ホルスの目とは?ウジャトの意味・神話の由来と魔除けの護符の歴史を徹底解説

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ホルスの目とは?ウジャトの意味・神話の由来と魔除けの護符の歴史を徹底解説
ホルスの目とは?ウジャトの意味・神話の由来と魔除けの護符の歴史を徹底解説
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🎵 ホルスの目とは?ウジャトの意味・神話の由来と魔除けの護符の歴史を徹底解説

古代エジプトの壁画や神殿、ミイラの装飾品などに描かれてきた「ホルスの目」。人間の目とハヤブサの特徴を組み合わせた独特の形は、現代でもアクセサリーやジュエリー、タトゥー、ファッションのモチーフとして広く知られています。しかし、このシンボルが本来何を意味し、なぜ魔除けや治癒、再生の象徴になったのかを正確に知る人は多くありません。

ホルスの目は、古代エジプト神話に登場する天空神ホルスが、セトとの争いで傷つけられた目を回復させた物語に由来します。古代エジプト語の「ウジャト」は「健全なもの」「完全なもの」を意味し、回復した目には生命力や再生、守護の力が託されました。2026年現在も、メトロポリタン美術館やロサンゼルス・カウンティ美術館などの収蔵資料から、その信仰と歴史を具体的にたどることができます。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • 意味:ホルスの目は、回復・完全性・健康・再生・守護を象徴する古代エジプトのシンボル。
  • 由来:セトとの戦いで傷ついたホルスの目をトト神などが回復させた神話に基づく。
  • ウジャト:「健全なもの」「回復したもの」を意味し、ホルスの目の別称として使われる。
  • 歴史:古代エジプトでは護符として生者や死者に用いられ、ミイラの保護にも関係した。
  • 見分け方:古代の本物の遺物と現代のレプリカは別物。真正性の判断には来歴や材質、専門的な調査が必要。

【基本知識】ホルスの目とは?ウジャトの意味と象徴するもの

ホルスの目
【画像】ホルス の 目 関連ショット

ホルスの目(Eye of Horus)は、古代エジプトの天空神ホルスに結び付いた象徴的な図像です。特徴的なのは、正面を向いた人間の目に、ハヤブサの目の周囲に見られる模様を組み合わせたデザインです。

単なる装飾ではなく、神話上の出来事と宗教的な思想が凝縮されたシンボルであり、古代エジプトでは健康や安全、生命の回復を願う護符として大切にされてきました。

ウジャトの意味は「健全なもの」「回復したもの」

ホルスの目
【写真】ホルス の 目 近影・注目カット

ホルスの目を理解するうえで欠かせない言葉が「ウジャト(Wedjat)」です。英語ではWedjat Eye、Udjat Eye、Wadjet Eyeなどの表記が見られ、日本語でもウジャトの目、ウェジャトの目など複数の呼び方があります。

ウジャトという言葉は、古代エジプト語で「健全なもの」「完全なもの」「再び健康になったもの」といった意味を持ちます。メトロポリタン美術館の収蔵品解説でも、ウジャトは「再び健全になったもの」という意味で説明されています。

ここで重要なのは、ホルスの目が最初から完全な状態を表しているのではないという点です。神話のなかで一度傷つき、失われたり損なわれたりしたものが、神々の力によって元の状態を取り戻したことに意味があります。

つまり、ウジャトは単純な健康の象徴にとどまりません。困難や損失を経験しても、再び完全な状態へ戻るという、回復と再生の思想を表しているのです。

ホルスの目が象徴する5つの意味

ホルスの目
【資料】ホルス の 目 報道・メディア記録

古代エジプトの神話と博物館の収蔵資料を踏まえると、ホルスの目には次のような象徴性があります。

  • 健康:傷ついた目が回復したことから、身体の健全さや健康を表す。
  • 再生:失われたものが元に戻るという、生命の再生や復活を象徴する。
  • 魔除け:災厄や危険から身を守る守護のシンボルとして用いられた。
  • 完全性:欠けたものが補われ、本来の状態を取り戻すことを意味する。
  • 生命の継続:死後の世界でも健全な状態を保ち、再生することへの願いと結び付く。

特に注目したいのは、これらの意味が独立しているのではなく、一つの神話から連続して生まれていることです。傷ついた目が回復したからこそ健康と再生が結び付き、その力を身に付けたいという願いから護符としての役割が広がりました。

【神話の由来】ホルス神とセト神の争い、トト神による目の回復

ホルスの目の由来を理解するには、古代エジプト神話におけるホルスとセトの対立を知る必要があります。

この物語は単なる神々の戦いではありません。王位の正統性、秩序と混沌、生と死、そして再生という古代エジプトの重要な宗教観が重なっています。

ホルスとセトはなぜ争ったのか

ホルスは、オシリスとイシスの息子として知られる神です。ハヤブサの姿、あるいはハヤブサの頭を持つ人間の姿で表され、天空や王権と深く結び付いていました。

一方、セトは砂漠や嵐、混乱などに関係する神です。オシリスの兄弟でありながら、王位をめぐって対立する存在として神話に登場します。

セトはオシリスを殺害し、その王位を奪います。父を失ったホルスは、正当な王位を取り戻すためにセトと争うことになりました。

この争いのなかで、ホルスの目が傷つけられます。特に左目を損なわれたという物語がよく知られていますが、古代エジプト神話には複数の伝承があり、片目だけでなく両目が損なわれたとする説明も存在します。

トト神は傷ついた目をどのように回復させたのか

ホルスの目を語るうえで欠かせないのが、知恵と書記、計算、月などに関係するトト神です。

トトは、神々の争いに関係する知恵の神であり、損なわれたホルスの目を回復させる役割を担います。メトロポリタン美術館の収蔵品解説でも、セトによって傷つけられたホルスの目がトトによって回復したと説明されています。

この回復によって、ホルスの目は単なる身体の一部から、健全性を取り戻した神聖な存在へと意味を変えました。

さらに、ホルスが回復した目を父オシリスに捧げたという伝承も重要です。オシリスは死後の世界を治める神であり、ホルスの目を捧げる行為は、父の生命を支え、死後の再生を可能にする象徴的な行為として理解されています。

回復させたのはトト神だけではない?ハトホルとの関係

興味深いのは、ホルスの目を回復させた神の説明が、すべての資料で同じではないことです。

トレド美術館の収蔵品解説では、セトとの戦いで左目を失ったホルスを治癒した存在として、愛と母性などに関係する女神ハトホルが挙げられています。

一方、メトロポリタン美術館やロサンゼルス・カウンティ美術館の解説では、回復させた神としてトトが紹介されています。

これは古代エジプト神話が長い時間をかけて形成され、地域や時代、宗教文書によって異なる伝承を持っていたことと関係します。神話を一つの固定された物語として捉えるよりも、複数の伝承が重なっていると考えるほうが実態に近いのです。

【左右の違い】ホルスの目の左目と右目は何を意味する?

ホルスの目について調べると、左目は月、右目は太陽を表すという説明を目にします。この考え方には古代エジプトの天空観が反映されています。

ただし、神話における負傷した目と、太陽・月を象徴する左右の目は、必ずしも同じ文脈で語られるものではありません。両者を整理することが大切です。

右目は太陽、左目は月の象徴

ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)の収蔵品解説では、ホルスの右目は太陽、左目は月と説明されています。

この対応関係は、天空を飛ぶハヤブサとしてのホルスの性格と結び付いています。太陽と月という二つの天体を神の両目に見立てることで、ホルスは天空全体を見渡す存在として表現されました。

  • 右目:太陽。光や昼、天空の力と関係する。
  • 左目:月。夜や月の周期、回復と関係する。

月は満ち欠けを繰り返す天体です。その変化は、損なわれたものが再び満ちていくというウジャトの思想とも結び付けて理解できます。

ホルスの目は左目だけを指すのか

一般的な神話の説明では、セトとの争いで失われた左目がウジャトとして回復したという物語がよく紹介されます。そのため、ホルスの目は左目を指すものだと考える人もいます。

しかし、古代の図像や博物館の収蔵品を見ると、左右の対応だけで一律に分類することはできません。LACMAの解説でも、セトがホルスの片目または両目を奪ったという複数の伝承が紹介されています。

また、ホルスの目を描いた護符は、太陽や月との関係だけでなく、健康や守護、死後の再生など複数の意味を持ちます。デザインの向きだけで意味を断定するのは適切ではありません。

ホルスの目の特徴的なデザインに隠された意味

ホルスの目の図像には、人間の目の輪郭に加え、眉、目の下の曲線、頬の方向へ伸びる模様などが描かれています。

この特徴的な意匠は、ハヤブサの目の周辺に見られる模様を組み合わせたものと、メトロポリタン美術館は説明しています。

つまり、ホルスの目は人間の目をそのまま描いたものではありません。神の姿と動物の特徴を融合させた古代エジプト独特の図像表現なのです。

【歴史と関係性】ホルスの目の護符はいつから使われた?博物館資料で検証

ホルスの目の信仰は神話の世界だけに存在したわけではありません。古代エジプトでは、実際に石やファイアンスなどで作られた護符が人々の生活や葬送儀礼に取り入れられていました。

その歴史を知るには、現存する博物館の収蔵品が重要な手掛かりになります。作品の年代や素材、出土地などを比較すると、ホルスの目が長期間にわたって用いられていたことが分かります。

ホルスの目に関係する神々と歴史的資料

人物・資料役割・年代ホルスの目との関係
ホルス神天空・王権の神セトとの争いで目を傷つけられ、回復した目がウジャトの象徴となる。
セト神砂漠・嵐・混沌に関係する神ホルスとの王位争いのなかで目を損なう存在として描かれる。
トト神知恵・書記・計算などの神ホルスの傷ついた目を回復させる役割を担う。
ハトホル女神愛・音楽などに関係する女神トレド美術館の資料では、ホルスの左目を治癒した存在として紹介される。
オシリス神死後の世界を治める神ホルスが回復した目を捧げ、父の再生を支えたという伝承に関係する。
メトロポリタン美術館の護符新王国時代、紀元前約1386~1347年ファイアンス製のウジャト護符。テーベのマルカタで発掘調査により出土した資料。
大英博物館のパピルス資料紀元前約900年、テーベウジャトの護符と防護の呪文に関係する資料。
トレド美術館の護符第26王朝、紀元前664~525年ファイアンス製。ミイラに添える保護の護符としての用途が説明されている。
LACMAの四つの目の護符末期王朝時代~プトレマイオス朝時代、紀元前712~80年ファイアンス製。四つのホルスの目を組み合わせた護符で、健康・治癒・守護と関係する。

これらの資料から読み取れるのは、ホルスの目が一時的な流行の装飾ではなく、異なる時代にわたって宗教的な意味を保ち続けたシンボルだったということです。

メトロポリタン美術館が所蔵する新王国時代の護符は、紀元前約1386~1347年の作品です。素材はファイアンスで、全長は約1.2センチ。1911~1912年の発掘調査で、テーベのマルカタにある遺跡から出土しました。単なる伝承ではなく、実際の古代の生活にホルスの目が取り入れられていたことを示す資料です。

また、トレド美術館には、第26王朝に当たる紀元前664~525年のファイアンス製護符が収蔵されています。同館の解説では、ウジャトが「完全な状態にすること」を象徴し、ミイラに添えられていた背景が説明されています。

ミイラにホルスの目を添えた理由

古代エジプト人にとって死は、単純な生命の終わりではありませんでした。死後の世界での再生や、身体の健全性を維持することが宗教的に重要視されていたのです。

そのため、ウジャトの護符は生きている人だけでなく、死者のためにも用いられました。

LACMAの解説によると、ホルスの目を表した護符は健康、治癒、保護の象徴として埋葬にも用いられました。また、ホルスが目を父オシリスに捧げたという神話も、死者の再生を願う葬送文化と深く結び付いています。

ここにホルスの目の重要な特徴があります。生きている人を守るだけでなく、死後の世界においても生命の健全性を保つための象徴だったのです。

【意外な歴史】ホルスの目と数学の分数にはどんな関係がある?

ホルスの目について調べていると、数学の分数と関係しているという説明に出会うことがあります。

これは単なる現代の都市伝説ではありません。古代エジプトの容量単位であるヘカト(heqat)に関係する分数表記と、ホルスの目の各部分を結び付ける解釈が存在します。ただし、その歴史的な由来には研究上の議論があります。

6つの部分に対応するとされる分数

一般的にホルスの目の各部分には、次の6種類の分数が対応すると説明されています。

  • 1/2
  • 1/4
  • 1/8
  • 1/16
  • 1/32
  • 1/64

これらを足し合わせると、合計は63/64になります。

つまり、1から1/64が不足する計算です。この数字の不足を、神話におけるホルスの目の損傷と回復の物語に結び付けて解釈する説明が広く知られています。

古代エジプトの容量単位ヘカトとの関係

ヘカトは、古代エジプトで穀物などの容量を測るために使われた単位です。穀物の保管や分配など、生活や経済活動に関係する計量に利用されていました。

このヘカトを細かく分けるために、2分の1、4分の1、8分の1といった2の累乗を分母とする単位分数が使われていました。

2012年に公刊された古代史事典のジム・リッターによる解説では、いわゆる「ホルスの目の分数」は、ヘカトの容量を分割するための6種類の記号を指す名称として説明されています。

分数とホルスの目は本当に古代から一体だったのか

ここには見落とされがちな研究上の問題があります。

ホルスの目の各部分と分数を結び付ける説は、1911年にドイツのエジプト学者ゲオルク・メラーが提案したものにさかのぼります。しかし、数学史研究者のジム・リッターは、これらの記号がもともとホルスの目の各部分から作られたという説に疑問を示しています。

つまり、古代エジプトで分数が使われていたことと、その分数記号がホルスの目の図像から直接生まれたことは、分けて考える必要があります。

分数とホルスの目の関係は興味深いものの、両者の歴史的な起源が完全に証明されているわけではありません。神話と数学を結び付けた説明を読む際には、この違いを理解しておくと、より正確に古代エジプトの文化を捉えられます。

【魔除けと現代の使い方】ホルスの目のお守りはどんな効果を象徴する?

ホルスの目は、古代エジプトで護符として使われた歴史を持ち、現在でもネックレスやリング、ブレスレットなどの装飾品に取り入れられています。

その背景にあるのは、回復した目に託された健康や再生、守護への願いです。現代においても、お守りやアクセサリーとして身に付ける人がいるのは、この象徴性が時代を超えて受け継がれているためです。

ホルスの目は魔除けのお守りとして使える?

古代エジプトでは、護符は日常生活における安全や健康を願う宗教的な道具でした。ホルスの目も、危険や災厄から身を守る象徴として広く使われています。

大英博物館の展覧会資料には、紀元前約900年のテーベで作られたパピルスに関する解説があります。幼い少女の健康を守るための呪文が記され、その防護の力を補強するものとして、ウジャトの目をかたどった護符が紹介されています。

これはホルスの目が、神話や王族の装飾だけでなく、子どもの健康や安全を願う生活文化にも関係していたことを示す具体的な資料です。

ただし、現代の科学的な意味で病気を治したり、事故を防いだりする効果が証明されているわけではありません。現在のアクセサリーとしては、古代エジプトの信仰に由来する守護や健康の象徴として理解するのが適切です。

ホルスの目のお守りが持つ現代的な意味

現代のアクセサリーとしてホルスの目を選ぶ場合、象徴性を次のように捉えることができます。

  • 健康を願う:病気やけがからの回復、身体の健全さを願う。
  • 困難からの再出発:傷ついた目が回復した神話に重ね、人生の転機や再生を象徴する。
  • 自分を守る意識:災厄や悪い出来事から身を守りたいという願いを込める。
  • 知恵と洞察:天空を見渡すホルスの目に、自分を見失わず物事を見極める意味を重ねる。

こうした意味は、現代の持ち主が象徴から受け取る解釈でもあります。古代エジプトの宗教的な意味と、現代の個人的な願いを区別して考えることが大切です。

ネックレス・リング・ブレスレットなどの選び方

ホルスの目は、金属や天然石、ガラス、陶器など、さまざまな素材で表現されています。

古代エジプトの実物資料では、メトロポリタン美術館やトレド美術館の収蔵品に見られるように、ファイアンス製の護符が確認できます。ファイアンスは、鮮やかな青や緑の釉薬が特徴的な、古代エジプトで広く用いられた素材です。

現代のアクセサリーを選ぶ際は、次の点を意識するとよいでしょう。

  • 歴史的なデザインや神話の意味を重視するなら、ウジャトの図像が丁寧に表現されたものを選ぶ。
  • 普段使いを重視するなら、金属や天然石など耐久性と手入れのしやすさを確認する。
  • お守りとして身に付けたいなら、自分が健康、再生、守護のどの意味に共感するのかを考える。
  • 古代の遺物として購入するなら、デザインや販売者の説明だけでなく、来歴や鑑定資料を確認する。

【本物の見分け方】ホルスの目の古代遺物と現代レプリカの違い

ホルスの目を検索すると、「本物と偽物はどう見分けるのか」「古代エジプト時代の護符はどのような特徴があるのか」といった疑問も見つかります。

この問題では、まず「本物」という言葉の意味を整理する必要があります。古代エジプト時代に作られた真正な遺物なのか、それとも古代の正統な図像を再現した現代製品なのかによって、判断基準は大きく異なります。

古代エジプトの本物の護符を判断するポイント

古代の遺物として真正性を判断する場合、最も重要な手掛かりの一つが来歴、すなわちプロヴェナンスです。

来歴とは、その品物がいつ、どこで作られ、発掘された後に誰の所有となり、どのような経緯で現在の所有者に渡ったのかという履歴を指します。

スミソニアン協会は、来歴の調査が作品の真正性や帰属を判断するうえで重要な役割を果たすと説明しています。ブルックリン美術館も、来歴に空白がある場合は追加調査が必要になることを指摘しています。

実際に購入や鑑定を検討する際には、次の項目を確認する必要があります。

  • 出土地・発掘記録:古代のどの地域から出土したのか、発掘記録が残っているか。
  • 所有履歴:過去の所有者や売買の経緯を文書で確認できるか。
  • 材質:ファイアンス、石材、金属など、時代や製作技術と整合する素材か。
  • 製作技法:古代の加工・焼成技術と矛盾しないか。
  • 専門的な鑑定:考古学や保存科学の専門家による調査資料があるか。

青や緑のファイアンスなら本物なのか

古代エジプトの護符には、青緑色のファイアンス製品が数多く存在します。そのため、青や緑の釉薬を持つホルスの目を見ると、古代の本物だと考える人もいます。

しかし、色だけで真正性を判断することはできません。

オーストラリア博物館の解説によると、エジプトのファイアンスは粘土を主成分とする一般的な陶器とは異なり、石英を主体とする素材にアルカリ成分や着色成分を加え、表面に光沢のある釉薬を形成する素材です。銅は特徴的な青緑色を生み出す着色成分として使われました。

一方、現代の工芸品でも古代風のファイアンス調の装飾を再現できます。したがって、青緑色であることや、表面に古びたような質感があることは、本物である証拠にはなりません。

現代のレプリカと偽物は何が違う?

ここは特に混同されやすい部分です。

現代の職人が古代エジプトの意匠を再現したアクセサリーは、古代の遺物ではありませんが、必ずしも偽物ではありません。現代製品として適切に表示・販売されていれば、歴史的なデザインを楽しむための正当なレプリカです。

問題となるのは、現代に製作された品物を、古代エジプト時代の出土品や数千年前の遺物であるかのように販売するケースです。

ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の考古学関連資料では、出土地や来歴が分からない遺物には、偽物や盗難品が含まれる可能性があり、考古学的な価値を判断することも難しくなると説明されています。

古代遺物の購入を検討するなら、販売者の「本物保証」という言葉だけに頼らず、発掘記録や所有履歴、専門家の調査資料を確認することが重要です。

また、購入する目的が単なる装飾やお守りであれば、古代の遺物である必要はありません。現代の正規のレプリカでも、ホルスの目が持つ歴史的な象徴性を楽しむことはできます。

【プロの結論】ホルスの目の本質は「傷ついたものが再び完全になる」こと

ホルスの目の歴史を通して見えてくるのは、古代エジプト人が健康や守護だけでなく、失われたものを取り戻すことに深い宗教的意味を見いだしていたという事実です。

ホルスの目は、最初から傷一つない完璧な目ではありません。セトとの争いによって損なわれ、神々の助けによって回復した目だからこそ、ウジャトという「健全なもの」の象徴になりました。

この背景を知ると、ホルスの目をお守りとして身に付ける意味も変わってきます。単に悪いものを遠ざけるというだけでなく、困難から立ち直ること、健康を取り戻すこと、再び自分らしい状態へ戻ることを願うシンボルとして捉えられるのです。

また、古代の遺物と現代のアクセサリーを区別する視点も欠かせません。歴史的な真正性を求める人は来歴と専門的な鑑定を重視し、デザインや象徴性を楽しみたい人は、製品の素材や製作背景を基準に選ぶとよいでしょう。

ホルスの目に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ホルスの目は何の象徴ですか?
A1:健康、治癒、再生、完全性、魔除け、守護などの象徴です。セトとの戦いで傷ついたホルスの目が神々の力で回復した神話に由来します。

Q2:ウジャトとホルスの目は同じ意味ですか?
A2:基本的には同じ図像を指す呼び方です。ウジャトは古代エジプト語で「健全なもの」「完全なもの」を意味し、回復したホルスの目を表します。

Q3:ホルスの目は左目と右目で意味が違いますか?
A3:古代エジプトの天空観では、ホルスの右目が太陽、左目が月に対応すると説明されます。ただし、神話で傷ついた目の伝承には複数のバリエーションがあり、すべての図像を左右だけで分類することはできません。

Q4:ホルスの目を身に付けると魔除けになりますか?
A4:古代エジプトでは、健康や安全、災厄からの保護を願う護符として使われていました。現代では守護や再生を象徴するアクセサリーとして親しまれています。ただし、科学的に超自然的な魔除けの効果が証明されているわけではありません。

Q5:ホルスの目は数学の分数と関係がありますか?
A5:1/2、1/4、1/8、1/16、1/32、1/64という6種類の単位分数と関連付ける説があります。これらは古代エジプトの容量単位ヘカトの分割に関係しますが、分数記号がホルスの目の図像から直接生まれたという説には研究上の議論があります。

Q6:ホルスの目の本物と偽物はどう見分けますか?
A6:色や形だけでは判断できません。古代の遺物としての真正性を調べるには、出土地、発掘記録、所有履歴、材質、製作技法などを総合的に検証する必要があります。専門家による鑑定資料も重要です。

Q7:ホルスの目とラーの目は同じものですか?
A7:同一のものとして単純に扱うことはできません。ホルスの目は傷ついた目が回復した物語と結び付くウジャトの象徴です。一方、ラーの目は太陽神ラーの力やその働きを表す別の神話的概念です。両者は目の象徴を共有するものの、神話上の背景や役割は異なります。

まとめ:ホルスの目は古代エジプトの治癒・再生・守護を伝えるシンボル

ホルスの目は、古代エジプト神話に登場するホルスがセトとの争いで傷ついた目を回復させた物語に由来するシンボルです。ウジャトという名前には「健全なもの」「完全なもの」という意味があり、健康や治癒、再生、守護などの象徴として長く受け継がれてきました。

メトロポリタン美術館、トレド美術館、ロサンゼルス・カウンティ美術館などの収蔵品は、古代エジプトで実際に護符として使用されていたことを示しています。大英博物館のパピルス資料からも、ウジャトの目が人々の健康や安全を願う宗教的な実践に組み込まれていたことが分かります。

数学の分数との関係や、左右の目に太陽と月を対応させる考え方にも、古代エジプト独特の世界観が表れています。一方で、分数の起源などには学術的な議論も残されており、神話と歴史的事実を区別して理解することが大切です。

2026年現在、ホルスの目は古代の宗教美術としてだけでなく、アクセサリーやお守りのデザインとしても知られています。その本質にあるのは、傷ついたものが再び健全な状態へ戻るという希望です。単なる神秘的なマークとしてではなく、数千年にわたって受け継がれた治癒と再生の物語を持つ文化的なシンボルとして捉えることで、その魅力はさらに深まります。

主な参考資料:メトロポリタン美術館「Wedjat Eye Amulet」、トレド美術館「Wedjat Eye Amulet」、ロサンゼルス・カウンティ美術館「Quadruple Eye of Horus Amulet」、大英博物館「Hieroglyphs: Unlocking Ancient Egypt」、ジム・リッター「Horus-eye Fractions」(2012年)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの古代エジプト考古学資料、オーストラリア博物館「Egyptian Faience」。 (出典: ホルス の 目(Yahoo!ニュース))