ホールドとは?野球の成立条件・セーブとの違い・歴史と記録の仕組みを2026年版で徹底解説
プロ野球中継や試合結果で目にする「ホールド(Hold)」とは、救援投手がチームのリードや試合状況を維持し、次の投手へ引き継いだときに記録される野球の公式記録です。主に中継ぎ投手やセットアッパーの貢献度を評価するために設けられており、試合を締めくくる抑え投手のセーブとは異なる役割を持っています。
ホールドは1986年にアメリカで考案され、日本では1996年にパ・リーグが採用。2005年からは新しい規定のもとでセ・パ両リーグ共通の記録となりました。一方、MLBでは日本と同じ公式記録としての位置づけではありません。成立条件やセーブとの違い、ホールドポイントの計算方法まで理解すると、試合終盤の継投や中継ぎ投手の評価がより深く分かります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- ホールドの意味:リードや同点の状況を維持して次の投手につなぐ救援投手に与えられる記録。
- 成立の歴史:1986年に米国で考案され、日本では1996年にパ・リーグ、2005年にセ・パ両リーグが新規定で採用。
- セーブとの違い:ホールドは主に中継ぎ投手、セーブは試合を最後まで締めくくる投手の働きを評価する。
【基本を解説】ホールドとは中継ぎ投手の貢献度を示す野球の記録
ホールドとは、救援投手が一定の条件を満たして登板し、チームのリードを維持するなどの役割を果たして降板した場合に与えられる記録です。英語の「Hold」には、保つ、維持するという意味があります。
野球では先発投手が降板した後、複数の救援投手が登板することがあります。特に終盤の接戦では、1人の投手が1イニングを投げ切るとは限りません。7回を中継ぎ投手、8回をセットアッパー、9回を抑え投手が担当するような継投も一般的です。
このとき、試合を決める最後の投手だけでなく、その前に登板して勝利への道筋をつくった投手の働きも評価する必要があります。そこで設けられたのがホールドです。
ホールドが評価するのは勝利につながる中継ぎの仕事
例えば、チームが2点リードしている7回に救援投手が登板し、相手打線を抑えてリードを維持したまま8回の投手に交代したとします。
その後、8回の投手がホールドを記録し、9回の抑え投手が試合を締めくくれば、1試合で複数の投手にホールドやセーブが記録されることがあります。
つまり、ホールドは単純に投球回数や奪三振数を評価する数字ではありません。勝敗を左右する重要な場面で登板し、次の投手に有利な状況を引き継いだことを評価する記録です。
中継ぎ投手とセットアッパーの関係
ホールドを獲得する機会が多いのは、試合終盤の重要な局面を担当するセットアッパーです。特に8回を任される投手は、抑え投手につなぐ重要な役割を担います。
ただし、ホールドは8回限定の記録ではありません。7回以前でも、規定を満たす場面で登板して条件をクリアすれば記録されます。
中継ぎ投手の仕事は、単に先発投手の後を投げることではありません。相手の打順や走者の状況、試合展開を踏まえ、失点の可能性が高い場面を乗り切ることも求められます。ホールドは、こうした目立ちにくい貢献を数字として残す役割を持っています。
【成立条件を整理】ホールドが記録される具体的なルールとは?
ホールドは、リリーフ投手が無失点で1イニングを投げれば必ず記録されるものではありません。日本野球機構(NPB)が定める規定では、登板時の状況やアウト数、降板時のリード、投手自身の勝敗記録などが関係します。
ホールド成立の基本条件
2005年に定められた新ホールドの規定では、まず救援投手であることが前提です。さらに、勝利・敗戦・セーブ・引き分けの記録を得ていない投手が対象となります。
そのうえで、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
条件1:セーブの条件を満たす場面で登板した場合
- セーブの条件を満たす状況で救援登板する。
- 少なくとも1つのアウトを取る。
- チームのリードを維持したまま降板する。
セーブの条件を満たす場面には、3点以内のリードで登板するケースや、同点となる走者が塁上・打席・次打者の位置にいるケースなどがあります。3点以内のリードで登板した場合は、セーブの規定に沿った投球回数も関係します。
条件2:同点の場面で登板した場合
- 同点の状況で救援登板する。
- 少なくとも1つのアウトを取る。
- 登板以降、前任投手が残した走者も含めて無失点に抑えて降板する。
ただし、同点で登板した後に味方が勝ち越した場合は、点を失っても降板時にリードを維持していれば対象になります。
また、走者を残して降板し、その走者が後続投手によって生還して同点またはビハインドになった場合は、ホールドが与えられません。
ホールドが付かない代表的なケース
次のようなケースでは、ホールドの成立条件を満たしません。
- 救援登板しても、アウトを1つも取れずに降板した。
- 自分の投球中に同点や逆転を許し、リードを維持できなかった。
- 勝利投手、敗戦投手、セーブ投手、引き分け投手のいずれかになった。
- 自分が残した走者によって同点または逆転となり、規定を満たさなくなった。
- 試合最後の投手として試合を終えた。
特に注意したいのは、ホールドの獲得に必ずしも1イニング以上の投球が必要なわけではない点です。登板時の状況がセーブ条件を満たしていれば、必要なアウトを1つ以上取ってリードを保ったまま交代することで成立する場合があります。
一方、3点以内のリードで登板した場合など、登板時の状況によってはセーブ条件に定められた投球回数が必要です。アウトを1つ取ればどんな場面でもホールドになる、という理解は正確ではありません。
【徹底比較】ホールドとセーブの違い・中継ぎと抑えの役割
ホールドとセーブは、どちらも救援投手の貢献を評価する記録ですが、最も大きな違いは登板後にどのような役割を担うかという点です。
ホールドとセーブの比較
- ホールド:試合途中に登板し、条件を満たして次の投手へつなぐ。
- セーブ:勝利チームの最後の投手として試合を終え、セーブの条件を満たす。
セーブは、基本的に試合を締めくくる抑え投手に与えられる記録です。勝利チームの最後を投げ切ることに加え、勝利投手ではないこと、一定の投球回数を記録すること、登板時の点差などの条件を満たす必要があります。
対してホールドは、試合の最後まで投げる必要がありません。重要な場面を任され、後続の投手にバトンを渡すことが評価されます。
中継ぎ投手と抑え投手は何が違う?
中継ぎ投手は、先発投手の降板後から試合終盤までのさまざまな場面を担当します。相手打線の中心選手と対戦したり、得点圏に走者を背負った場面で登板したりすることもあります。
その中でも、試合終盤のリードを守りながら抑え投手につなぐ投手がセットアッパーです。一般的には7回や8回を任されることが多く、ホールドを獲得する機会も多くなります。
一方、抑え投手は主に9回など、試合を締めくくる局面を担当します。セーブがその代表的な評価指標です。
ただし、役割はチーム事情によって変わります。抑え投手が必ず9回だけを投げるわけではなく、延長戦や重要な場面で早い回から登板する場合もあります。
ホールドとセーブは投手の優劣を直接決めるものではありません。それぞれ異なる役割を評価する記録として理解することが大切です。
【歴史と制度を検証】1986年の考案から2005年のNPB統一まで
ホールドが誕生した背景には、野球における投手の分業化があります。
以前は救援投手全体の働きを評価する指標としてセーブがありました。しかし、救援投手の役割が細分化されると、セーブを獲得する機会は試合最後を担当するクローザーに集中するようになります。
中継ぎ投手が重要な場面を抑えても、その後の投手がセーブを記録すれば、前の投手にはセーブが付きません。この評価上の空白を埋めるために考案されたのがホールドです。
ホールドの歴史と制度変更の年表
| 年代 | 出来事・関係する制度 | 記録上の意味 |
|---|---|---|
| 1986年 | 米国でホールドが考案される | 中継ぎ投手の貢献を評価する指標として誕生 |
| 1996年 | パ・リーグがホールドを採用 | 最多ホールド投手賞を新設 |
| 1996~2004年 | セ・リーグではリリーフポイント方式を運用 | 両リーグで中継ぎ投手の評価方式が異なる |
| 2005年 | セ・パ両リーグが新ホールド規定を採用 | ホールドと救援勝利を合算するホールドポイントを導入 |
| 2014年6月 | 山口鉄也が通算200ホールドを達成 | 日本プロ野球史上初の200ホールド到達 |
1986年に米国で考案された背景
MLB.comの解説記事によると、ホールドは1986年にジョン・デュワンとマイク・オドネルによって考案されました。
彼らが着目したのは、クローザー以外の救援投手が果たす役割です。勝利を確定させる最後の投手だけでなく、その前にリードを守った投手にも評価を与えるという考え方が、ホールドの基本になっています。
1996年にパ・リーグが採用、セ・リーグは別方式
日本では1996年にパ・リーグがホールドを採用しました。日本野球機構のパ・リーグ略史にも、同年8月1日に中継ぎ投手の公式表彰として「最多ホールド投手賞」を新設したことが記録されています。
一方、セ・リーグではリリーフポイントという独自の評価方式が用いられていました。同じ中継ぎ投手を評価する制度であっても、リーグによって基準が異なっていたのです。
2005年に新ホールド規定でセ・パ統一
2005年2月3日、日本野球機構の記録部は記録に関する変更を発表しました。
その中で、セ・パ両リーグ共通の新ホールド規定が定められ、ホールドと救援勝利を合算したホールドポイントによって最優秀中継ぎ投手賞を決める仕組みが導入されました。
重要なのは、2005年以前のパ・リーグのホールド数が、新しいホールドの通算記録にそのまま加算されないことです。旧制度と新制度では規定が異なるため、2005年からの数字を基準に通算記録が扱われています。
【記録の仕組み】H・HLDの略称とホールドポイント、MLBとの違い
ホールドを調べると、「H」「HLD」「HP」という複数の表記が出てきます。それぞれ意味が異なるため、混同しないように整理しておきましょう。
ホールドの略称はH、日本ではHLDと区別する場合もある
ホールドは英語でHoldと表記され、日本のプロ野球では「H」と略されることが一般的です。米国の野球データでは「HLD」という表記も広く使われています。
試合の個人成績や投手のシーズン成績を見る際には、Hがホールドを意味する場合があることを覚えておくと便利です。
なお、野球のスコアではHが安打(Hit)を表すこともあります。投手成績の欄なのか、打撃成績の欄なのかによって意味が変わるため、表示項目を確認する必要があります。
ホールドポイントとは?計算方法を解説
日本のプロ野球では、最優秀中継ぎ投手賞を決める際にホールド数だけでなく、ホールドポイントが使用されます。
計算方法は次のとおりです。
ホールドポイント(HP)=ホールド数(H)+救援勝利数
例えば、ある投手がシーズン中に30ホールド、5救援勝利を記録した場合、ホールドポイントは35ポイントです。
この仕組みによって、リードを守って次につないだ投手だけでなく、救援登板中にチームが勝ち越し、そのまま勝利投手となった投手の貢献も評価されます。
つまり、ホールド数とホールドポイントは同じ数字ではありません。個人のホールド数を比較したい場合と、最優秀中継ぎ投手賞の評価を確認したい場合では、見るべき数字が異なります。
リリーフポイントとホールドポイントは別の制度
リリーフポイントは、2004年までセ・リーグで使われていた中継ぎ投手の評価方式です。
ホールドポイントは2005年にセ・パ共通の新制度として導入されたもので、ホールドと救援勝利を合算します。名前が似ていても、両者は同じ計算方式ではありません。
また、2005年以前の記録を現在のホールドポイントと単純に比較することも適切ではありません。制度の違いを踏まえて、対象年度を確認する必要があります。
MLBではホールドは公式記録なのか?
ホールドは米国で考案された記録ですが、MLBでは日本のNPBと同じ公式記録としての位置づけではありません。
MLB.comの2014年の解説記事では、ホールドについて、勝利やセーブとは異なりMLBの公式記録ではないと説明しています。一方、MLB.comの用語集にもHold(HLD)の定義が掲載されており、救援投手を評価する指標として広く利用されています。
両リーグの主な違いは次のとおりです。
- NPB:同点で登板し、所定の条件を満たして降板した投手にもホールドが与えられる。
- MLB:同点で登板しただけではホールドは成立せず、セーブ機会に相当するリードした状況で登板することが基本となる。
MLB.comの定義では、3点以内のリードを維持してアウトを取るケースや、同点の走者が塁上・打席・次打者の位置にいる状況で登板してアウトを取るケースなどが示されています。
したがって、日本のホールド数とMLBで集計されるホールド数を比較するときは、同点登板の扱いなど、制度の違いを考慮する必要があります。
【記録と評価】山口鉄也の200ホールド達成と名球会の入会条件
ホールドの価値を語るうえで欠かせない人物が、元読売ジャイアンツの投手・山口鉄也です。
山口鉄也が日本プロ野球史上初の200ホールドを達成
山口鉄也は2014年6月6日の西武戦で通算200ホールドを達成しました。日本プロ野球史上初の快挙であり、中継ぎ投手の継続的な貢献を示す大きな節目となりました。
山口本人は当時のインタビューで、200ホールド達成が日本のプロ野球における新たな表彰項目につながったことに触れています。
従来、投手の通算記録では200勝やセーブなどが大きな評価対象でした。しかし、中継ぎ投手は先発投手のように勝利数を積み重ねにくく、抑え投手のようにセーブを獲得する機会も限られています。
山口の200ホールド達成は、勝利数やセーブ数だけでは十分に評価できなかった中継ぎ投手のキャリアに、別の評価軸が必要であることを示す出来事でもありました。
ホールド数が多い投手は何が優れているのか
通算ホールドを積み重ねるには、単に一時的な好成績を残すだけでは足りません。長期間にわたって救援投手として起用され、チームから重要な局面を任され続ける必要があります。
評価するときに注目したいポイントは次の3つです。
- 継続性:複数シーズンにわたって安定して登板し、記録を積み上げているか。
- 登板機会の質:接戦や走者を背負った場面など、失点が勝敗に直結する局面を任されているか。
- 他の投手成績:防御率、奪三振率、WHIP、登板数なども優れているか。
ホールドは積み重ねるタイプの記録です。そのため、チームの強さや監督の継投方針、登板機会の多さにも影響されます。ホールド数だけで投手の実力を断定することはできません。
ホールドは名球会の入会条件に含まれる?
ホールドを大量に記録しても、それだけで日本プロ野球名球会に入会できるわけではありません。
2026年時点の日本プロ野球名球会公式サイトに掲載されている基本的な入会規定では、投手は通算200勝以上、または通算250セーブ以上が基準です。打者は通算2000安打以上が条件となっています。
日米通算成績の取り扱いや特例入会制度もありますが、ホールド数そのものは通常の投手入会条件には含まれていません。
これは、ホールドが中継ぎ投手の貢献を評価する重要な記録であっても、名球会の入会基準とは別の制度であることを意味します。
今後、中継ぎ投手の評価方法がどのように変化するかは注目されるところですが、2026年現在、200ホールドや300ホールドを達成することと名球会入りは別の話です。
【よくある誤解を解消】ホールドに関するよくある質問(FAQ)
Q1:ホールドとは簡単にいうと何ですか?
A1:中継ぎ投手が一定の条件を満たして登板し、リードや同点の状況を維持して次の投手につないだときに与えられる記録です。主にセットアッパーなど、抑え投手の前に登板する救援投手の貢献を評価します。
Q2:ホールドとセーブの違いは何ですか?
A2:ホールドは試合途中で登板して次の投手につなぐ投手に与えられ、セーブは勝利チームの最後の投手として試合を締めくくった投手に与えられます。役割と成立条件が異なります。
Q3:ホールドは何イニング投げれば付きますか?
A3:必ずしも1イニング以上を投げる必要はありません。少なくとも1つのアウトを取り、登板時の状況やリードの維持など、NPBの成立条件を満たす必要があります。
Q4:同じ試合で複数の投手にホールドが付きますか?
A4:付きます。例えば、7回と8回に登板した2人の救援投手がそれぞれ条件を満たせば、同じ試合で2人にホールドが記録されます。
Q5:ホールドを記録した試合でチームが負けることはありますか?
A5:あります。ホールドを獲得した投手がリードを保って降板した後、後続投手が逆転を許せばチームが敗れる可能性があります。ホールドは試合終了時の勝敗ではなく、投手が降板するまでの働きを評価する記録です。
Q6:ホールドポイントとホールド数は同じですか?
A6:異なります。ホールドポイントはホールド数に救援勝利数を加えた数字です。NPBの最優秀中継ぎ投手賞では、このホールドポイントが評価基準として使われます。
Q7:200ホールドを達成すると名球会に入れますか?
A7:200ホールドだけでは入会条件を満たしません。名球会の基本的な投手の入会基準は通算200勝以上または250セーブ以上です。ホールド数は独立した記録として評価されます。
まとめ:ホールドの意味を理解すれば中継ぎ投手の価値が見えてくる
ホールドとは、救援投手が試合の重要な局面でチームのリードや試合状況を維持し、次の投手へ引き継いだことを評価する記録です。主に中継ぎ投手やセットアッパーの貢献を可視化するために設けられました。
1986年に米国で考案され、日本では1996年にパ・リーグが採用。2005年には新しい規定のもとでセ・パ両リーグに統一されました。現在のNPBではホールド数に救援勝利数を加えたホールドポイントが、最優秀中継ぎ投手賞の評価に用いられています。
また、ホールドとセーブは競合する記録ではなく、異なる役割を評価するものです。中継ぎ投手が勝利への橋渡しを担い、抑え投手が最後のアウトを取る。この分業体制を理解すると、試合終盤の継投の意味も見えてきます。
2026年にプロ野球を観戦するときは、勝利数やセーブ数だけでなく、ホールド数やホールドポイントにも注目してみてください。試合の流れを支える中継ぎ投手の仕事と、その継続的な価値をより立体的に理解できるはずです。
主な根拠資料: 日本野球機構の2005年記録変更告知・パ・リーグ略史、日本プロ野球名球会の入会規定、MLB.comのホールド解説、山口鉄也氏のインタビュー資料。
(出典: ホールド と は(Yahoo!ニュース))