場合や、手指の細かい動作、歩行に障害が出ている場合は、手術が必要になることがあります。
4.糖尿病性神経障害の治療
糖尿病が原因の場合は、血糖コントロールを中心に治療します。
神経障害の程度や症状に応じて薬物療法などを組み合わせます。血糖値の管理だけでなく、足の傷や感覚低下にも注意が必要です。
指のしびれは自分で治せる?日常生活で気を付けたいこと
原因が一時的な圧迫であれば、姿勢を変えることで症状が改善することがあります。しかし、神経が継続的に圧迫されている場合は、生活習慣の改善だけでは十分でないことがあります。
日常生活では、次の点を意識してください。
- 長時間同じ姿勢でスマートフォンを操作しない。
- 手首を強く曲げたまま作業しない。
- 肘を机に押し付け続けない。
- 睡眠時に腕を身体の下敷きにしない。
- しびれが悪化する動作を繰り返さない。
強いマッサージや無理なストレッチで神経を刺激することは避けましょう。
特に、筋力低下や感覚の鈍さが続いている場合は、自己流の対処で受診を先延ばしにしないことが大切です。
【病院に行く目安】何科を受診する?救急車が必要な症状とは
指のしびれで受診する際、迷いやすいのが診療科の選び方です。
基本的には、症状の範囲や発症の仕方によって整形外科、脳神経内科、内科などを選びます。
指のしびれは何科を受診すればよい?
整形外科が適しているケース
- 親指や人差し指、中指が繰り返ししびれる。
- 小指と薬指がしびれる。
- 首や肩から腕にかけて痛みがある。
- 肘を曲げるとしびれが強くなる。
- 手首や肘の神経圧迫が疑われる。
手の症状を専門的に扱う手外科がある医療機関も選択肢です。
脳神経内科が適しているケース
- 両手や両足にしびれがある。
- 原因が分からないしびれが長く続いている。
- 感覚だけでなく筋力や歩行にも異常がある。
- 全身性の末梢神経障害が疑われる。
内科が適しているケース
- 糖尿病の治療中で手足がしびれる。
- 血糖値や栄養状態など全身的な問題が考えられる。
- 複数の症状が重なっている。
どの診療科を選ぶべきか判断できない場合は、まずかかりつけ医に相談しても構いません。
ただし、脳卒中が疑われる症状が突然現れた場合は、通常の外来受診ではなく救急車を呼んでください。
病院に行くべき症状と緊急度
| 症状・状態 | 受診の目安 |
|---|---|
| 突然、片側の手足や顔がしびれる | 直ちに119番 |
| ろれつが回らない、片側の腕が動かない | 直ちに119番 |
| 急に歩けない、視野が欠ける | 直ちに119番 |
| 手の筋力が徐々に低下している | 早めに整形外科・脳神経内科 |
| 指先の感覚が鈍い状態が続く | 早めに医療機関を受診 |
| 夜間や明け方にしびれを繰り返す | 整形外科で相談 |
| 一時的なしびれが姿勢変更後すぐに治まり、再発しない | 経過を観察。ただし再発時は受診 |
特に注意したい3つの危険サイン
① 突然の片側のしびれ
脳梗塞などの脳血管障害を疑う症状です。顔や足にも異常がないか確認し、救急要請してください。
② 手の筋力が落ちて物を落とす
神経の圧迫が進行している可能性があります。特に、親指の付け根や手の筋肉がやせてきた場合は注意が必要です。
③ 手指の不器用さと歩行障害が重なっている
頚椎症性脊髄症など、脊髄の圧迫が関係している可能性があります。ボタンを留めにくい、箸を使いにくい、階段で足がもつれるなどの変化を見逃さないでください。
脳卒中が疑われる場合、症状が一時的に改善しても救急対応が必要です。発症した時刻、または最後に症状がなかった時刻を記録しておくと、医療機関での判断に役立ちます。
【指のしびれ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:朝起きたときだけ指がしびれる場合も病院に行くべきですか?
朝起きたときに腕が身体の下敷きになっていて、姿勢を変えるとすぐに治まる場合は、一時的な圧迫による可能性があります。ただし、毎朝繰り返す、夜中にしびれで目が覚める、日中も症状が残る場合は整形外科を受診してください。手根管症候群などが隠れている可能性があります。
Q2:親指・人差し指・中指がしびれる場合、手根管症候群で間違いありませんか?
手根管症候群は代表的な原因ですが、必ずしも確定とは限りません。頚椎の神経根障害やほかの末梢神経障害でも似た症状が出ることがあります。診察や必要に応じた神経伝導検査などで原因を確認します。
Q3:指のしびれは自然に治りますか?
一時的な姿勢による圧迫なら、原因を取り除くことで改善する場合があります。一方、手根管症候群や肘部管症候群、糖尿病性神経障害などは、原因に応じた治療が必要です。筋力低下や筋肉の萎縮がある場合は、自然に治るのを待たずに受診してください。
まとめ:指のしびれは出る場所と発症の仕方で判断する
指のしびれは、どの指に症状が現れるか、夜間や朝方に悪化するか、片手だけなのか両手なのかによって、考えられる原因が変わります。
特に覚えておきたいのは、次のポイントです。
- 親指・人差し指・中指: 手根管症候群や正中神経の圧迫が代表的。
- 小指・薬指: 肘部管症候群や尺骨神経の圧迫が代表的。
- 首から腕に広がるしびれ: 頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアの可能性。
- 両手足に広がるしびれ: 糖尿病性神経障害など全身性の病気も考慮。
- 突然の片側のしびれや麻痺: 脳卒中の可能性があり、直ちに119番。
大切なのは、しびれを単なる疲労や血行不良と決めつけないことです。
神経の圧迫による症状は、早い段階で原因を特定して適切な治療を始めることが、筋力や手指の機能を守るうえで重要です。
しびれが繰り返される、感覚が戻らない、物をつまみにくくなったなどの変化があれば、医療機関で相談してください。
指のしびれは、症状そのものよりも、その背後にある原因を見極めることが重要です。突然の異常は救急対応を優先し、慢性的な症状も放置せず、適切な診断につなげましょう。 (出典: 指 の しびれ(Yahoo!ニュース))