📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 東京都の主要な活断層は立川断層帯。埼玉県飯能市周辺から青梅市・立川市を経て府中市まで約33km続く。 - 想定地震はM7.4程度、30年以内の発生確率は0.5~2%。2026年1月1日基準の政府評価ではA*ランク。 - 東京湾北縁断層は活断層ではないと判断されている。地層調査で断層活動を示す証拠が確認されなかったためだ。 - 活断層の位置だけでなく、J-SHISや東京都の地震ハザード情報を組み合わせて居住地のリスクを確認することが大切。
【東京の活断層はどこにある?】まず確認したい地図と主要な調査機関
東京の活断層を調べる場合、最初に理解しておきたいのは、活断層の位置を示す地図と、地震による揺れや被害の可能性を示す地図は別物だという点だ。
「東京活断層マップ」という名称で探すと複数の地図や資料が見つかるが、それぞれ調査目的や表示対象が異なる。
東京都周辺の活断層を調べる主な公的資料
1.地震調査研究推進本部の長期評価
政府の地震調査研究推進本部は、主要活断層帯について、位置、長さ、過去の活動履歴、将来の地震規模、発生確率を評価している。
立川断層帯の位置やM7.4という想定規模、30年以内の発生確率を確認する際の基本資料となる。
2.国土地理院の活断層図
国土地理院が公開する1:25,000活断層図では、航空写真や詳細な地形データなどを使い、地表に残された断層変位地形を判読している。
活断層だけでなく、推定活断層や段丘、沖積低地など、周辺の地形的特徴も確認できる。
ただし、地形に現れていない断層は原則として表示されない。地図に線がないからといって、地下に地震を起こす断層が存在しないとは限らない。
3.防災科学技術研究所のJ-SHIS
J-SHIS(地震ハザードステーション)は、全国の地震動予測地図を閲覧できるサービスだ。
活断層の位置だけでなく、今後30年間に震度6弱以上などの揺れに見舞われる確率、地盤の揺れやすさ、深部地盤の構造なども確認できる。
東京の地震リスクを調べる資料の違い
| 資料・機関 | 主な対象 | 確認できる情報 |
|---|---|---|
| 地震調査研究推進本部 | 主要活断層帯 | 位置、M、長期発生確率 |
| 国土地理院 | 地表の活断層 | 断層線、推定断層、地形 |
| J-SHIS | 全国の地震ハザード | 震度確率、地盤増幅率 |
| 東京都の地域危険度調査 | 都内の町丁目 | 建物倒壊、火災、総合危険度 |
| 東京都の被害想定 | 想定地震ごとの被害 | 震度分布、建物被害、避難者数 |
このように、断層の位置を調べる資料と、実際に暮らす地域の被害可能性を調べる資料を使い分けることが、東京の地震リスクを正しく理解する第一歩となる。
【立川断層帯の位置図】青梅市・立川市・府中市を通る約33kmの断層
東京都の活断層を語るうえで中心となるのが、立川断層帯だ。
地震調査研究推進本部によると、立川断層帯は関東山地東部から武蔵野台地西部にかけて分布し、埼玉県南西部から東京都多摩地域に延びている。
全体の長さは約33km。おおむね北西から南東方向に走っている。
名栗断層と立川断層の2つで構成
立川断層帯は、次の2つの断層から構成される。
- 名栗断層:埼玉県飯能市の旧名栗村周辺から続く北西側の区間。
- 立川断層:東京都青梅市周辺から立川市を経て府中市方面へ続く区間。
この2つを合わせたものが、政府の長期評価でいう立川断層帯である。
断層帯全体を一つの地震発生単位として評価している点が重要だ。名栗断層と立川断層を別々の独立した地震発生確率として扱うものではない。
市区町村別に見る立川断層帯の位置
| 地域 | 断層帯との関係 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 埼玉県飯能市 | 北西側の起点付近 | 旧名栗村周辺 |
| 東京都青梅市 | 断層帯の通過地域 | 小曾木・藤橋・今井周辺 |
| 東京都立川市 | 立川断層の名称に関係する地域 | 市内の防災情報 |
| 東京都府中市 | 南東側の到達地域 | 周辺の地盤と地域危険度 |
青梅市の公式資料でも、立川断層帯は飯能市から青梅市、立川市を経て府中市に至る約33kmの断層帯として紹介されている。
特に青梅市では、小曾木、藤橋、今井などの地域を横切ると説明されている。
断層帯の北東側が隆起する構造
立川断層帯は、北東側が相対的に隆起する逆断層の性質を持つ。北西部では左横ずれも伴う。
政府の評価では、平均的な上下方向のずれの速度は1,000年あたり約0.2~0.3mと推定されている。
この数字は、断層が毎年一定速度で動いているという意味ではない。長い地質学的時間を通じて蓄積した変位を平均した値だ。
活断層は普段から目に見える形で動いているわけではない。断層面が固着した状態で周辺の岩盤にひずみが蓄積し、限界に達したときに急激なずれが生じる。これが内陸型地震の基本的な仕組みである。
【2026年1月1日基準の政府評価】M7.4・30年以内0.5~2%の意味
立川断層帯について、読者が特に注目するのが地震発生確率だ。
地震調査研究推進本部は、主要活断層帯や海溝型地震について、活動間隔や最新活動時期などを踏まえた長期評価を実施している。
2026年1月1日を算定基準日とする評価結果は、2026年1月14日に公表された。
立川断層帯についても、最新の一覧でM7.4程度という想定規模と発生確率が掲載されている。
立川断層帯の最新評価データ
| 評価項目 | 2026年の政府評価 |
|---|---|
| 想定地震規模 | M7.4程度 |
| 30年以内の発生確率 | 0.5~2% |
| 50年以内の発生確率 | 0.8~4% |
| 100年以内の発生確率 | 2~7% |
| 相対的評価 | A*ランク |
| 地震後経過率 | 0.9~2.0 |
| 平均活動間隔 | 約10,000~15,000年 |
| 最新活動時期 | 約20,000年前以後、約13,000年前以前 |
| 断層帯の長さ | 約33km |
30年以内の発生確率0.5~2%は高いのか
数字だけを見ると、0.5~2%は小さく感じるかもしれない。
しかし、政府の活断層評価では、主要活断層の発生確率を比較するための相対的なランクが設定されている。
- Sランク:30年以内の発生確率が3%以上
- Aランク:30年以内の発生確率が0.1~3%未満
- Zランク:30年以内の発生確率が0.1%未満
- Xランク:発生確率が不明
立川断層帯はAランクの条件に該当し、さらに地震後経過率が0.7以上であるため、A*ランクと表記される。
この星印は、単純に地震発生確率が高いことを意味するのではない。最後の活動から経過した時間を平均活動間隔で割った地震後経過率が0.7以上であることを示す。
2011年の東日本大震災との関係も重要
2026年版の政府資料には、もう一つ見逃せない注意事項がある。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴い、立川断層帯では、地震発生確率が公表値より高くなっている可能性があると記載されている。
つまり、30年以内0.5~2%という数字を、地震発生リスクの絶対的な上限として捉えることはできない。
また、長期評価は特定の日に地震が発生することを予測するものではない。30年という期間における発生可能性を統計的・地質学的に評価した数字である。
M7.4の地震で想定される影響
マグニチュード7.4程度の地震が発生した場合、断層周辺では強い揺れが想定される。
政府の立川断層帯評価では、地震時に北東側が相対的に2~3m程度高くなる撓曲や段差が生じる可能性が示されている。
ただし、M7.4という数字だけから、個々の住宅の震度や被害を判断することはできない。
実際の揺れは、震源の深さ、断層の破壊の仕方、地盤の性質、建物の耐震性能などによって異なる。
このため、立川断層帯の位置図だけでなく、J-SHISの地震動予測地図や自治体の被害想定を合わせて見る必要がある。
【東京湾北縁断層はなぜ活断層ではない?】政府が判断した調査上の理由
東京周辺の断層を調べると、立川断層帯と並んで検索されるのが「東京湾北縁断層」だ。
かつて、この断層は千葉県北西部の市川市・船橋市の境界付近から千葉市まで延びる、長さ約22kmの伏在断層として考えられていた。
伏在断層とは、地表に明瞭な断層線が現れていない地下の断層を指す。
しかし、地震調査研究推進本部は、2000年11月8日、東京湾北縁断層は活断層ではないと判断した。
判断の根拠は反射法弾性波探査
判断の重要な根拠となったのが、地下構造を調べる反射法弾性波探査などの調査結果だ。
政府の説明では、想定されていた断層の通過地域について、次の点が確認された。
1. 少なくとも第四紀層には断層によるずれが認められなかった。
2. 地層に断層活動を示す撓みが確認されなかった。
3. 地表にも断層によるずれや撓みが認められなかった。
これらの調査結果を総合し、将来も繰り返し活動する活断層として認定するだけの証拠がないと判断されたのである。
「活断層ではない」と「地震が起きない」は違う
ここは誤解しやすい部分だ。
東京湾北縁断層が活断層ではないと判断されたからといって、東京湾周辺で地震が起きないわけではない。
関東地方では、プレートの沈み込みに伴う地震や、別の内陸活断層による地震など、複数の地震発生メカニズムが存在する。
東京湾北縁断層についての政府判断は、あくまでその特定の断層が活断層であるかどうかについての評価である。
また、古い文献や一部の既存データベースに名称が残っていることと、現在の政府評価で活断層と認定されていることは区別しなければならない。
【活断層マップの見方と調べ方】J-SHIS・東京都の地震ハザードマップを活用
活断層マップを確認したら、次は自宅や職場の地震リスクを調べたい。
その際に役立つのが、国土地理院、J-SHIS、東京都が公開する防災情報だ。
1.国土地理院の活断層図で断層の位置を確認
国土地理院の活断層図では、地表に残された地形的な証拠から断層の位置や形状を把握できる。
地図を見るときは、以下の点を確認したい。
- 活断層として表示されている線
- 推定活断層として表示されている範囲
- 断層周辺の段丘や低地などの地形
- 地図の縮尺と位置精度
特に注意したいのが、地図の表示範囲と調査方法だ。
国土地理院の活断層図は、地表の地形調査を基本としている。地下に隠れた断層すべてを網羅する地図ではなく、過去の活動時期や将来の発生確率を直接示すものでもない。
2.J-SHISで自宅周辺の揺れやすさを調べる
J-SHISは、住所や地図上の地点から、その地域の地震ハザードを確認できるサービスだ。
主な確認項目は次のとおり。
| 表示項目 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 30年震度6弱以上の確率 | 強い揺れに遭う可能性 |
| 30年震度6強以上の確率 | より強い揺れの可能性 |
| 表層地盤増幅率 | 地盤によって揺れが増幅する程度 |
| 微地形区分 | 地形・地盤の特徴 |
| 深部地盤 | 地下の堆積層や地震基盤の深さ |
| 地震ハザードカルテ | 地点ごとの地震リスクの総合情報 |
J-SHISの地震ハザードカルテでは、評価地点を含む250mメッシュの情報も確認できる。
特に注目したいのは、表層地盤増幅率だ。
同じ規模の地震でも、地盤の条件によって地表の揺れ方は変わる。断層からの距離だけでは判断できない地域差を理解するうえで役立つ。
3.東京都の地域危険度マップを確認する
東京都は、東京都震災対策条例に基づき「地震に関する地域危険度測定調査」を実施している。
2022年9月に公表された第9回調査では、都内の市街化区域にある5,192町丁目を対象に、地震に関する危険性を5段階で相対評価した。
主な評価項目は次の3つだ。
- 建物倒壊危険度:地震の揺れによる建物倒壊の危険性。
- 火災危険度:地震後に火災が発生し、延焼する危険性。
- 総合危険度:建物倒壊・火災に加え、災害時の活動困難度を考慮した危険性。
この調査は、特定の活断層が動いた場合の被害を予測したものではない。
同じ地震動を設定し、町丁目ごとの市街地構造や建物などの条件から相対的に比較する調査である。
そのため、活断層マップと地域危険度マップを混同しないことが大切だ。
4.東京都の被害想定デジタルマップも活用する
東京都は、2022年5月に「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表している。
関連する東京被害想定デジタルマップや東京マイ・被害想定では、想定地震に応じた揺れや被害の様相を確認できる。
こちらは、実際に特定の地震が起きた場合に、どのような被害が想定されるかを調べるための資料だ。
【首都直下地震の発生リスク】立川断層帯だけを見てはいけない理由
東京の地震対策を考える際、立川断層帯の発生確率だけを見て判断するのは適切ではない。
東京都全域は、内陸活断層による地震だけでなく、相模トラフなどのプレート境界に関連する地震の影響も受ける。
特に重要なのが、2025年12月19日に公表された政府の新たな首都直下地震の被害想定だ。
2025年12月公表の新しい被害想定
政府の首都直下地震対策検討ワーキンググループは、都心南部直下地震などを対象に被害想定を見直した。
この資料では、南関東地域の直下で発生するプレートの沈み込みに伴うM7程度の地震について、今後30年間の発生確率を70%程度とする地震調査研究推進本部の評価も示されている。
ただし、これは立川断層帯の0.5~2%とは別の地震に関する数字だ。
前者は南関東のプレートに関連するM7程度の地震、後者は立川断層帯で想定される内陸型地震の発生確率である。両者を同じリスクとして比較してはいけない。
都心南部直下地震の被害想定
2025年12月公表の政府資料では、都心南部直下地震のシナリオについて、次のような被害が想定されている。
| 被害項目 | 想定される最大値 |
|---|---|
| 死者 | 約1万8,000人 |
| 全壊・焼失建物 | 約40万棟 |
| 避難者 | 約480万人 |
| 帰宅困難者 | 約840万人 |
| 経済的被害 | 約83兆円 |
これらは一定の条件を設定したシミュレーションによる最大値であり、実際の被害を確定的に予測した数字ではない。
しかし、首都圏では人口や建物、交通、経済機能が集中しているため、地震そのものの規模に加え、ライフラインの停止や交通網の寸断が社会全体に影響する。
東京都も2026年5月29日、国の新たな首都直下地震の被害想定を分析し、東京の強靱化に向けた都の見解を公表している。
今日から実践したい5つの防災対策
活断層の位置を確認した後は、具体的な対策に結び付けたい。
1. 住宅の耐震性を確認する:建築時期や耐震診断の結果を確認し、必要に応じて耐震補強を検討する。
2. 家具・家電を固定する:寝室や子ども部屋では、家具の転倒による避難経路の閉塞を防ぐ。
3. 家庭内備蓄を整える:飲料水、食料、携帯トイレ、常備品などを準備する。
4. 停電・断水に備える:モバイルバッテリー、照明、簡易トイレなどを用意する。
5. 家族の連絡方法を決める:災害用伝言サービスや集合場所、通勤・通学中の対応を話し合う。
立川断層帯に近い地域だけでなく、東京都内のどこに住んでいても必要な備えだ。
【東京活断層マップのプロの結論】見るべきなのは断層・地盤・建物の3要素
防災情報を読み解くうえで、最も避けたいのは「断層から遠いから安全」「発生確率が低いから備えなくてよい」という単純な判断だ。
活断層マップは、地震発生の可能性がある場所を理解するための重要な資料だが、住宅の被害を直接判定するものではない。
実際の防災判断では、次の3つを組み合わせて考える必要がある。
第一に、断層の位置。
立川断層帯のような主要活断層の位置や活動履歴を確認する。自宅や職場がどのような地質・地形の地域にあるのかを知ることが出発点になる。
第二に、地盤の性質。
同じ震度の地震でも、地盤の違いによって揺れ方は変わる。J-SHISで表層地盤や深部地盤を確認することが有効だ。
第三に、建物と周辺環境。
住宅の耐震性、周囲の建物密度、火災の延焼可能性、道路の幅、避難経路などが実際の被害を左右する。
この3つを合わせて考えることで、単に断層線を眺めるだけでは分からない地域の特徴が見えてくる。
【東京活断層マップに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:東京都で最も注意して確認したい活断層はどこですか?
A1:政府の主要活断層評価で特に確認したいのは立川断層帯です。埼玉県飯能市周辺から青梅市、立川市を経て府中市まで約33km続き、M7.4程度の地震が想定されています。
Q2:立川断層帯の30年以内の地震発生確率は何%ですか?
A2:2026年1月1日を算定基準日とする政府評価では0.5~2%です。相対評価はA*ランクで、2011年の東北地方太平洋沖地震に伴い、確率が公表値より高くなっている可能性も指摘されています。
Q3:東京湾北縁断層は危険な活断層ですか?
A3:政府の地震調査研究推進本部は、2000年11月8日に活断層ではないと判断しています。地下の第四紀層や地表に断層活動を示すずれ・撓みが認められなかったことが主な理由です。ただし、東京湾周辺の地震リスク全体がなくなるわけではありません。
Q4:東京で自宅周辺の地震リスクを調べるにはどうすればよいですか?
A4:まず地震調査研究推進本部で活断層の位置と長期評価を確認し、次にJ-SHISで揺れやすさや地盤を調べます。さらに東京都の地域危険度調査や自治体の防災マップで建物倒壊・火災・避難経路などを確認すると、より具体的な備えにつながります。
まとめ:【プロの結論】2026年は最新評価と自宅周辺の防災情報を照合しよう
2026年の東京活断層マップを理解するうえで、中心となるのは立川断層帯だ。
政府の最新評価では、全長約33km、想定規模M7.4程度、30年以内の地震発生確率0.5~2%。A*ランクという相対評価も公表されている。
一方、東京湾北縁断層は地質調査の結果から活断層ではないと判断されており、立川断層帯とは評価が異なる。
さらに、首都直下地震にはプレートの沈み込みに伴う地震など、活断層とは別の発生メカニズムもある。
防災で本当に大切なのは、断層の位置だけで居住地の安全性を決めないことだ。
国の長期評価、国土地理院の活断層図、J-SHIS、東京都の地域危険度調査を組み合わせ、自宅の地盤、建物の耐震性、避難経路まで確認しておきたい。
2026年の新しい政府評価を知識として終わらせず、日常の防災計画に反映させること。それが東京で暮らす人に求められる現実的な地震対策である。 (出典: 東京 活 断層 マップ(Yahoo!ニュース))