【完全試合とノーヒットノーランの違い】四球・失策が記録を分ける
野球ファンの間でも混同されやすいのが、完全試合とノーヒットノーランの違いです。
どちらも投手にとって非常に価値のある記録ですが、達成条件には明確な差があります。
完全試合とノーヒットノーランの比較
| 比較項目 | 完全試合 | ノーヒットノーラン |
|---|---|---|
| 被安打 | 0 | 0 |
| 失点 | 0 | 0 |
| 四球 | 0 | 許される |
| 死球 | 0 | 許される |
| 失策による出塁 | 許されない | 許される |
| 打撃妨害による出塁 | 許されない | 許される |
| 走者の出塁 | 一人も許されない | 安打以外なら可能 |
| 難易度 | より厳しい | 完全試合より条件が緩い |
日本野球機構の記録と国立国会図書館のレファレンス協同データベースに掲載された蒲郡市立図書館の回答でも、両者の違いは「走者を一人も出さないかどうか」という点で整理されています。
具体例で考えると分かりやすい
例えば、投手が9回を投げ切り、相手打線を無安打・無失点に抑えたとします。
しかし、3回に四球を一つ与えていた場合、その投手は完全試合を達成したことにはなりません。
同じように、野手の失策で打者が一塁に出た場合も完全試合は成立しません。
一方、四球や失策による出塁があっても、相手に安打も得点も許さずに試合を終えれば、ノーヒットノーランとして記録されます。
つまり、次の関係が成り立ちます。
- 完全試合を達成すれば、ノーヒットノーランも達成している。
- ノーヒットノーランを達成しても、完全試合とは限らない。
2026年の細野晴希の記録も比較材料になる
2026年3月31日、日本ハムの細野晴希がロッテ戦でノーヒットノーランを達成しました。
NPB公式記録では、細野は打者29人と対戦し、12奪三振を記録しています。一方、四球を2つ与えていました。
無安打無得点という素晴らしい結果でも、走者を出しているため完全試合にはなりません。
この記録は、完全試合とノーヒットノーランの違いを理解するうえで、2026年の分かりやすい実例です。
【佐々木朗希の完全試合】20歳5か月・19奪三振・13者連続奪三振の衝撃
達成日:2022年4月10日
対戦相手:オリックス
球場:ZOZOマリンスタジアム
2022年4月10日、千葉ロッテの佐々木朗希がオリックス戦で達成した完全試合は、歴代の記録の中でも特に際立った内容でした。
単に27人の打者を打ち取っただけではありません。奪三振数、連続奪三振、年齢という複数の記録を同時に更新・達成した試合だったのです。
佐々木朗希が達成した主な記録
完全試合の史上最年少記録
1試合の奪三振・プロ野球タイ記録
連続奪三振・プロ野球新記録
完全試合を達成した投球数
出典:NPB公式記録、千葉ロッテマリーンズの完全試合特設サイト。
13者連続奪三振はどのように生まれたのか
佐々木朗希は試合序盤から圧倒的な投球を披露しました。
初回2アウトから奪三振を重ね、5回の最後の打者まで13人連続で三振に仕留めています。
それまでのプロ野球記録は9者連続奪三振でした。1957年の梶本隆夫、1958年の土橋正幸が記録した数字を上回り、64年ぶりに記録を更新したのです。
さらに9回には、最後の打者となった杉本裕太郎を空振り三振に打ち取り、19奪三振で試合を締めくくりました。
19奪三振は、1995年にオリックスの野田浩司が記録したプロ野球最多記録に並ぶ数字です。
捕手・松川虎生とのバッテリーにも注目
この試合を振り返るうえで忘れてはならないのが、捕手の松川虎生です。
松川は当時、高卒新人の捕手でした。佐々木朗希とバッテリーを組み、27人の打者を一人も出塁させない試合を支えました。
NPBが2022年4月12日に掲載した公式コラムでも、松川の大胆さと繊細さを兼ね備えたリードが取り上げられています。
完全試合は投手一人の能力だけで成立する記録ではありません。捕手との意思疎通、守備陣のプレー、試合全体の集中力がそろって初めて実現します。
20歳の投手と高卒新人捕手というバッテリーが歴史的な試合を完成させた点も、この記録が長く語り継がれる理由の一つです。
最年少記録は島田源太郎から佐々木朗希へ
佐々木朗希が完全試合を達成する以前、最年少記録を保持していたのは大洋の島田源太郎でした。
島田は1960年8月11日の阪神戦で完全試合を達成。当時の年齢は20歳11か月でした。
2022年、佐々木は20歳5か月でこの記録を更新しています。
| 投手 | 達成年 | 達成時の年齢 |
|---|---|---|
| 島田源太郎 | 1960年 | 20歳11か月 |
| 佐々木朗希 | 2022年 | 20歳5か月 |
一方、最年長記録は1950年の藤本英雄が保持しています。NPB公式記録では32歳1か月での達成とされています。
つまり、完全試合の最年少と最年長の記録は、歴史の始まりを飾った藤本と、2022年の最新達成者である佐々木がそれぞれ象徴しているのです。
【なぜ完全試合は難しいのか】16人しか達成できない3つの理由
完全試合がノーヒットノーランよりも難しい理由は、単純に打者を抑えるだけでは足りないからです。
理由1:一度の四球でも記録が消える
ノーヒットノーランなら、四球で走者を出しても記録は継続します。
しかし完全試合では、四球を一つ与えた時点で達成できなくなります。
投手にとっては、長いイニングを通じて制球を維持する必要があり、少しの乱れも許されません。
理由2:投手だけでなく守備陣にも完璧さが求められる
打者を打ち取ったように見える打球でも、野手の失策によって出塁を許せば完全試合は成立しません。
内野手の送球ミス、外野手の落球など、守備側の一つのミスが記録を左右します。
日本の野球において完全試合が投手の最高の栄誉の一つとされるのは、投手の力量だけでなく、守備力も必要だからです。
理由3:9イニングを通じて集中力を維持しなければならない
通常の9イニングの試合では、27人の打者を連続してアウトにする必要があります。
途中で一人でも出塁すれば、その時点で完全試合は成立しません。
しかも、試合終盤になればなるほど、達成への期待や緊張が高まります。
投手のコンディションだけでなく、捕手の配球、野手の守備、ベンチの判断など、チーム全体が最後まで機能し続けなければなりません。
103度のノーヒットノーランに対して完全試合は16度
NPB公式記録に掲載されている数字を比較すると、希少性がさらに明確になります。
- ノーヒットノーラン:91人・103度
- 完全試合:16人・16度
ノーヒットノーランの記録は長いプロ野球史の中で100度を超えていますが、完全試合は16度にとどまります。
この数字が示しているのは、安打を許さない投球と、走者を一人も出さない投球の間には、大きな壁があるということです。
完全試合のニュースを見極める3つのチェックポイント
野球ニュースで「ノーヒットノーラン達成」という見出しを見たときは、次の点を確認すると記録の意味を正確に理解できます。
1. 被安打がゼロか:相手に安打を許していないこと。
2. 失点がゼロか:無安打でも失点があればノーヒットノーランにはならない。
3. 一人も出塁させていないか:四球・死球・失策などによる出塁もなければ完全試合となる。
また、複数の投手による継投ノーヒットノーランと、一人の投手による完全試合は別の記録です。
この違いを押さえるだけで、野球の記録報道をより正確に読み解けます。
【完全試合達成者に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:日本プロ野球の完全試合達成者は何人ですか?
NPB公式記録では、2026年10月現在、歴代16人・16度です。最後の達成者は2022年4月10日の佐々木朗希です。
Q2:完全試合の最年少記録を持っているのは誰ですか?
佐々木朗希です。2022年4月10日のオリックス戦で、20歳5か月で達成しました。それまでの島田源太郎の20歳11か月という記録を更新しています。
Q3:ノーヒットノーランと完全試合はどちらが難しいですか?
完全試合のほうが達成条件は厳しくなります。ノーヒットノーランでは四球や死球などによる出塁が認められますが、完全試合では一人の走者も出してはいけません。
まとめ:完全試合16人の歴史と2026年以降の注目ポイント
日本プロ野球の完全試合達成者は、2026年10月現在、歴代16人です。
1950年の藤本英雄から始まり、金田正一、外木場義郎、今井雄太郎、槙原寛己らが歴史をつなぎ、2022年には佐々木朗希が28年ぶりの快挙を達成しました。
特に佐々木朗希の記録は、20歳5か月での史上最年少達成、13者連続奪三振、1試合19奪三振という記録が重なった歴史的な試合でした。
完全試合の価値を理解するうえで覚えておきたいのは、ノーヒットノーランとの違いです。安打を許さないだけでは足りず、四球や失策による出塁も一切許されないことが、16人という少なさにつながっています。
2026年も完全試合達成者は16人のまま。 次の17人目がいつ誕生するのかは分かりません。しかし、藤本英雄から佐々木朗希までの歴史を振り返れば、その一試合がどれほど特別なものなのかが伝わってきます。
今後のNPBでも、投手と捕手、そして守備陣が一体となって生み出す完全試合は、野球ファンにとって見逃せない歴史的な瞬間であり続けるでしょう。 (出典: 完全 試合 達成 者(Yahoo!ニュース))