【白い筋の正体】アルベドと維管束は何が違う?
みかんの白い部分を理解するには、果実の構造を知る必要がある。
農林水産省の説明によると、みかんは外側から内側に向かって、オレンジ色の外皮、白い中果皮、房を包む薄皮、果肉という構造になっている。
それぞれには植物学上の名称がある。
アルベドとは?白い皮の内側にある組織
アルベドとは、みかんのオレンジ色の外皮の内側にある白い海綿状の組織のこと。植物学的には中果皮に分類される。
グレープフルーツやレモンをむいたときに見える、白くてスポンジのような部分をイメージするとわかりやすい。
温州みかんでは、この白い組織が比較的薄く、筋状に見える部分もある。
みかんの維管束とは?白い筋の本当の役割
一方、房の背中に付着している網目状の白い筋は、維管束と呼ばれる。
維管束は、植物の内部で水分や養分を運ぶ通路だ。人間の血管に例えるとイメージしやすい。
農林水産省の消費者相談資料では、みかんの果肉を構成する小さな粒は、房の外側にある維管束とつながっていると説明されている。
つまり、白い筋は果実が成長するために欠かせない組織なのである。
ここで押さえておきたいのは、アルベドと維管束は厳密には同じ名称ではないという点だ。
農林水産省の広報記事では白い筋をアルベドと表現している一方、部位を詳しく説明した資料では、房の表面の網目状の筋を維管束、外皮の内側にある白い組織をアルベドとして区別している。
日常会話ではまとめて「白い筋」と呼ばれることが多いが、植物の構造としては別々に理解すると正確だ。
【栄養成分を比較】白い筋・薄皮・果肉には何が含まれる?
みかんの白い部分を食べるメリットは、食物繊維やポリフェノールの一種であるヘスペリジンを摂取できることだ。
さらに、房を包む薄皮にもペクチンなどの食物繊維が含まれている。
温州みかんの栄養成分
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に対応する食品成分データベースでは、普通温州みかんの生果について、可食部100g当たりの栄養成分が掲載されている。
主な数値は次のとおりだ。
- エネルギー:49kcal
- ビタミンC:32mg
- カリウム:150mg
- β-クリプトキサンチン:1,700μg
- 食物繊維総量:1.0g(薄皮付きの房)
みかんはビタミンCだけでなく、β-クリプトキサンチンなどのカロテノイドも含む果物だ。
部位別の特徴と食物繊維量
白い筋や薄皮を取り除くかどうかで、食べる部分の構成は変わる。
文部科学省の食品成分データベースに掲載されている普通温州みかんの数値を比較すると、次のようになる。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品番号07027・07029。数値は普通温州みかんの生・可食部100g当たり。
この比較で注目したいのが食物繊維の違いだ。
薄皮付きの房では100g当たり1.0g、薄皮を取り除いた砂じょうでは0.4gとなっている。成分表上では、房ごと食べる場合の食物繊維量は2.5倍に相当する。
ただし、この差は白い筋だけの含有量を示したものではない。じょうのうには薄皮や関連する組織が含まれるため、維管束単独の栄養量と混同しないことが大切だ。
また、文部科学省の食品成分データベースは2026年6月9日に更新され、同年3月27日公表の正誤表にも対応している。2026年時点の栄養情報を確認する際には、この最新版のデータベースが参考になる。
【ヘスペリジンの秘密】ビタミンPと呼ばれる成分の健康効果
みかんの白い筋を語るうえで欠かせない成分が、ヘスペリジンだ。
ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種で、ポリフェノールに分類される植物由来の成分である。
果肉だけでなく、果皮の白い部分や薄皮にも含まれている。
ヘスペリジンはどんな成分?
ヘスペリジンは、特に柑橘類の果皮や房の膜などに多く存在する。
1983年に公益財団法人東洋食品研究所の研究報告書に掲載された温州みかんの部位別分析でも、果汁よりアルベドやじょうのう膜などに多く含まれる傾向が示されている。
つまり、果汁だけを飲む場合と、房や白い部分まで食べる場合では、摂取できる成分の構成が異なる。
ヘスペリジンとビタミンPの関係
ヘスペリジンは、一般に「ビタミンP」と呼ばれることがある。
しかし、ここには少し注意が必要だ。
日本ビタミン学会のビタミンQ&Aによると、ビタミンPはヘスペリジンやルチンなどのフラボノイドに関連する歴史的な呼称であり、現在のビタミンの定義には当てはまらない。
したがって、正確にはヘスペリジンはビタミンそのものではなく、ビタミン様物質として理解するのが適切だ。
ヘスペリジンに期待される健康効果
ヘスペリジンについては、血管機能、炎症反応、酸化ストレスなどとの関係が研究されている。
2026年3月にオンライン公開された『British Journal of Nutrition』のメタ解析では、成人532人を対象とした10件のランダム化比較試験が検討された。
その結果、ヘスペリジンのサプリメント摂取によって、炎症に関連するCRPとTNF-αの血中指標が有意に低下した。一方、IL-6については成人全体で有意な改善が確認されなかった。
この研究はヘスペリジンの健康作用を考えるうえで参考になるが、対象はヘスペリジンを補給した臨床試験であり、みかんの白い筋を食べるだけで同じ結果が得られると証明したものではない。
ここは誤解しやすいポイントだ。
白い筋を食べることには栄養面のメリットがある。しかし、血管の病気を予防できる、血圧が必ず下がる、生活習慣病が治るといった医療的な効果まで保証されるわけではない。
日々の食生活の中で、植物性食品に含まれる成分を幅広く摂取するという考え方が現実的だ。
【みかんの薄皮とペクチン】白い筋以外にも栄養がある?
みかんの栄養を考える際、白い筋だけに注目するのは十分ではない。
実は、果肉を包む薄皮にも食物繊維が含まれている。
みかんの薄皮に含まれるペクチンとは?
ペクチンは、植物の細胞壁などに存在する多糖類の一種で、水溶性食物繊維に分類される。
果物や野菜に広く含まれ、食品加工ではジャムを固めるゲル化剤としても利用されている。
みかんでは、じょうのう膜やアルベドなどにもペクチンが含まれる。
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、食物繊維について次のように説明している。
食物繊維は、人の小腸で消化されず、大腸まで達する食品成分です。
同サイトによれば、水溶性食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸の動きを助ける。
ペクチンを含む食品を取り入れることは、食物繊維の摂取源を増やすことにつながる。
薄皮をむくと栄養は減ってしまう?
薄皮を取り除けば、その分だけ薄皮に含まれる食物繊維などを摂取する機会は減る。
特に、果肉だけを取り出して食べる習慣がある人は、薄皮付きで食べる人と比べて食物繊維の摂取量が少なくなる可能性がある。
ただし、薄皮を食べなければみかんの栄養がなくなるわけではない。
果肉にもビタミンC、カリウム、β-クリプトキサンチンなどが含まれている。食べやすさや好みに合わせて選べばよい。
【食べても大丈夫?】白い筋に毒性はあるのか、取る必要はあるのか
白い筋を食べることに抵抗がある人の中には、苦味や食感だけでなく、安全性が気になる人もいるだろう。
結論からいえば、通常の食用みかんに付着している白い筋は食べられる部分であり、それ自体に特別な毒性はない。
白い筋に毒はある?
白い筋は植物の維管束であり、果実の成長に必要な組織だ。
農林水産省は、白い筋について水分や栄養分を運ぶ役割を説明し、食物繊維やヘスペリジンなどを含むことも紹介している。
食べることを避けなければならない有毒部分ではない。
ただし、これは通常の食用みかんについての話だ。
カビが生えている、腐敗している、異臭がするなど、果実そのものに異常がある場合は食べないようにしたい。
白い筋を取り除く必要はある?
栄養面や安全面だけで考えれば、白い筋をわざわざ取り除く必要はない。
むしろ、白い部分や薄皮を一緒に食べれば、食物繊維やヘスペリジンなどを含む組織も摂取できる。
農林水産省の2017年1月の広報誌「aff」でも、みかんの白い筋には食物繊維やビタミンPなどの栄養素が含まれるため、食べるメリットが紹介されている。
一方、食感が苦手な人が無理に食べる必要もない。
食事は継続できることが大切であり、みかんを食べること自体を楽しめなくなるほど白い筋にこだわる必要はない。
白い筋を食べるのがおすすめの人・取り除いてもよい人
判断基準は次のように整理できる。
白い筋を残して食べるのがおすすめの人
- 食物繊維を含む食品を積極的に取り入れたい人
- ヘスペリジンなど柑橘由来の成分も摂取したい人
- 薄皮ごと食べることに抵抗がない人
- 食材をできるだけ無駄なく食べたい人
取り除いても問題ない人
- 白い筋の口当たりが苦手な人
- 薄皮が硬く感じられる人
- 食感を優先して果肉だけを楽しみたい人
大切なのは、白い筋を食べるかどうかで健康状態が大きく決まると考えないことだ。
【プロの結論】みかんの栄養を無駄なく摂取する食べ方
みかんの白い筋に含まれる栄養を活用するなら、食べ方を少し工夫するだけでよい。
おすすめは薄皮ごと食べる方法
最も簡単なのは、外皮だけをむき、房を包んでいる薄皮や白い筋を残したまま食べる方法だ。
特別な調理は必要ない。
房をそのまま食べれば、果肉の水分やビタミンCに加え、薄皮や白い部分に含まれる食物繊維なども一緒に摂取できる。
ジュースよりも果実そのものを食べる
みかんをジュースにすると、搾汁やろ過の方法によっては薄皮や繊維質が取り除かれる。
そのため、食物繊維を含む部分まで摂取したい場合は、果実をそのまま食べる方法が適している。
もちろん、ジュースにも果汁由来の栄養成分は含まれるため、飲むこと自体が悪いわけではない。
食べ過ぎには注意する
みかんは食べやすく、つい何個も食べてしまう果物だ。
しかし、白い筋に栄養があるからといって、際限なく食べる必要はない。
農林水産省は温州みかんの栄養について、ビタミンCやカリウムなどを含むことを紹介している。食事全体のバランスを考えながら、適量を楽しみたい。
【みかんの白い筋の栄養】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋は食べても大丈夫ですか?
A1:はい。通常の食用みかんに付着している白い筋は食べられる部分です。維管束と呼ばれる組織で、食物繊維やヘスペリジンなどを含んでいます。健康上の理由で取り除く必要はありません。
Q2:みかんの白い筋を取ると栄養はなくなりますか?
A2:いいえ。白い筋を取り除いても、果肉にはビタミンC、カリウム、β-クリプトキサンチンなどが残っています。ただし、白い部分や薄皮に含まれる食物繊維やヘスペリジンなどを摂取する機会は減ります。
Q3:みかんの白い筋に含まれるビタミンPとは何ですか?
A3:ビタミンPは、ヘスペリジンやルチンなどのフラボノイドに関連する歴史的な呼称です。現在の学術的なビタミンの定義には当てはまらず、ヘスペリジンはポリフェノールの一種として分類されます。
Q4:アルベドと維管束は同じものですか?
A4:厳密には異なります。アルベドは外皮の内側にある白い中果皮で、維管束は房の表面に網目状に走る水分や養分の通路です。日常的には両方が白い筋としてまとめて説明される場合があります。
Q5:みかんの薄皮にはどんな栄養がありますか?
A5:薄皮にはペクチンなどの食物繊維が含まれています。薄皮付きの房を食べることで、果肉だけを食べる場合より多くの食物繊維を摂取できます。
まとめ:みかんの白い筋は無理に取らず、おいしく食べよう
みかんの白い筋は、果実に水分や養分を届ける維管束という組織だ。外皮の内側にあるアルベドとは厳密には異なるものの、どちらも柑橘類の栄養を考えるうえで注目したい部分である。
白い筋には食物繊維やヘスペリジンが含まれ、房を包む薄皮にはペクチンなどの食物繊維が含まれている。文部科学省の食品成分データでも、普通温州みかんは薄皮付きの状態で100g当たり1.0gの食物繊維を含む。
また、ヘスペリジンはビタミンPと呼ばれることがあるものの、厳密にはビタミンではなくフラボノイドの一種だ。健康機能について研究が進んでいるが、白い筋を食べるだけで特定の病気を予防できるという意味ではない。
2026年現在、覚えておきたいのは、白い筋を取り除く医学的な必要性はないということ。食感が気にならなければ、薄皮や白い筋ごと食べるのがおすすめだ。
これまで何となく取り除いていた白い筋も、その役割と栄養を知れば、みかんの楽しみ方が少し変わるはず。次にみかんを食べるときは、ぜひ果肉だけでなく、その周りの白い部分にも目を向けてみてほしい。
主な参考資料
- 農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」
- 農林水産省「特集1 みかん(5)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 文部科学省「食品成分データベース」(2026年6月9日更新)
- 厚生労働省「e-ヘルスネット 食物繊維」
- 公益社団法人日本ビタミン学会「ビタミンQ&A」
- 公益財団法人東洋食品研究所「温州みかん果実及び果汁の収穫時期によるヘスペリジン含量の変化」(1983年)
- British Journal of Nutrition「The effects of hesperidin supplementation on inflammation and oxidative stress in adults」(2026年) (出典: みかん 白い 筋 栄養(Yahoo!ニュース))