日本のトカゲ全13種一覧!2026年最新の特徴・分布・見分け方と保全状況を徹底解説
日本のトカゲは、分類学的にはトカゲ科だけでなく、アガマ科やカナヘビ科、ヤモリ科などにも多様な種が含まれる。この記事では、まず一般にトカゲと呼ばれる仲間のうち、トカゲ科トカゲ属(Plestiodon)を中心に解説する。日本産の同属には、ニホントカゲやヒガシニホントカゲ、オカダトカゲ、キシノウエトカゲなどがいる。
2026年7月2日版の「日本産爬虫両生類標準和名リスト」では、トカゲ属の分類と和名にも重要な変更が反映されている。2025年に公表された研究によって、従来ひとまとめにされていたバーバートカゲの集団が再分類され、アマミバーバートカゲ、オキナワバーバートカゲ、イヘヤバーバートカゲ、クメバーバートカゲという区分が整理された。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 種類:2026年7月版の標準和名リストに掲載される日本産トカゲ属は13種。地域固有の種も多い。
- 見分け方:ニホントカゲ類は幼体の青い尾や光沢のある鱗が特徴。東西の分布と成長段階も判別材料になる。
- 保全状況:キシノウエトカゲやオキナワトカゲなどが環境省第5次レッドリストに掲載され、島嶼部の外来捕食者や生息地の改変が問題になっている。
【2026年最新版】日本のトカゲとは?標準和名リストで見る分類と種類
日本のトカゲを正しく理解するには、日常的な呼び方と生物学上の分類を区別する必要がある。
一般に「トカゲ」と呼ばれる生き物は、爬虫綱・有鱗目・トカゲ亜目に属する動物の総称として使われることがある。一方、分類上のトカゲ科にはトカゲ属、ヒメトカゲ属、スベトカゲ属などがあり、カナヘビ科やヤモリ科とは別の科に分類される。
日本産爬虫両生類標準和名リストの2026年7月版
日本爬虫両棲類学会が公開する「日本産爬虫両生類標準和名リスト」の現行版は、2026年7月2日版だ。日本に生息する爬虫類と両生類の標準的な和名、学名、分類上の位置づけを整理した資料である。
このリストは、単なる生き物の名前の一覧ではない。分類学の進展によって、これまで同じ種とされていた個体群が別種と判断された場合、和名や学名の対応関係も更新される。
2025年から2026年にかけて起きたバーバートカゲの分類変更
大きな変更の一つが、京都大学の栗田和紀氏と疋田努氏による研究だ。研究成果は学術誌「Species Diversity」の2025年11月25日公開論文として発表された。
研究では、琉球列島のバーバートカゲ(従来の広義のPlestiodon barbouri)について、分子系統と形態的特徴を組み合わせて分析。その結果、少なくとも4つの独立した系統が認められ、それぞれを別種として扱う分類体系が提案された。
その後、日本爬虫両棲類学会は2026年5月1日に新たな標準和名を掲載し、7月2日には従来のPlestiodon barbouriに対する「アマミバーバートカゲ」の名称を採択した。
現在の整理は次のとおりだ。
- アマミバーバートカゲ:奄美群島の個体群。
- オキナワバーバートカゲ:沖縄島北部・渡嘉敷島の個体群。
- イヘヤバーバートカゲ:伊平屋島の個体群。
- クメバーバートカゲ:久米島の個体群。
この変更は、単に名前が増えたという話ではない。島ごとに独自の進化を遂げてきた生物多様性が、分類学的にも明確になったことを意味する。
なお、標準和名リストと環境省レッドリストは役割が異なる。前者は名前と分類の基準、後者は絶滅の危険性を評価する資料である。両者の掲載名が同時に更新されるとは限らないため、調べる際には版と公表日を確認したい。
【日本のトカゲ一覧】代表的な13種の特徴・生息地・分布を比較
2026年7月版の標準和名リストで確認できる日本産トカゲ属は13種。それぞれ分布域が異なり、北海道から本州、伊豆諸島、奄美群島、沖縄諸島、宮古・八重山諸島まで、地域ごとに異なる進化の歴史を持っている。
まずは、13種の名前と主な分布、保全状況を整理する。
| 種類・学名 | 主な分布地域 | 特徴・保全状況 |
|---|---|---|
| アマミバーバートカゲ Plestiodon barbouri | 奄美群島 | 森林性の個体群。第5次RLでは旧掲載名のバーバートカゲがVU。 |
| イシガキトカゲ Plestiodon stimpsonii | 八重山諸島(与那国島を除く) | 石垣島、西表島などに分布。海岸から山地まで生息。 |
| イヘヤバーバートカゲ Plestiodon iheyaesilvae | 伊平屋島 | 2025年の分類研究で独立種として記載された。 |
| オオシマトカゲ Plestiodon oshimensis | 奄美群島、トカラ列島の一部 | 開けた海岸植生や集落周辺に生息。NT。 |
| オカダトカゲ Plestiodon latiscutatus | 伊豆半島・伊豆諸島 | 島ごとに幼体の色彩や繁殖特性が異なる。三宅島・八丈島・青ヶ島の個体群はLP。 |
| オキナワトカゲ Plestiodon marginatus | 沖縄諸島、与論島、沖永良部島、中之島 | 海岸や低地の開けた場所を好む。NT。 |
| オキナワバーバートカゲ Plestiodon toyamai | 沖縄島北部・渡嘉敷島 | 2025年に新種として記載。森林の多い山地に生息。 |
| キシノウエトカゲ Plestiodon kishinouyei | 宮古諸島・八重山諸島 | 日本最大のトカゲ。全長40cmを超えることもある。NT。 |
| クチノシマトカゲ Plestiodon kuchinoshimensis | 口之島 | トカラ列島の固有種。第5次RLではカテゴリー外。 |
| クメバーバートカゲ Plestiodon kumesilvae | 久米島 | 2025年に新種として記載された島嶼固有種。 |
| センカクトカゲ Plestiodon takarai | 尖閣諸島 | 限られた島に生息。絶滅危惧IB類(EN)。 |
| ニホントカゲ Plestiodon japonicus | 西日本 | 幼体の青い尾が特徴。日当たりのよい石垣や草地に生息。 |
| ヒガシニホントカゲ Plestiodon finitimus | 北海道・本州東部など | ニホントカゲとは別種。幼体は鮮やかな青い尾を持つ。 |
※RLは環境省レッドリストのカテゴリー、NTは準絶滅危惧、VUは絶滅危惧II類、ENは絶滅危惧IB類、LPは絶滅のおそれのある地域個体群を示す。新種の分類変更とレッドリストの評価時期にはずれがある。
ニホントカゲとヒガシニホントカゲは別の種類
以前は東日本から西日本まで広く同じニホントカゲとして扱われていたが、研究の進展によって分類が変更された。
2012年には、東日本側の集団がヒガシニホントカゲ(Plestiodon finitimus)として独立種に記載された。現在の大まかな分布は、ニホントカゲが西日本、ヒガシニホントカゲが北海道と東日本である。
両者の境界は、若狭湾沿岸から琵琶湖、三重県北西部、奈良県中部、和歌山県北部付近を通る地域が目安となる。ただし、分布境界には複雑な地域差があり、単純に都道府県だけで決められるものではない。
オカダトカゲは伊豆諸島の島ごとに個性が異なる
オカダトカゲは伊豆半島と伊豆諸島に分布する日本固有種だ。全長はおおむね15~27cmで、基本的な体型はニホントカゲに似ている。
興味深いのは、島によって幼体の模様が違うことだ。伊豆半島や伊豆大島の幼体は、黒っぽい胴体に明瞭な縦じまを持ち、尾も鮮やかな青色になる。一方、三宅島、八丈島、青ヶ島などでは、縦じまが不明瞭で、尾の青色が先端だけに限られる集団が見られる。
東邦大学などの研究では、島ごとに異なる捕食者の存在と、幼体の色彩や捕食回避行動の関係が調べられている。島という限られた環境の中で、捕食圧に応じた形態や行動の違いが生じてきたことを示す興味深い事例だ。
南西諸島には地域固有のトカゲが集中する
沖縄・奄美・宮古・八重山地域では、島ごとに異なるトカゲが分布する。オキナワトカゲは海岸植生や砂地、集落周辺などの開けた環境を好む一方、オキナワバーバートカゲは沖縄島北部や渡嘉敷島の山地の森林に生息する。
キシノウエトカゲは宮古・八重山諸島に分布する大型種で、同じトカゲ属でも体格が大きく異なる。イシガキトカゲやクチノシマトカゲなど、小さな島々に固有の種が存在する点も南西諸島の特徴である。
なお、日本産のトカゲ亜目全体まで範囲を広げると、トカゲ科のオガサワラトカゲ、アマミヒメトカゲ、オキナワヒメトカゲ、スベトカゲ類のほか、アガマ科のキノボリトカゲ類や、カナヘビ科のニホンカナヘビなども含まれる。13種はあくまでトカゲ属に限定した一覧だ。
【日本のトカゲの見分け方】ニホントカゲ・ヒガシニホントカゲ・オカダトカゲの違い
身近な場所でトカゲを見つけたとき、最初に確認したいのは体の光沢、幼体の模様、尾の色、そして見つけた地域である。
ニホントカゲの特徴
ニホントカゲは、成体と幼体で見た目が大きく変化する。
幼体は黒色から暗褐色の体に、頭部から胴体にかけて5本の淡い縦じまが入り、尾は鮮やかな青色をしている。光が当たると金属的な青い輝きが目立つため、初めて見た人には別の種類に見えることもある。
成長すると、背面はオリーブ色や茶褐色に変化し、体側の暗い縦模様も目立ちにくくなる。尾も胴体に近い色になり、幼体のような鮮やかな青色は失われていく。
熊本市動植物園の解説では、成体の大きさは全長約20cmとされ、昆虫やクモ、ミミズ、ワラジムシなどを食べる。繁殖期のオスは、あごや喉がオレンジ色になることも特徴だ。
ヒガシニホントカゲの特徴
ヒガシニホントカゲは、北海道や本州東部などに分布する。全長はおおむね15~25cmで、石垣や日当たりのよい斜面、草地、森林の縁などで見つかる。
幼体には青い尾と縦じまがあり、外見だけでニホントカゲと区別するのは難しい。観察地点が東日本か西日本かという地理情報が、重要な判別材料になる。
札幌市円山動物園の解説でも、ヒガシニホントカゲは日当たりのよい場所に生息し、昆虫やクモ、ミミズなどを食べる動物食の爬虫類として紹介されている。
オカダトカゲの特徴
オカダトカゲは、伊豆半島や伊豆諸島で見られる。体色には地域差が大きく、特に幼体の模様と尾の色は島によって異なる。
そのため、青い尾があるかどうかだけでニホントカゲと判定するのは危険だ。八丈島には人為的に移入されたニホントカゲも定着しており、両者の交雑が確認されている。
見分ける際は、地域、幼体の縦じま、尾の色、体の鱗の特徴を総合的に見る必要がある。
幼体の青い尾は何のためにある?
青い尾は単なる体色の特徴ではない。捕食者に襲われたとき、攻撃を体の重要な部分から尾へ誘導する防御上の役割があると考えられている。
尾が目立つことで捕食者の注意がそちらに向き、トカゲ本体が逃げる時間を稼げる。オカダトカゲの島ごとの色彩差は、こうした捕食回避の仕組みが環境によって変化することを示す事例でもある。
ただし、青い尾の鮮やかさは種や地域、成長段階によって異なる。すべてのトカゲが同じ色彩パターンを持つわけではない。
【ニホンカナヘビとの違い】体型・鱗・尾の長さで見分ける方法
庭や公園でよく見かける生き物の中には、ニホントカゲではなくニホンカナヘビである個体も多い。両者は同じ爬虫類であり、尾を自切するなど共通点もあるが、分類上は別の科に属している。
ニホントカゲとニホンカナヘビの比較
最も分かりやすい違いは、体表の質感と体型だ。
- ニホントカゲ:体が太く、胴体に丸みがある。鱗は滑らかで光沢が強い。
- ニホンカナヘビ:体が細長く、四肢や尾が長い。鱗に光沢がなく、ざらざらした印象がある。
- 尾の長さ:ニホンカナヘビは頭胴長に対して尾が非常に長く、全体的にスマートに見える。
- 幼体の色:ニホントカゲは黒っぽい体と青い尾が目立つ。ニホンカナヘビは幼体も成体に近い褐色系の体色をしている。
ニホンカナヘビはヘビではない
名前に「ヘビ」と付いているため、ヘビの仲間と誤解されることがあるが、ニホンカナヘビはカナヘビ科に属するトカゲ亜目の爬虫類だ。
福岡県の生物多様性情報総合プラットフォームによると、ニホンカナヘビは平地から低山地の庭、公園、草地などに生息し、小さな昆虫やクモ、ワラジムシなどを食べる。
また、ニホントカゲと同じく昼行性で、日光浴によって体温を上げてから活動する。両者が同じ石垣や草地で見つかることも珍しくない。
ニホンヤモリとの違いにも注意
もう一つ混同されやすいのがニホンヤモリだ。ニホンヤモリは主に夜間に活動し、家屋の壁や窓などに張り付く姿がよく見られる。
指先には壁面に張り付くための特殊な構造があり、ニホントカゲやニホンカナヘビのような地上中心の生活とは異なる。夜の窓辺で見つけた場合は、ニホンヤモリである可能性が高い。
【生態を解説】日本のトカゲの生息地・食べ物・尻尾切りの仕組み
日本のトカゲの多くは昼行性で、太陽の光を利用して体温を調整する変温動物だ。石垣や岩の上、草地の地面などで日光浴をする姿が観察される。
トカゲの生息地と分布
ニホントカゲやヒガシニホントカゲは、平地から山地まで幅広い環境に生息する。特に日当たりがよく、餌となる小動物がいて、外敵から身を隠せる場所を好む。
代表的な生息環境は次のとおりだ。
- 石垣や石積みの隙間
- 日当たりのよい草地や土手
- 森林の林縁や落ち葉の下
- 畑や農道の周辺
- 住宅地の庭や公園
- 海岸の砂地や岩場
特に石垣は、日光浴の場所であると同時に、外敵から逃げ込む隠れ場所にもなる。石積みの隙間が残っている環境は、トカゲが生活するうえで重要な役割を果たす。
一方、オキナワトカゲやオオシマトカゲなどは、海岸植生や集落周辺の開けた場所で見つかることが多い。キシノウエトカゲも草地や畑地、海岸林などを利用する。
日本のトカゲは何を食べる?
トカゲ属の多くは肉食性で、小型の無脊椎動物を中心に捕食する。
ニホントカゲの代表的な餌は、昆虫、クモ、ミミズ、ワラジムシ、コオロギなどだ。地面や石の下、草むらにいる小動物を探し、素早く捕らえて食べる。
オカダトカゲもクモ類やミミズ類などを食べる。三宅島の個体群では陸生の小型甲殻類を多く利用することが知られており、餌が少ない時期にはアリ類も捕食する。
キシノウエトカゲは体が大きいため、餌の種類も比較的幅広い。昆虫やミミズなどに加え、カエルや小型のトカゲを捕食した記録もある。
トカゲの尻尾切りの仕組みとは?
トカゲの代表的な防御行動として知られるのが「自切(じせつ)」だ。外敵に尾をつかまれたり、強い刺激を受けたりした際に、尾の一部を切り離して逃げる。
この現象は、尾の構造そのものに秘密がある。自切する能力を持つトカゲでは、尾椎の一部にあらかじめ切れやすい部分が形成されている。これを自切面という。
危険を感じると、関連する筋肉が収縮し、自切面に沿って尾が分離する。通常の外傷とは異なり、切断部位の組織構造によって出血が抑えられる仕組みになっている。
切り離された尾は、しばらくの間くねくねと動き続ける。この動きが捕食者の注意を引きつけ、その間にトカゲ本体は物陰へ逃げ込む。
つまり、尾を切ることは単に体の一部を失う行動ではなく、捕食者の攻撃対象をそらすための防御戦略なのだ。
切れた尻尾は元どおりに再生する?
自切した尾は再生するが、完全に元の構造へ戻るわけではない。
再生した尾の内部には、元の尾椎とは異なる軟骨性の構造が形成される。鱗や色彩、形状も元の尾と異なる場合があり、再生部分を観察すると境目が分かることもある。
また、尾は移動や姿勢の維持、エネルギーの蓄積にも関係する器官だ。再生には時間とエネルギーが必要になるため、自切はトカゲにとって無条件に得な行動ではない。
観察する際には、尾をつかんだり、無理に捕まえたりしないことが大切だ。
【環境省第5次レッドリスト】日本の希少なトカゲと絶滅危惧種の現状
日本のトカゲの中には、島という限られた環境に適応してきた結果、生息域が非常に狭い種も存在する。こうした種は、外来捕食者の侵入や土地開発などによって、個体数が急激に減少する危険がある。
2026年3月17日に公表された第5次レッドリスト
環境省は2026年3月17日、鳥類および爬虫類・両生類の第5次レッドリストを公表した。
公表資料によると、爬虫類・両生類は合計138種が掲載され、そのうち96種が絶滅危惧種と評価された。これは両分類群を合わせた数字であり、爬虫類だけの掲載数ではない。
日本のトカゲ属に関係する主な評価は以下のとおりだ。
- 絶滅危惧IB類(EN):センカクトカゲ
- 絶滅危惧II類(VU):バーバートカゲ(レッドリスト公表時の掲載名)
- 準絶滅危惧(NT):キシノウエトカゲ、オキナワトカゲ、オオシマトカゲ
- 絶滅のおそれのある地域個体群(LP):三宅島、八丈島、青ヶ島のオカダトカゲ
このほか、トカゲ属以外ではヨナグニキノボリトカゲが絶滅危惧II類、オキナワキノボリトカゲやサキシマキノボリトカゲが準絶滅危惧として評価されている。
キシノウエトカゲが減少している理由
キシノウエトカゲは、日本最大級のトカゲであり、宮古諸島と八重山諸島の固有種だ。全長40cmを超えることもあり、一般的なニホントカゲとは体格が大きく異なる。
環境省の評価資料によると、主な減少要因は生息地の改変と外来捕食者の影響だ。複数の島に導入されたイタチによる捕食が深刻で、個体数が著しく減少した地域もある。
道路整備や沿岸部の開発によって生息地が失われることも問題になっている。さらに、道路を横断する個体が車両にひかれる危険も指摘されている。
かつては比較的普通に見られた島でも、現在は発見が難しくなっている地域がある。島ごとの個体群を守るには、外来捕食者対策と生息地の維持を並行して進める必要がある。
オカダトカゲを脅かすイタチと外来ニホントカゲ
オカダトカゲは、伊豆半島と伊豆諸島の固有種だが、三宅島・八丈島・青ヶ島の地域個体群は、環境省の第5次レッドデータブックでLPに指定されている。
これらの島では、1960年代以降にニホンイタチが導入され、捕食圧が高まった。環境省の評価資料では、三宅島においてイタチ導入後の個体数が大幅に減少し、現在は生息場所が集落周辺の石垣などに限られる状況が報告されている。
八丈島では別の問題も起きている。2000年代に外来のニホントカゲの定着が確認され、在来のオカダトカゲとの交雑が進んでいる。
これは単純に個体数が減る問題だけではない。長い時間をかけて島ごとに形成されてきた遺伝的な固有性が失われる可能性がある。
環境省の評価では、三宅島・八丈島・青ヶ島の個体群は生物地理学的にも重要な地域個体群とされている。種そのものだけでなく、島ごとの独自性を維持する視点が必要になる。
センカクトカゲと島嶼固有種の危機
センカクトカゲは尖閣諸島に分布する固有種で、環境省第5次レッドリストでは絶滅危惧IB類(EN)に分類された。
生息地は尖閣諸島の限られた4島に集中し、合計面積も非常に小さい。環境省は、最大の生息地である魚釣島における野生化したヤギの増加と植生破壊を、存続を脅かす要因として挙げている。
この事例は、島の面積が小さいほど環境変化の影響が個体群全体に及びやすいことを示している。
レッドリスト掲載と法律による保護は同じではない
レッドリストは、生物学的な観点から絶滅の危険性を評価した資料だ。掲載されたからといって、すべての種に同一の捕獲・譲渡規制が自動的に適用されるわけではない。
環境省は、レッドリスト掲載種のうち特に保護の優先度が高い種について、自然的・社会的状況などを踏まえ、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種への指定などを検討する仕組みを設けている。
希少なトカゲを観察するときは、地域ごとの条例や天然記念物指定、採集規制なども確認したい。特に島嶼固有種は、生息地そのものが保全対象として重要になる。
【日本のトカゲに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:日本にはトカゲが何種類いる?
A1:2026年7月2日版の日本産爬虫両生類標準和名リストでは、トカゲ科トカゲ属に13種が掲載されている。さらに広義のトカゲ亜目には、ヤモリ類、キノボリトカゲ類、カナヘビ類なども含まれるため、どの分類範囲を対象にするかによって種類数は異なる。
Q2:ニホントカゲの幼体の尻尾はなぜ青い?
A2:鮮やかな青い尾には、捕食者の注意を尾に引きつけ、体の重要な部分への攻撃を避ける役割があると考えられている。ただし、尾の色や胴体の模様は種や地域によって異なる。
Q3:ニホントカゲとニホンカナヘビはどう見分ける?
A3:ニホントカゲは胴体が太めで鱗に光沢があり、ニホンカナヘビは細身で鱗に光沢がない。尾の長さにも違いがあり、カナヘビの方が全体に対して長い尾を持つ。
Q4:日本で一番大きなトカゲは?
A4:日本最大のトカゲとして知られるのはキシノウエトカゲだ。宮古・八重山諸島に分布し、全長40cmを超えることもある。
Q5:日本のトカゲは何を食べる?
A5:主に昆虫、クモ、ミミズ、ワラジムシなどの小動物を食べる。大型のキシノウエトカゲではカエルや小型のトカゲを捕食した記録もある。
Q6:トカゲの尻尾は何度でも再生する?
A6:自切する種類では尾が再生するが、元の尾と完全に同じ構造には戻らない。再生部分には軟骨性の構造が形成され、色や形にも違いが出る。再生には時間とエネルギーが必要になる。
Q7:日本のトカゲは絶滅危惧種なの?
A7:すべてが絶滅危惧種というわけではない。2026年の第5次レッドリストでは、センカクトカゲが絶滅危惧IB類、キシノウエトカゲやオキナワトカゲなどが準絶滅危惧に評価されている。オカダトカゲについては、三宅島・八丈島・青ヶ島の地域個体群がLPに指定されている。
まとめ:日本のトカゲを見分ける鍵は種類・地域・保全状況にある
日本のトカゲは、身近なニホントカゲだけではない。ヒガシニホントカゲやオカダトカゲ、オキナワトカゲ、キシノウエトカゲなど、地域ごとに異なる特徴を持った多様な種類が生息している。
2026年7月2日版の標準和名リストでは、トカゲ属の分類が13種に整理され、2025年の研究を受けたバーバートカゲの再分類も反映された。分類学の進歩によって、これまで一つの種として見られていた島ごとの個体群の違いが、より明確になっている。
見分ける際には、幼体の青い尾だけで判断せず、鱗の光沢、体型、成長段階、生息地域を組み合わせることが大切だ。ニホントカゲとニホンカナヘビの違いも、鱗の質感と尾の長さを確認すれば理解しやすい。
そして、希少種の保全という観点では、キシノウエトカゲやオカダトカゲの事例が重要な示唆を与えている。外来捕食者や生息地の開発、島嶼間の遺伝的な独自性の喪失は、単に一種類の生き物が減るという問題にとどまらない。
日本のトカゲを観察するときは、捕まえることよりも、どの地域にどの種類が生息し、どのような環境で暮らしているのかを知ることに価値がある。身近な石垣や草地にいる一匹にも、日本列島の長い地史と進化、生態系の変化が刻まれている。
2026年以降も分類研究や生息状況の調査によって、日本のトカゲの種類と保全に関する理解は更新されていく。最新の標準和名リストと環境省のレッドリストを併せて確認することが、正確な知識を得るための基本となる。
主な根拠資料
(出典: 日本 の トカゲ(Yahoo!ニュース))