骨盤後傾とは?反り腰との違い・原因からセルフチェックと改善方法まで徹底解説
骨盤後傾とは、骨盤が本来の位置から後ろ向きに傾いた姿勢のことです。立っているときにお尻が下がって見える、座ると背中が丸くなる、腰の自然なカーブが少なくなるといった特徴が見られる場合があります。長時間のデスクワークやソファでの座り方、股関節周辺の柔軟性、体幹や股関節を支える筋肉の働きなど、複数の要素が関係します。
ただし、骨盤後傾そのものが病気というわけではなく、後傾している人が必ず腰痛になるわけでもありません。2026年5月には、長時間のソファ座位と骨盤後傾、慢性腰痛の関係を調べた研究も公開されました。反り腰との違い、骨盤後傾のセルフチェック、日常生活での改善方法、ストレッチや筋トレの選び方まで、医学的な研究と公的医療情報を踏まえて解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 骨盤後傾の特徴:骨盤が後ろに回転し、腰椎の自然な前弯が小さくなる姿勢。
- 主な関連要素:長時間の座位、姿勢の習慣、股関節の可動性、筋力や身体の動かし方などが関係する。
- セルフチェック:横からの姿勢や座ったときの骨盤の動きを確認する。ただし、見た目だけでは診断できない。
- 改善の基本:座り方の調整、無理のない運動、必要に応じたストレッチと筋力トレーニングを組み合わせる。
- 大切な注意点:骨盤を無理に前傾させるのではなく、自分で自然に動かせる状態を目指す。
【基本知識】骨盤後傾とは?姿勢の仕組みと身体に起こる変化
骨盤後傾の定義と身体の構造
骨盤は、背骨の下部と股関節をつなぐ身体の土台です。左右の寛骨と仙骨などで構成され、上半身の重さを支えながら、歩く、座る、立つといった動作を支えています。
骨盤には大きく分けて前傾と後傾という動きがあります。
- 骨盤前傾:骨盤の上部が前方に回転し、腰椎の前弯が強くなる方向の動き。
- 骨盤後傾:骨盤の上部が後方に回転し、腰椎の前弯が小さくなる方向の動き。
- 中間位:前傾と後傾の間にある、無理なく身体を支えられる位置。
骨盤が後傾すると、腰椎の自然な反りが小さくなり、腰から背中にかけて丸みが強く見えることがあります。さらに、上半身の重心を保つために胸椎や頭部の位置も変化する場合があります。
ここで理解しておきたいのは、骨盤と背骨が別々に働いているわけではないという点です。骨盤の角度が変わると、その上にある腰椎や胸椎、さらに頭の位置まで連動して変化します。これが骨盤後傾における姿勢の仕組みです。
骨盤後傾に見られやすい身体的特徴
骨盤後傾が強い人には、次のような姿勢の特徴が見られることがあります。
- 横から見ると腰のくびれが少なく見える。
- お尻が下向きになり、平坦に見える。
- 立っているときに尾骨を内側へ巻き込むような姿勢になる。
- 座ると骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まりやすい。
- 長時間座った後に腰や背中の疲労を感じる。
- 股関節を曲げたり伸ばしたりするときに動かしにくさを感じる。
ただし、これらはあくまで姿勢を観察するときの参考情報です。体格、骨格、筋肉の付き方によって見え方は変わるため、ひとつの特徴だけで骨盤後傾と判断することはできません。
【原因を徹底解説】骨盤後傾になる理由は?座り方と筋肉の関係
1. 長時間の座り姿勢と骨盤の位置
骨盤後傾に関係する生活習慣のひとつが、長時間にわたる座位です。
椅子に浅く腰掛けて背中を丸めたり、ソファに深く沈み込んだりすると、骨盤が後ろに倒れやすくなります。背もたれに身体を預けたまま、骨盤が滑り落ちるような姿勢も同様です。
特にデスクワークでは、画面を見るために頭が前に出たり、腕を机に置いて上半身を固定したりすることがあります。その結果、骨盤の位置を細かく調整する機会が減り、同じ姿勢が続きやすくなります。
2026年5月16日に医学誌「European Spine Journal」で公開された研究では、慢性の非特異的腰痛がある18人と、腰痛のない19人を対象に、ソファに30分間座ったときの姿勢変化が調査されました。
研究では、両グループとも30分後に骨盤後傾が進み、腰痛のあるグループでは、骨盤後傾の増加と痛みの悪化との間に統計的な関連が認められました。一方、腰痛のないグループでは同様の関連は確認されませんでした。
この研究は、ソファでの長時間の座位が一部の腰痛患者に影響する可能性を示すものです。ただし、参加者は合計37人と少なく、すべての人に当てはまる因果関係を証明した研究ではありません。座り方は重要な要素ですが、骨盤後傾の原因を座り方だけに限定することはできません。
2. 股関節周辺の筋肉の柔軟性
骨盤の動きには、股関節周辺の筋肉や腱が関係しています。
特に注目されるのが、太ももの裏側にあるハムストリングスです。ハムストリングスは坐骨から膝の下にかけてつながる筋肉群で、股関節を伸ばしたり膝を曲げたりする働きを持っています。
この筋肉の柔軟性が不足していると、股関節を曲げたときに骨盤の動きが制限され、後傾方向への動きに影響する場合があります。
また、大殿筋などのお尻の筋肉や、股関節周辺の組織の柔軟性も、骨盤の位置や動作に関係します。
ただし、筋肉が硬いから必ず骨盤後傾になるという単純な関係ではありません。筋肉の長さだけでなく、筋力、運動の習慣、関節の状態などを総合的に考える必要があります。
3. 体幹や股関節を支える筋力・運動機能
骨盤は、腹筋群、背筋群、股関節周辺の筋肉などによって支えられています。
身体を起こした状態で骨盤を安定させるには、腹部や背中の筋肉が適切に働く必要があります。また、股関節を動かす筋肉も、立位や歩行時の姿勢調整に関わります。
運動不足や活動量の低下によって、これらの筋肉の持久力や協調性が低下すると、姿勢を保つことが難しくなる場合があります。
重要なのは、単純に腹筋が弱い、背筋が弱いと決めつけないことです。筋肉が十分にあっても、動かすタイミングや身体全体の連携がうまくいかない場合があります。
4. 加齢や骨格・身体構造の影響
年齢を重ねると、筋力や関節の可動性、背骨の形状などが変化することがあります。円背などの脊柱の変化に伴い、座ったときに骨盤が後傾するケースもあります。
また、生まれ持った骨格や股関節の形状、脊椎の状態によっても、自然な骨盤の角度には個人差があります。
そのため、他人の姿勢と比較して骨盤の角度を無理に合わせる必要はありません。重要なのは、姿勢によって痛みや動作の制限が生じていないか、日常生活に支障が出ていないかという点です。
【セルフチェック】骨盤後傾の見分け方と反り腰との違い
自宅でできる骨盤後傾セルフチェック
骨盤後傾の傾向を知るには、鏡やスマートフォンのカメラを利用した姿勢確認が役立ちます。次の3つの方法を試してみましょう。
チェック1:横から立ち姿を確認する
- 足を腰幅程度に開いて自然に立つ。
- 意識的に胸を張ったり、お腹を引っ込めたりしない。
- 身体を横から撮影する。
- 腰の自然なカーブ、お尻の位置、背中の丸まり方を確認する。
腰の反りが小さく、お尻が下向きに見える場合は、骨盤後傾の傾向がないか確認するきっかけになります。ただし、写真だけで骨盤の角度を正確に測定することはできません。
チェック2:椅子に座って骨盤を動かす
- 背もたれのない椅子に浅く座る。
- 両足を床につけ、両手を骨盤の左右に添える。
- 骨盤をゆっくり前後に動かす。
- 腰が自然に反る位置と、腰が丸くなる位置を感じる。
骨盤を後ろに倒したときに腰が丸くなり、前に倒したときに腰のカーブが出ることを感じられれば、骨盤の基本的な動きを確認できます。
前後に動かしにくい場合は、股関節や腰部の可動性、身体の動かし方などが関係している可能性があります。
チェック3:普段の座り方を振り返る
- 椅子に座ると自然にお尻が前へ滑る。
- 背もたれに寄りかかると腰が丸くなる。
- 長時間座ると腰や背中が疲れやすい。
- 立ち上がるときに身体を前へ大きく倒す必要がある。
複数の項目が当てはまる場合は、普段の姿勢や身体の動かし方を見直す価値があります。ただし、これらは医学的な診断基準ではありません。
骨盤後傾と反り腰の違いを比較
骨盤後傾と反り腰は、姿勢の特徴が異なります。反り腰は腰椎の前弯が強くなった状態を指し、典型的には骨盤前傾を伴うことがあります。一方、骨盤後傾では腰椎の前弯が小さくなる傾向があります。
| 比較項目 | 骨盤後傾 | 骨盤前傾・反り腰傾向 | 中間位の目安 |
|---|---|---|---|
| 骨盤の動き | 後ろ方向へ回転 | 前方向へ回転 | 過度な傾きがない |
| 腰椎のカーブ | 前弯が小さくなる | 前弯が強くなることがある | 自然なカーブを保つ |
| お尻の見え方 | 下向き・平坦に見えることがある | 後方へ突き出して見えることがある | 個人の骨格による |
| 腹部の見え方 | 下腹部が前に出て見える場合もある | お腹が前に出て見える場合がある | 体格や脂肪量による |
| 姿勢の特徴 | 腰や背中が丸まりやすい | 腰の反りが強くなりやすい | 無理なく立てる |
| 注意点 | 後傾だけで腰痛とは判断できない | 前傾だけで腰痛とは判断できない | 動作や症状も確認する |
なお、反り腰と骨盤前傾は同じ意味ではありません。腰椎のカーブと骨盤の角度は関連していますが、必ずしも一対一で対応するわけではありません。
また、立っているときは前傾傾向でも、椅子に座ると後傾する人もいます。静止した姿勢だけでなく、座る、立つ、歩くといった動作の中で身体がどのように変化するかを確認することが大切です。
【腰痛との関係】骨盤後傾は腰痛の原因になる?2026年の研究から検証
骨盤後傾と腰痛は必ずしも直結しない
骨盤後傾と腰痛の関係は、多くの人が気にするポイントです。
骨盤が後傾すると腰椎の前弯が小さくなり、腰部や股関節周辺の筋肉、靱帯などにかかる負担の分布が変わる可能性があります。長時間同じ姿勢を続けることで、腰の不快感や疲労につながるケースも考えられます。
しかし、骨盤後傾があるから必ず腰痛になるという医学的な結論は出ていません。
2024年に医学誌「Disability and Rehabilitation」で公表された姿勢と腰痛に関するシステマティックレビュー・メタ解析では、腰痛のある人とない人を比較した研究が検討されました。
対象となった観察研究は46研究で、腰痛のある人5,097人、腰痛のない人6,974人が含まれています。骨盤傾斜については23研究のデータが統合され、腰痛群と対照群の間に統計的な差が認められました。
一方で、研究間のばらつきは大きく、骨盤や腰椎の姿勢と腰痛との関係について、確定的な結論を出すことは難しいとされています。
つまり、姿勢は腰痛を考えるうえでの一要素ですが、痛みには筋骨格系の状態、活動量、心理的要因、生活環境など、さまざまな要素が関係します。
2026年の研究で注目されたソファでの座り方
前述の2026年5月公開の研究では、ソファに30分座った後、慢性腰痛のある参加者で骨盤後傾の増加と痛みの悪化が関連していました。
この結果から考えられるのは、長時間座ること自体だけでなく、座っている間に骨盤や体幹の位置がどのように変わるかも重要だということです。
ただし、研究では健康な参加者にも骨盤後傾が生じています。したがって、骨盤が後ろに傾く動きそのものを異常と考える必要はありません。
腰痛を感じたときに確認したい注意点
腰痛がある場合は、骨盤後傾だけを原因と考えず、痛みの場所、発症した時期、動作による変化、しびれの有無なども確認する必要があります。
日本整形外科学会の腰痛に関する解説でも、腰痛には脊椎の病気だけでなく、股関節や内臓、血管、心理的要因など、さまざまな原因があると説明されています。
特に、次のような症状がある場合は、姿勢改善のためのセルフケアより医療機関での評価を優先してください。
- 安静にしていても痛みが軽くならない。
- 腰痛が急激に悪化している。
- 足に強いしびれや筋力低下がある。
- 排尿や排便に異常がある。
- 発熱を伴っている。
- 転倒や事故の後に強い腰痛が出た。
特に、両脚の脱力やしびれ、股の周辺の感覚低下、排尿・排便の異常が急に現れた場合は、緊急の医療評価が必要です。
【改善方法】骨盤後傾の治し方とストレッチ・筋トレの実践法
骨盤後傾を改善するときの基本的な考え方
骨盤後傾を改善したい場合、最初から骨盤を強く前傾させようとする必要はありません。
まずは、骨盤を前後に動かせること、股関節を無理なく動かせること、体幹を自然に支えられることを目指します。
また、ストレッチだけ、筋トレだけといった一方向の対策に偏らないことも大切です。
2024年に公表された、ストレッチと筋力トレーニングが脊柱・骨盤周辺の姿勢に与える影響を調べたシステマティックレビューでは、23研究、969人のデータが検討されました。
その結果、ストレッチ単独では姿勢の改善を裏付ける十分な効果が認められず、筋力トレーニングも腰椎・腰骨盤領域の分析では統計的に有意な改善が確認されませんでした。
この研究は健康な人を対象としたもので、腰痛患者への治療効果を直接示すものではありません。しかし、特定のストレッチを行えば骨盤が必ず正しい位置に戻るという考え方には注意が必要です。
骨盤後傾に取り入れたいストレッチ
ストレッチは、硬さが気になる部位の動きを確保したり、身体を動かしやすくしたりする目的で取り入れます。痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。
1. ハムストリングスのストレッチ
- 椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばす。
- 背中を大きく丸めず、股関節からゆっくり上体を前に倒す。
- 太ももの裏側に心地よい伸びを感じる位置で止める。
- 左右それぞれ20秒程度を目安に行う。
太ももの裏側に強い痛みやしびれが出る場合は中止してください。柔軟性には個人差があるため、無理に深く前屈する必要はありません。
2. キャット&カウ
- 四つ這いになり、手は肩の下、膝は股関節の下に置く。
- 息を吐きながら背中をゆっくり丸める。
- 息を吸いながら背中をゆっくり反らす。
- 腰だけを大きく動かさず、背骨全体をなめらかに動かす。
- 5〜10回程度を目安に繰り返す。
この運動は、骨盤と背骨を連動させて動かす練習になります。反らす動作で腰痛が強くなる場合は、動く範囲を小さくしてください。
3. 骨盤の前後運動
- 仰向けになり、膝を立てる。
- 息を吐きながら骨盤をゆっくり後傾させる。
- 次に息を吸いながら骨盤を前傾方向へ動かす。
- 力を入れすぎず、腰のカーブの変化を感じる。
- 5〜10回程度を目安に繰り返す。
骨盤を前後に動かす感覚を身につけるための運動です。腰を無理に反らせたり、床に強く押し付けたりする必要はありません。
骨盤後傾に取り入れたい筋トレ
筋トレでは、骨盤の位置を固定することだけを目標にせず、体幹や股関節を安定させる筋肉をバランスよく使えるようにします。
1. バードドッグ
- 四つ這いの姿勢になる。
- 右腕と左脚をゆっくり伸ばす。
- 腰を反らしたり、骨盤を左右に傾けたりしないようにする。
- ゆっくり元の位置に戻し、反対側も行う。
- 左右5回程度から始める。
背中や体幹、股関節を協調させて使う練習です。最初は腕だけ、または脚だけを伸ばす方法でも構いません。
2. 椅子からの立ち座り運動
- 安定した椅子に座る。
- 足を床につけ、上半身を軽く前傾させる。
- 反動を使わずに立ち上がる。
- ゆっくり椅子に座る。
- 5〜10回程度を目安に行う。
太ももやお尻の筋肉を使いながら、骨盤と体幹の位置を調整する練習になります。
3. 座位での股関節屈曲運動
- 椅子に背筋を自然に伸ばして座る。
- 片方の膝をゆっくり持ち上げる。
- 骨盤が後ろに倒れたり、上半身が大きく傾いたりしないようにする。
- ゆっくり下ろして反対側も行う。
- 左右5〜10回程度を目安に行う。
股関節を動かす筋肉を使う練習です。負荷を上げることより、身体を安定させながら動かすことを優先してください。
改善を目指す人が避けたいNG習慣
- 腰を無理に反らせて、常に骨盤を前傾させようとする。
- 痛みを我慢して長時間ストレッチを続ける。
- 腹筋運動だけを繰り返す。
- 一日中同じ姿勢で過ごす。
- 短期間で骨盤の角度を変えようとする。
- 痛みやしびれがあるのに自己流の運動を続ける。
世界保健機関(WHO)が2023年に公表した慢性腰痛のガイドラインでも、運動プログラムは慢性腰痛へのケアの選択肢として位置付けられています。一方で、運動の種類は個人の状態や希望に応じて選ぶことが重視されています。
骨盤後傾だけに特化した万能の運動を探すより、身体の状態に合った運動を無理なく続けることが現実的な方法です。
【日常生活の見直し】骨盤後傾を防ぐ座り方とセルフケアのコツ
骨盤後傾を意識した正しい座り方
デスクワークや自宅での作業が多い人は、椅子の座り方を見直してみましょう。
基本となるのは、坐骨で身体を支え、骨盤が極端に後ろへ倒れない状態をつくることです。
- 椅子に深く座る:お尻を座面の奥まで入れ、背もたれを適度に利用する。
- 足裏を床につける:足が浮く場合は足台を利用する。
- 骨盤を立てる:腰を無理に反らすのではなく、自然な腰のカーブを保つ。
- 画面の高さを調整する:頭が前に突き出る姿勢を避ける。
- 座面の奥行きを確認する:膝裏が座面に強く圧迫されないようにする。
膝と股関節の角度は体格や椅子の高さによって変わるため、全員が同じ角度に合わせる必要はありません。足裏が安定し、腰や股関節に無理な力がかからないことを優先します。
ソファでの座り方にも注意する
柔らかいソファは快適ですが、身体が沈み込むことで骨盤が後傾しやすくなる場合があります。
長時間テレビを見たり、スマートフォンを操作したりするときは、次のような工夫が役立ちます。
- お尻が前方へ滑らないように座る。
- 必要に応じて腰の後ろにクッションを置く。
- 身体が沈み込みすぎる座面では長時間同じ姿勢を続けない。
- 適度に立ち上がって歩く。
- 痛みが出る姿勢を無理に維持しない。
クッションは必ずしも必要ではありません。使用する場合も、腰を強く押し出すほど厚いものではなく、自然な姿勢を保ちやすいものを選びます。
長時間の座位を避け、姿勢を定期的に変える
正しい座り方を維持しようと意識しすぎると、今度は身体が緊張してしまうことがあります。
大切なのは、完璧な姿勢を何時間も保つことではありません。座る、立つ、歩くといった動作を適度に切り替え、身体にかかる負担を分散させることです。
例えば、仕事中に30〜60分程度をひとつの目安として、立ち上がったり、軽く歩いたりする習慣を取り入れる方法があります。時間は固定的な医学基準ではなく、仕事内容や身体の状態に合わせて調整してください。
自分に合った改善方法を選ぶ判断基準
骨盤後傾の改善では、すべての人に同じメニューを当てはめる必要はありません。気になる症状や身体の特徴に応じて対策を選びましょう。
- 座ると腰が丸くなりやすい人:椅子の高さや座面の奥行き、骨盤の動かし方を見直す。
- 太ももの裏側が硬い人:痛みのない範囲でハムストリングスの柔軟性を確認する。
- 体幹が疲れやすい人:バードドッグなど、身体を安定させる運動を検討する。
- 股関節が動かしにくい人:股関節の可動性や筋力を理学療法士などに評価してもらう。
- 腰痛やしびれがある人:自己判断で運動を増やす前に整形外科で相談する。
自分の身体の状態が分からない場合は、整形外科や理学療法士に相談すると、姿勢だけでなく関節の動きや筋力、歩行動作なども含めて評価してもらえます。
【プロの結論】骨盤後傾の改善で本当に大切なこと
骨盤後傾を改善したい人が最初に理解しておきたいのは、骨盤にはもともと前後に動く機能があり、後傾という動き自体が異常ではないということです。
問題になるのは、特定の姿勢から動きにくくなっていることや、その姿勢で痛みや生活上の不便が生じていることです。
ストレッチと筋トレは目的を分ける
ストレッチは、硬さや可動域の制限が気になる部位に対して行います。一方、筋トレは、身体を支える力や動作の安定性を高めるために行います。
両者は役割が異なります。ストレッチをすれば骨盤が元の位置に戻る、筋トレをすれば姿勢が必ず改善するといった単純な考え方は避けましょう。
見た目よりも動作と症状を重視する
横から撮影した写真で腰のカーブが小さく見えても、痛みがなく、日常生活を問題なく送れている人もいます。反対に、見た目には大きな問題がなくても、長時間座ると強い腰痛が出る人もいます。
そのため、改善の目標は見た目だけに置くべきではありません。
- 骨盤を前後に自然に動かせる。
- 座った姿勢から無理なく立ち上がれる。
- 長時間の作業でも腰の不快感が強くなりにくい。
- 股関節や背骨をスムーズに動かせる。
- 日常生活の活動量を無理なく維持できる。
こうした動作面の変化を確認しながら、自分に合った運動を続けることが大切です。
専門家に相談したほうがよいケース
セルフケアを数週間続けても改善が見られない場合や、腰痛によって仕事や日常生活に支障が出ている場合は、整形外科で相談することをおすすめします。
また、骨盤後傾だと思っていた姿勢が、実際には脊椎の変形や股関節の問題などによって生じているケースもあります。
日本整形外科学会も、腰痛は原因や病態によって治療方法が異なるため、必要に応じた診断と個別の運動プログラムを重視しています。
見た目だけを矯正するのではなく、身体の機能を確認したうえで対策を選ぶことが、遠回りに見えても適切な改善につながります。
骨盤後傾に関するよくある質問(FAQ)
Q1:骨盤後傾は自分で治せますか?
A1:姿勢の習慣や身体の動かし方が関係している場合は、座り方の見直しや運動、ストレッチなどを取り入れることで改善を目指せます。ただし、骨格や関節の状態、病気などが関係している場合は、専門家による評価が必要です。
Q2:骨盤後傾にはストレッチと筋トレのどちらが効果的ですか?
A2:目的によって異なります。筋肉の硬さや可動域が気になる場合はストレッチ、身体を支える力や動作の安定性を高めたい場合は筋トレが選択肢になります。どちらか一方だけで骨盤の角度が必ず改善するわけではありません。
Q3:骨盤後傾と反り腰は同じですか?
A3:異なります。骨盤後傾では腰椎の前弯が小さくなる傾向があり、反り腰では腰椎の前弯が強くなる傾向があります。典型的には反り腰に骨盤前傾が伴うことがありますが、骨盤の角度と腰椎の形状は必ずしも一致しません。
Q4:骨盤後傾は腰痛の原因になりますか?
A4:長時間の座位などで骨盤後傾が強まり、腰痛と関連する場合はあります。ただし、骨盤後傾がある人全員に腰痛が起こるわけではありません。腰痛には複数の原因があるため、症状を含めた評価が必要です。
Q5:骨盤後傾の人はどのような座り方をすればよいですか?
A5:お尻を椅子の奥まで入れ、足裏を床につけ、坐骨で身体を支えるように座る方法がおすすめです。腰を無理に反らせず、自然なカーブを保ちましょう。また、同じ姿勢を長時間続けないことも大切です。
Q6:骨盤後傾の改善にはどれくらいの期間が必要ですか?
A6:必要な期間は、身体の状態、原因、運動習慣、痛みの有無などによって異なります。短期間で骨盤の角度を変えようとするよりも、無理のない運動や生活習慣の見直しを継続し、動作や症状の変化を確認することが大切です。
まとめ:骨盤後傾は原因を見極め、自分に合った改善方法を選ぶことが大切
骨盤後傾とは、骨盤が後ろ向きに傾き、腰椎の自然な前弯が小さくなる傾向を持つ姿勢です。長時間の座り方、股関節周辺の柔軟性、筋力や身体の動かし方、骨格や加齢による変化など、複数の要素が関係しています。
反り腰とは姿勢の特徴が異なり、骨盤後傾だからといって必ず腰痛が起こるわけでもありません。2026年の研究では、ソファでの長時間の座位と慢性腰痛のある人の骨盤後傾との関連が示されましたが、個人差や研究の限界も考慮する必要があります。
日常生活では、座り方を見直す、適度に身体を動かす、必要に応じてストレッチや筋トレを取り入れるといった対策が基本です。痛みがある場合や改善が見られない場合は、整形外科や理学療法士に相談しましょう。
最も大切なのは、骨盤を無理に立て続けることではなく、骨盤や股関節、背骨を自然に動かせる身体を目指すことです。自分の姿勢の特徴と身体の状態を理解し、長く続けられる方法を選ぶことが、健康的な姿勢と快適な日常生活につながります。 (出典: 骨盤 後 傾(Yahoo!ニュース))