耕作放棄地とは?荒廃農地・遊休農地との違いと2026年最新統計、再生策を徹底解説
耕作放棄地とは、以前は農作物を栽培していたものの、過去1年以上作物を作付けせず、今後も再び耕作する明確な意思がない土地を指します。農林水産省の統計上の定義では、多少の手入れをすれば再び農地として利用できる可能性がある土地が対象です。ただし、農地としての利用が物理的・経済的に困難になり、原野化した土地とは区別されます。
2026年11月現在、農林水産省が公表している最新の荒廃農地面積調査は令和6年度の調査結果です。2025年3月末時点の荒廃農地は全国で25万6,667ha(約25.7万ha)に達し、そのうち約9.8万haは再生利用が可能と判定されています。耕作放棄地と荒廃農地、遊休農地は似た言葉ですが、定義や調査目的は異なります。現状の統計から発生原因、再生費用、2026年度の補助制度、農地バンクを利用した売買・貸借まで、土地の活用を考えるうえで必要な情報を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 定義:耕作放棄地は過去1年以上作付けせず、再び耕作する明確な意思がない土地を指す統計上の用語。
- 最新統計:2025年3月末時点の荒廃農地は約25.7万haで、約9.8万haは再生利用が可能と判定されている。
- 再生・活用:農地バンクや農地法に基づく貸借、2026年度の荒廃農地再生支援事業などを利用できる場合がある。
【基本知識】耕作放棄地とは?農林水産省の定義と意味を解説
耕作放棄地は、農業を営んでいた土地が利用されなくなった状態を表す言葉です。単に今年は作物を植えていないというだけでは、必ずしも耕作放棄地には該当しません。
耕作放棄地の正式な統計上の定義
農林水産省の農業資源調査では、耕作放棄地を次のような土地として定義しています。
- 以前は耕地として利用されていた土地である。
- 過去1年以上、作物を栽培していない。
- この数年間に再び耕作する明確な考えがない。
- 多少の手入れをすれば、耕地として利用できる可能性がある。
重要なのは、単なる休耕とは異なり、今後の耕作再開の意思が判断要素に含まれることです。
例えば、農家が翌年の水稲栽培に備えて一時的に田んぼを休ませている場合や、土壌改良のために計画的な休耕をしている場合は、直ちに耕作放棄地と判断されるわけではありません。
一方、所有者が高齢になり、農作業を続けられず、後継者もいないため、今後も耕作する予定がない土地は該当する可能性があります。
耕作放棄地は必ずしも完全な荒れ地ではない
耕作放棄地という言葉から、雑草や樹木が生い茂った土地を想像する人も少なくありません。しかし、定義上は、農地として再利用できる可能性が残っている土地も含まれます。
草刈りや耕起、土壌改良などを行えば農作物を栽培できる土地もあれば、長年の放置によって灌木が繁茂し、大規模な整備が必要になっている土地もあります。
農林水産省の定義では、農業用機械による通常の耕起だけでは栽培できないほど荒廃した土地など、物理的・経済的に耕地として利用する可能性がないものは、耕作放棄地の対象から除外されます。
耕作放棄地と休耕地は何が違う?
休耕地は、農地を一時的に耕作しない状態を表す一般的な言葉です。土壌の回復、作付け計画の変更、農業経営上の事情など、休耕にはさまざまな理由があります。
耕作放棄地との大きな違いは、今後の耕作再開を予定しているかどうかです。休耕は計画的な農地管理の一環である場合がありますが、耕作放棄地は再開する明確な意思がない点に特徴があります。
【徹底比較】耕作放棄地・荒廃農地・遊休農地の違いとは
耕作放棄地、荒廃農地、遊休農地は、いずれも農地が十分に活用されていない状況に関連する用語です。しかし、同じ意味で使えるわけではありません。
特に重要なのは、耕作放棄地が主に統計上の概念であるのに対し、遊休農地は農地法に基づく管理・利用促進の対象であり、荒廃農地は実際の農地の状態に着目した分類であることです。
3つの用語の定義と特徴
| 区分 | 定義・判断基準 | 主な目的・特徴 |
|---|---|---|
| 耕作放棄地 | 以前耕作していた土地で、過去1年以上作付けせず、今後数年間に再び耕作する明確な意思がない土地 | 農業統計上の概念。過去の耕作実績や再開意思を重視する |
| 荒廃農地 | 耕作されなくなり、通常の農作業では作物の栽培が客観的に困難な状態になった農地 | 農地の荒廃状況を把握し、再生利用の可能性を判断する |
| 遊休農地 | 現に耕作されておらず、今後も耕作されないと見込まれる農地、または周辺の農地と比べて利用状況が著しく劣る農地 | 農地法に基づき、利用状況調査や所有者への利用意向調査などを行う |
耕作放棄地と荒廃農地の違い
両者の違いは、土地の荒廃状況と調査上の位置づけにあります。
耕作放棄地は、一定期間作物を栽培していないことや、耕作を再開する意思がないことを基準にした統計上の概念です。一方、荒廃農地は、現地の状態を確認し、通常の農作業で作物を栽培できるかどうかという観点から判断されます。
荒廃農地は、さらに次の2種類に分類されます。
- 再生利用が可能な荒廃農地:草刈りや抜根、整地、基盤整備などを実施することで農地として利用できる見込みがある土地。
- 再生利用が困難と見込まれる荒廃農地:森林化や原野化などが進み、農地としての再生が物理的・経済的に困難と判断される土地。
この分類は、土地の再生事業や支援制度を検討する際にも重要です。
耕作放棄地と遊休農地の違い
遊休農地は、農地法第32条などに基づく制度上の用語です。農業委員会が農地の利用状況を調査し、対象となる土地の所有者などに利用意向を確認します。
遊休農地は、単純に作付けされていない期間だけで判断されるわけではありません。今後の耕作が見込まれるか、草刈りや耕起などの維持管理が行われているか、周辺農地と比較して適切に利用されているかといった点も判断材料になります。
そのため、一定期間作付けしていない土地であっても、維持管理や利用計画の状況によって扱いが異なります。
なお、2021年度からは、農地法に基づく遊休農地の利用状況調査と、従来の荒廃農地調査が統合されました。2026年現在、農地の現状を把握する際には、こうした制度の変化を踏まえて統計を読む必要があります。
【2026年最新統計】耕作放棄地の現状と荒廃農地25.7万haの実態
耕作放棄地の問題を考えるうえで、全国の荒廃農地面積は重要な指標です。
農林水産省が2025年12月26日に公表した令和6年度の荒廃農地面積調査によると、2025年3月31日時点の全国の荒廃農地面積は25万6,667haでした。
これは約25.7万haに相当します。2026年11月現在、農林水産省の公表資料で確認できる最新の年度別調査結果は、この令和6年度分です。調査の対象時点と公表時期を混同しないことが大切です。
令和6年度の荒廃農地面積の内訳
最新の調査結果を詳しく見ると、荒廃農地全体のうち、再生利用が可能な土地と、再生利用が困難と見込まれる土地には大きな差があります。
- 荒廃農地の総面積:256,667ha
- 再生利用が可能な荒廃農地:97,992ha
- 再生利用が困難と見込まれる荒廃農地:158,674ha
- 新たに発生した荒廃農地:23,680ha
- 新たに再生利用された荒廃農地:8,445ha
再生利用が可能な約9.8万haに対し、再生利用が困難と見込まれる土地は約15.9万haです。つまり、荒廃農地のすべてを元の農地に戻せるわけではありません。
また、2024年度には約2.4万haの荒廃農地が新たに発生した一方、新たに再生利用された面積は約0.8万haでした。新規発生を抑える取り組みと、既存の荒廃農地を活用する取り組みの両方が求められています。
25.7万haという数字をどう読むべきか
25.7万haという数字は、全国の荒廃農地の累計的な状況を示すものです。2025年3月末に新たに25.7万haが放棄されたという意味ではありません。
また、この数字は耕作放棄地の定義に基づく単純な集計ではなく、荒廃農地の現地調査による面積です。耕作放棄地の面積と荒廃農地の面積を、そのまま同じ統計として比較することはできません。
農地の再生可能性を考える場合、総面積だけでなく、再生利用が可能な土地がどれほどあるのか、地域の担い手が確保できるのかという視点が欠かせません。
【原因を分析】なぜ耕作放棄地は増える?高齢化・後継者不足・採算性の問題
耕作放棄地が発生する背景には、農業従事者の高齢化だけでなく、農業経営を取り巻く複数の構造的な問題があります。
1. 農業従事者の高齢化と死亡・病気
農林水産省の令和6年度の農業に関する分析では、新たに発生した荒廃農地の主な理由として、農業者の高齢化、病気、死亡が挙げられています。
農業は、作付けだけでなく、日常的な草刈り、水路の管理、農機具の整備などにも継続的な労力が必要です。高齢化によってこうした作業が難しくなると、耕作を続けること自体が困難になります。
特に、農地所有者が突然亡くなった場合、相続人が農業を引き継ぐとは限りません。相続人が都市部に住んでいる場合や、農業経験がない場合には、農地の管理が後回しになりやすいという問題もあります。
2. 後継者不足と農業の担い手減少
農業を引き継ぐ若い世代が見つからないことも、耕作放棄地の発生につながります。
農地を所有していても、農業機械や施設を引き継ぐ人がいなければ、継続的な営農は簡単ではありません。新たに農業を始める人にとっても、機械の購入費、土地の確保、技術習得などが負担になります。
地域全体で担い手が減少すると、近隣の農家が引き受けられる農地にも限界が生まれます。
3. 農業経営の採算が合わない
農作物の販売価格に対して、生産費や人件費、燃料費、肥料代、農機具の維持費などが高くなると、農地を維持する経済的なメリットが小さくなります。
特に小規模な農地や、区画が細かく分かれた農地では、農業機械の効率的な利用が難しく、作業時間も長くなりがちです。
農業を続けるほど赤字が拡大するような状況では、所有者が耕作を断念するケースも出てきます。
4. 中山間地域の地形と鳥獣被害
山間部や傾斜地にある農地は、平地と比べて機械を使った作業が難しく、農道や水路の維持管理にも手間がかかります。
また、シカ、イノシシ、サルなどによる鳥獣被害が発生すると、作物を育てても十分な収穫が得られないことがあります。防護柵の設置や補修にも費用と労力が必要です。
こうした負担が積み重なり、営農を継続することが難しくなると、農地の放置につながります。
5. 所有者不明・相続問題
農地の相続登記が適切に行われていなかったり、相続人が多数に分かれていたりすると、農地の売却や貸し出しについて合意を得ることが難しくなります。
所有者の所在が分からない場合には、利用希望者がいても契約を進められないことがあります。
農地の管理を行う人がいなくなることと、権利関係が複雑になることが重なると、荒廃がさらに進む悪循環が生まれます。
【再生方法と費用】耕作放棄地を農地に戻す手順と活用できる方法
耕作放棄地の再生では、最初から大規模な農業を始めようとするのではなく、土地の状態を調べ、必要な作業を整理することが重要です。
耕作放棄地を再生する基本的な手順
STEP1:所有者と土地の権利関係を確認する
最初に確認するのは、土地の所有者、登記情報、相続関係、境界です。土地の所有者が分からない場合や共有者が複数いる場合は、権利関係を整理する必要があります。
STEP2:現地調査を行う
農地の状態を確認し、雑草や樹木の繁茂状況、土壌の状態、排水設備、用水路、農道へのアクセス、傾斜などを調べます。
同じ耕作放棄地でも、数年間草刈りをしていない程度の土地と、長年放置され樹木が繁茂した土地では、必要な整備が大きく異なります。
STEP3:再生に必要な作業を決める
現地調査の結果をもとに、草刈り、抜根、石の除去、整地、耕起、排水改善、土壌改良など、必要な作業を決めます。
STEP4:作付けする農作物を選ぶ
土地の広さ、日照条件、土壌、地域の気候、水の確保、販売先などを考慮し、栽培する作物を選びます。
水田として利用するのか、畑にするのか、果樹や飼料作物を栽培するのかによって、必要な設備や整備費用も変わります。
STEP5:継続的な管理体制を確保する
再生後に再び放置されないよう、誰が草刈りや水路管理を行うのか、収穫物をどこに販売するのかまで決めておく必要があります。
耕作放棄地の再生にかかる費用
耕作放棄地の再生費用には、全国一律の標準価格はありません。土地の荒廃状況、面積、地形、作業機械が入れるかどうか、必要な工事の内容によって大きく変動します。
主な費用項目は次のとおりです。
- 草刈り費用:雑草や背の高い草を除去する作業費。
- 伐採・抜根費用:灌木や樹木を伐採し、根を取り除く費用。
- 整地・耕起費用:土地を平らにし、作物を栽培できる状態にする費用。
- 排水・用水設備費用:排水路や農業用水の機能を回復させる費用。
- 土壌改良費用:土壌診断や肥料、土壌改良材などにかかる費用。
- 鳥獣害対策費用:防護柵や侵入防止設備などの設置費用。
例えば、10a(1,000平方メートル)の土地であっても、草刈りと耕起だけで済む場合と、樹木の伐採や抜根、排水設備の修復まで必要な場合では、総費用が大きく異なります。
費用を抑えるには、作業内容を細かく分けて見積もりを取り、自治体の補助事業や地域の農業者との共同作業を検討する方法があります。
再生した土地の活用方法
農地を再生した後は、必ずしも従来と同じ作物を栽培する必要はありません。
- 水稲栽培:用水や排水設備が整った土地で、従来の水田利用を再開する。
- 野菜・穀物栽培:畑として整備し、地域の需要に合った農作物を生産する。
- 果樹栽培:地形や気候に適した果樹を導入する。
- 飼料作物・牧草:畜産農家との連携によって、飼料生産や放牧などに活用する。
- 粗放的な土地利用:地域の実情に応じて、管理負担を抑えながら農用地を保全する。
農林水産省も、農地の全面的な集約・集積だけでなく、放牧などを含む粗放的な利用を取り入れた土地利用を支援しています。
【2026年度版】耕作放棄地の補助金・支援制度と農地法、売買・貸借の注意点
耕作放棄地を再生したい人や、農地を貸したい所有者にとって、補助金や農地バンクの活用は重要な選択肢です。
ただし、補助制度には対象地域や事業主体、農地の状態、利用計画などの条件があります。土地を所有しているだけで自動的に補助金を受け取れるわけではありません。
1. 荒廃農地再生支援事業
2026年度の農林水産省の支援策として、農山漁村振興交付金の「最適土地利用総合対策」があります。この対策の一つに、荒廃農地再生支援事業が設けられています。
話し合いなどを通じて耕作再開を目指す荒廃農地について、再生作業や簡易な基盤整備、土地改良などを支援する制度です。
主な条件は次のとおりです。
- 補助率:対象事業費の2分の1以内。
- 事業費:200万円未満の事業。
- 対象地域:農業振興地域の農用地区域内の農地など、所定の要件を満たす土地。
- 対象者:市町村、農地所有者、耕作者など。
- 権利関係:賃借権や使用貸借権、所有権の移転が行われているか、移転が確実であること。
- 継続利用:事業完了後、原則として5年以上耕作を継続すること。
- 地域計画:事業完了後3年以内に地域計画に取り込むことなど。
例えば、対象経費が100万円の場合、補助率だけを単純に当てはめれば50万円相当が補助の目安になります。ただし、実際の交付額は対象経費や審査、事業要件によって決まります。
2. 最適土地利用総合対策
最適土地利用総合対策は、農地の再生だけでなく、地域全体で土地をどのように使い続けるかを考えるための支援制度です。
例えば、農業を続ける土地と、放牧などの粗放的利用を行う土地を地域の話し合いによって区分し、必要な整備や管理体制の構築を進めます。
2026年度の制度では、最適土地利用総合事業について、ソフト事業は定額、ハード事業は原則として55%などの補助率が設定されています。対象となる取り組みや事業区分によって条件は異なります。
3. 多面的機能支払交付金・中山間地域等直接支払交付金
荒廃農地の発生を防ぐためには、耕作を再開するだけでなく、地域全体で農地を管理する仕組みも必要です。
多面的機能支払交付金は、農業・農村が持つ水路や農道の保全、農地周辺の環境維持などの共同活動を支援する制度です。
中山間地域等直接支払交付金は、平地と比べて農業生産条件が不利な中山間地域などで、農地を維持するための取り組みを支援します。
これらは、個人の耕作放棄地の再生費用を無条件で補助する制度ではありません。対象地域や集落協定、活動内容などの要件を確認する必要があります。
4. 農地中間管理機構・農地バンクを利用する
農地中間管理機構は、一般に「農地バンク」と呼ばれる組織です。
農地の所有者から農地を借り受け、農業の担い手や規模拡大を希望する農業者などに貸し付けることで、農地の集積・集約化を進めています。
農地バンクを利用するメリットは、所有者自身が借り手を探す負担を軽減できることです。地域計画に基づき、遊休農地や所有者不明農地を含めた農地の利用調整を進める役割も担っています。
ただし、農地の状態や貸し付けの条件、地域の受け手の状況によっては、希望どおりに貸し出せるとは限りません。特に荒廃が著しい土地は、再生作業や利用条件の整理が先に必要になる場合があります。
5. 耕作放棄地の売買・貸借と農地法
耕作放棄地であっても、農地として登記・管理されている土地を自由に売買できるわけではありません。
農地を農地のまま売買または貸借する場合、原則として農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。許可を受けずに行った権利移動は、法律上の効力が認められません。
農地の権利移動には、主に次の2つの方法があります。
- 農地法に基づく方法:当事者が農業委員会に申請し、許可を受けて売買や貸借を行う。
- 農地中間管理機構を利用する方法:農地バンクが関係する農用地利用集積等促進計画によって権利の設定・移転を進める。
また、農地を宅地や駐車場、太陽光発電設備など、農業以外の目的に利用する場合には、農地転用に関する手続きが別途必要です。農地が荒れているからといって、自由に別用途へ変更できるわけではありません。
耕作放棄地を売却・貸し出す前に確認したいこと
土地の所有者が売却や貸し出しを検討する場合には、まず市町村の農政担当窓口や農業委員会に相談することが有効です。
確認しておきたいのは、農地の地目、農業振興地域・農用地区域への指定、所有者や相続人、境界、現況、再生可能性などです。
特に相続した農地は、登記上の名義と実際の管理者が異なることがあります。売買や貸借を進める前に、権利関係を整理しておくことが重要です。
【プロの結論】耕作放棄地を再生するべき土地・活用を見直すべき土地の判断基準
耕作放棄地の問題は、単に雑草を刈り、再び作物を植えれば解決するものではありません。土地の状態、地域の農業需要、作業を担う人、継続的な管理費用を総合的に判断する必要があります。
再生利用に向いている土地
- 農業用機械が入りやすく、農道へのアクセスが確保されている。
- 用水や排水の設備が利用できる、または比較的容易に復旧できる。
- 雑草や低木の除去など、比較的小規模な整備で再生できる。
- 近隣に農業の担い手や農地の借り手がいる。
- 再生後に栽培する作物や販売先の見通しがある。
再生を慎重に検討したい土地
- 傾斜が強く、農業用機械の利用が難しい。
- 樹木や灌木の繁茂が進み、大規模な抜根や造成が必要になる。
- 水路や農道が失われ、復旧費用が大きくなる。
- 周辺に農業の担い手がなく、再生後の管理者を確保できない。
- 所有者や境界、相続関係が整理されていない。
再生利用が困難な土地については、無理に従来の農業に戻そうとするのではなく、地域計画に沿った土地利用の見直しや、適切な保全方法を検討することも必要です。
最初に相談すべき窓口
耕作放棄地の所有者や、新たに農業を始めたい人が相談できる主な窓口は次のとおりです。
- 市町村の農政担当課:補助金、地域計画、農地の活用方針などを相談できる。
- 農業委員会:遊休農地の調査、農地の権利移動、利用意向調査などを相談できる。
- 農地中間管理機構:農地の貸し出しや借り受け、農地の集積・集約化を相談できる。
- 農業協同組合(JA):地域の営農情報、農業資材、販売先などを相談できる。
特に補助金の利用を考えている場合は、工事や草刈りを始める前に相談することが重要です。事業によっては、採択や交付決定前に着手した作業が補助対象外になる可能性があります。
耕作放棄地に関するよくある質問(FAQ)
Q1:耕作放棄地とは、何年以上耕作していない土地のことですか?
A1:農林水産省の統計上の定義では、過去1年以上作物を栽培しておらず、さらにこの数年間に再び耕作する明確な考えがない土地を指します。単に1年間作付けしていないという理由だけで、すべてが耕作放棄地になるわけではありません。
Q2:2026年現在、日本の耕作放棄地は何haありますか?
A2:2026年現在、最新の公表資料で確認できる2025年3月末時点の荒廃農地面積は25万6,667ha、約25.7万haです。このうち、再生利用が可能な荒廃農地は97,992ha、約9.8万haとなっています。ただし、これは耕作放棄地そのものの統計ではなく、荒廃農地の調査結果です。
Q3:耕作放棄地は購入したり、借りたりできますか?
A3:購入や賃借は可能ですが、農地として利用する場合は原則として農地法第3条に基づく農業委員会の許可など、所定の手続きが必要です。農地中間管理機構を通じて借り受ける方法もあります。農地の状態や地域計画、権利関係によって手続きが異なるため、事前に農業委員会へ相談してください。
まとめ:【プロの結論】耕作放棄地の再生は現状把握と地域連携が成功の鍵
耕作放棄地とは、以前耕作されていたものの、過去1年以上作付けせず、今後も再び耕作する明確な意思がない土地を指す統計上の概念です。荒廃農地や遊休農地とは定義や制度上の位置づけが異なります。
2025年3月末時点の荒廃農地は約25.7万haに達し、そのうち約9.8万haは再生利用が可能とされています。高齢化、後継者不足、採算性の悪化、鳥獣被害、相続問題など、発生の背景は複雑です。
一方、農地バンクによる貸借や、2026年度の荒廃農地再生支援事業、最適土地利用総合対策など、再生や保全を後押しする仕組みも整備されています。
大切なのは、すべての土地を無理に農地へ戻すことではありません。再生できる土地は地域の担い手と結び付けて農業利用を進め、再生が難しい土地は地域の実情に応じた保全や土地利用を検討することです。
耕作放棄地を所有している人も、これから農地を借りて農業を始めたい人も、最初の一歩は市町村の農政担当課や農業委員会への相談です。土地の現況、権利関係、再生費用、補助制度を確認し、長期的に維持できる利用方法を選ぶことが、耕作放棄地の有効活用につながります。
主な公的根拠資料: 農林水産省「令和6年度の荒廃農地面積について」「農業資源調査の概要」「遊休農地対策について」「農地をめぐる事情について」「令和8年度 最適土地利用総合対策」。 (出典: 耕作 放棄 地 と は(Yahoo!ニュース))