遺族厚生年金の金額早見表2026年度版|平均報酬額と加入期間別の受給額を徹底解説
配偶者や家族が亡くなったとき、遺族厚生年金はいくら受け取れるのか。2026年度(令和8年度)の制度を確認すると、受給額は亡くなった人の平均標準報酬額と厚生年金の加入期間によって大きく変わる。基本となる計算式は、亡くなった人の老齢厚生年金における報酬比例部分の4分の3だ。
ただし、加入期間が25年未満の場合には300月(25年)みなしが適用されるケースがあるほか、遺族基礎年金との併給、中高齢寡婦加算、65歳以降の自身の老齢厚生年金との調整によって、実際の受給額は変わる。2026年度の年金額改定や2028年度に予定される制度変更も踏まえ、金額の目安から計算方法、受給条件まで整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 基本の計算方法:亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が遺族厚生年金の基本額。
- 加入期間の特例:短期要件に該当し、厚生年金の加入期間が300月未満の場合は300月として計算する。
- 2026年度の加算額:中高齢寡婦加算は年額635,500円。遺族基礎年金は対象となる子の人数などによって加算される。
【2026年度版】遺族厚生年金の金額早見表と受給額の基本
遺族厚生年金の金額を把握するには、まず亡くなった人の平均標準報酬額を確認する必要がある。厚生年金は、現役時代の給与や賞与、加入期間に応じて報酬比例部分が決まる仕組みだからだ。
日本年金機構が公表している2026年度の年金額改定では、令和8年4月分から国民年金の基礎年金が前年度比1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられた。
以下は、2026年度の計算方法を踏まえ、平均標準報酬額と加入期間から受給額を試算した早見表である。
平均標準報酬額・加入期間別の受給額目安
次の金額は、平成15年4月以降の厚生年金加入期間だけで構成され、加入期間中の平均標準報酬額が一定だったと仮定した概算である。短期要件に該当する場合、加入期間が25年未満でも300月として計算している。
| 平均標準報酬額 | 10・20・25年(短期要件) | 30年 | 35年 | 40年 |
|---|---|---|---|---|
| 30万円 | 約30,831円/月 | 約36,997円/月 | 約43,163円/月 | 約49,329円/月 |
| 40万円 | 約41,108円/月 | 約49,329円/月 | 約57,551円/月 | 約65,772円/月 |
| 50万円 | 約51,384円/月 | 約61,661円/月 | 約71,938円/月 | 約82,215円/月 |
| 60万円 | 約61,661円/月 | 約73,994円/月 | 約86,326円/月 | 約98,658円/月 |
早見表の注意点:10年・20年の金額は、短期要件に該当して300月みなしが適用される場合の試算である。長期要件の場合は、実際の厚生年金加入期間などに基づいて計算するため、同じ10年・20年でも金額は異なる。
また、平均標準報酬額は単純な現在の月給とは違う。平成15年4月以降の期間については、標準報酬月額と標準賞与額を合算し、加入月数で割った金額が基本となる。
2026年度の年金額改定で押さえたい数字
日本年金機構が発表した令和8年度の年金額では、昭和31年4月2日以後生まれの人の老齢基礎年金満額は年額847,300円、月額70,608円となった。
昭和31年4月1日以前生まれの人は、老齢基礎年金の満額が年額844,900円、月額70,408円となる。
この金額は老齢基礎年金の満額であり、遺族厚生年金そのものの一律の支給額ではない。遺族厚生年金は、亡くなった人の報酬比例部分を基礎に計算するため、個々の加入履歴によって差が生じる。
【計算方法を解説】報酬比例部分の4分の3と300月みなしの仕組み
遺族厚生年金の計算で最も重要なのが、報酬比例部分の4分の3というルールだ。
日本年金機構によると、遺族厚生年金は亡くなった人が受け取るはずだった老齢厚生年金のうち、報酬比例部分を基礎に計算する。老齢基礎年金に相当する部分をそのまま引き継ぐ制度ではない。
基本となる計算式
遺族厚生年金の基本的な計算式は次のとおり。
遺族厚生年金=亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4
報酬比例部分は、平成15年3月以前と平成15年4月以降で計算方法が異なる。
平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×加入月数
平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
この2つを合計した金額が、報酬比例部分の基本的な計算額となる。その金額に4分の3を乗じることで遺族厚生年金の基本額を算出する。
なお、実際の計算では過去の標準報酬月額や標準賞与額に再評価率を乗じる。また、従前額保障や生年月日に応じた給付乗率なども関係するため、上記の簡易計算だけで正式な支給額が確定するわけではない。
厚生年金の加入期間が300月未満ならどうなる?
加入期間が短い人にとって重要なのが、厚生年金加入300月みなしという特例だ。
通常、厚生年金の加入期間が短ければ、報酬比例部分も小さくなる。しかし、遺族厚生年金では一定の短期要件に該当する場合、加入期間が300月(25年)未満であっても、300月加入したものとして報酬比例部分を計算する。
例えば、厚生年金の加入期間が10年だった人が短期要件に該当する場合、実際の120月ではなく300月を基準に計算する。
このため、短い加入期間だけを見て「遺族厚生年金はわずかな金額になる」と判断するのは適切ではない。
ただし、300月みなしはすべての死亡ケースに適用されるわけではない。長期要件に該当する場合は、短期要件と同じ特例を当然に利用できるわけではない点に注意したい。
【短期要件と長期要件の違い】受給資格と計算方法を比較
遺族厚生年金には、短期要件と長期要件という2つの区分がある。両者の違いは、亡くなった人がどのような状況で死亡したか、または年金の受給資格を満たしていたかという点にある。
短期要件に該当するケース
短期要件は、主に次の3つのケースを指す。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡した場合
- 厚生年金の加入期間中に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡した場合
- 1級または2級の障害厚生年金を受給していた人が死亡した場合
この3つのケースでは、報酬比例部分の計算に300月みなしが適用される。
ただし、在職中の死亡や加入中に初診日がある傷病による死亡では、原則として保険料納付要件も満たさなければならない。
死亡日の前日において、保険料納付済期間と免除期間を合わせて国民年金加入期間の3分の2以上あることが基本となる。死亡日が令和18年3月末日までで、亡くなった人が65歳未満の場合には、直近1年間に未納がないことによる特例も設けられている。
長期要件に該当するケース
長期要件は、亡くなった人が老齢厚生年金の受給資格を満たしていたケースなどを指す。
代表的なのは、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間などを合計して25年以上ある人が死亡した場合だ。
ここで注意したいのは、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上あることと、厚生年金に25年間加入していたことは同じではないという点である。
国民年金の加入期間なども受給資格期間に関係するため、長期要件では厚生年金の実際の加入月数を確認する必要がある。
短期要件と長期要件の違いを整理すると、次のようになる。
- 短期要件:在職中の死亡などが対象。一定の場合に300月みなしが適用される。
- 長期要件:老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人の死亡などが対象。300月みなしは適用されない。
両方の要件に該当する可能性がある場合は、年金事務所でそれぞれの計算結果を確認することが大切だ。
【遺族基礎年金・中高齢寡婦加算】2026年度の併給と追加金額
遺族厚生年金の受給額を考える際には、遺族基礎年金や中高齢寡婦加算との関係も見逃せない。
亡くなった人が厚生年金に加入していた場合、遺族厚生年金だけでなく、一定の条件を満たす遺族には遺族基礎年金も支給される。対象となる家族構成によって、年間の受給総額は大きく変わる。
遺族基礎年金は子のある配偶者や子が対象
2026年度の遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの配偶者の場合、基本額が年額847,300円となっている。
これに対象となる子の加算額が上乗せされる。
- 1人目の子:243,800円
- 2人目の子:243,800円
- 3人目以降の子:1人につき81,300円
例えば、対象となる子が1人いる配偶者の場合、遺族基礎年金は年間1,091,100円となる。
子が2人いる場合は年間1,334,900円となる。ここに遺族厚生年金が加わるため、条件を満たせば両方の年金を受け取ることができる。
なお、対象となる子とは、原則として18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する障害状態にある子を指す。
子のない配偶者は、原則として遺族基礎年金の対象にならない。その場合、遺族厚生年金や中高齢寡婦加算などが生活を支える制度となる。
中高齢寡婦加算は2026年度に年額635,500円
中高齢寡婦加算は、一定の条件を満たす妻が40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に上乗せして受け取れる制度だ。
2026年度の中高齢寡婦加算は年額635,500円。月額に換算すると約52,958円となる。
主な対象は次の2つのケースだ。
- 夫が亡くなった当時、40歳以上65歳未満で、生計を同じくする対象の子がいない妻
- 子のある妻が遺族基礎年金を受けていたものの、子が年齢要件などを満たさなくなり、遺族基礎年金を受給できなくなったケース
ただし、亡くなった夫が老齢厚生年金の受給資格を満たしていた場合には、原則として厚生年金の被保険者期間が20年以上あることなど、追加条件がある。
また、中高齢寡婦加算は65歳になると終了する。昭和31年4月1日以前生まれの妻については、一定の条件に応じて経過的寡婦加算が適用される場合がある。
受給額の具体例で比較
例えば、平均標準報酬額40万円、厚生年金加入25年という条件で短期要件に該当した場合、遺族厚生年金の基本額は年額約493,290円となる。
40歳以上65歳未満で、ほかの条件も満たす子のない妻なら、中高齢寡婦加算635,500円が加わる。
この場合の年間合計は約1,128,790円、月額換算では約94,066円となる。
一方、対象となる子が1人いる配偶者の場合は、遺族基礎年金の年額1,091,100円と遺族厚生年金の約493,290円を合わせ、年間約1,584,390円が目安となる。
ただし、遺族基礎年金を受給している期間と中高齢寡婦加算の適用関係は別々に確認する必要がある。対象となる子がいるケースで、両方の加算を無条件に重ねられるわけではない。
【65歳以上の遺族厚生年金】自身の老齢厚生年金との調整
65歳以上で、自分自身の老齢厚生年金を受け取る権利もある人は、遺族厚生年金との併給調整を受ける。
この仕組みを知らずに、亡くなった配偶者の遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金を単純に合算してしまうと、実際の受給額を大きく見誤る可能性がある。
2つの計算額を比較する
65歳以上で自身の老齢厚生年金の受給権がある配偶者の場合、遺族厚生年金の計算では次の2つを比較する。
- 亡くなった配偶者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
- 亡くなった配偶者の報酬比例部分の2分の1と、自分自身の老齢厚生年金の2分の1を合算した金額
このうち高い方の金額を基準に遺族厚生年金を計算する。
ただし、自分自身の老齢厚生年金は全額支給される一方、遺族厚生年金については自身の老齢厚生年金に相当する部分が支給停止となる仕組みだ。
そのため、遺族厚生年金の受給権があるからといって、自分の老齢厚生年金にそのまま全額を追加できるわけではない。
65歳以降の受給額を確認するときの注意点
65歳以降の年金額は、自分の老齢基礎年金、老齢厚生年金、配偶者の報酬比例部分、遺族厚生年金の受給権などを総合的に確認する必要がある。
また、遺族年金を受け取る権利が発生した場合、老齢年金の繰下げ受給にも制限がある。原則として66歳に到達する日以前に遺族年金などの受給権を得た場合、老齢年金の繰下げ受給はできない。
令和7年の制度改正では、一定の条件を満たす人について、令和10年3月31日時点で65歳未満かつ遺族厚生年金の受給権がある場合などに、老齢年金の繰下げに関する特例的な取り扱いも設けられた。
65歳以降に複数の年金を受け取る可能性がある場合は、請求手続きの前に日本年金機構で個別の支給額を確認することが望ましい。
【受給要件と2028年の制度改正】誰が受け取れるのか
遺族厚生年金は、亡くなった人が厚生年金に加入していたという理由だけで、家族全員が受け取れる制度ではない。亡くなった人の加入・納付状況に加えて、遺族の続柄、年齢、生計維持関係などの条件がある。
受給対象者と優先順位
日本年金機構が示す受給対象者は、亡くなった人によって生計を維持されていた次の遺族だ。
- 子のある配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
このうち最も優先順位の高い遺族が受給する。夫、父母、祖父母については、原則として死亡当時55歳以上であることが条件となり、受給開始は60歳からとなる。
子のない30歳未満の妻は、原則として5年間のみの受給となる。また、子のない夫は死亡当時55歳以上であることが原則で、受給開始は60歳からだ。ただし、遺族基礎年金をあわせて受け取れる場合には例外がある。
生計維持関係の条件も確認する
受給対象となるには、死亡した人によって生計を維持されていたことも必要となる。
日本年金機構の説明では、原則として次の2つを満たす必要がある。
- 死亡した人と生計を同じくしていたこと。同居だけでなく、仕送りなどによる生計同一も認められる場合がある。
- 前年の収入が850万円未満、または所得が655万5,000円未満であること。
年収が基準以上でも、おおむね5年以内に850万円未満になると認められる退職や廃業などの事情があれば、対象となる可能性がある。
2028年4月から遺族厚生年金の制度が変わる
2025年に成立した年金制度改正法では、遺族厚生年金の男女差を解消するための見直しが盛り込まれた。施行予定日は2028年4月1日となっている。
改正の大きなポイントは、18歳年度末までの子を養育していない60歳未満の配偶者について、男女とも原則5年間の有期給付とする方向で制度を変更することだ。
これまでの制度では、子のない妻は年齢によって長期の受給が可能だった一方、子のない夫には年齢に関する制限が設けられていた。改正では、この男女差を段階的に解消する。
ただし、すべての受給者が一律に5年間で打ち切られるわけではない。厚生労働省は、次のような人について今回の見直しの影響を受けないと説明している。
- すでに遺族厚生年金を受給している人
- 60歳以降に受給権が発生する人
- 18歳年度末までの子を養育している人の給付内容
- 2028年度に40歳以上になる女性
また、新しい有期給付には有期給付加算が設けられ、給付額は現行の遺族厚生年金の約1.3倍となる仕組みが予定されている。5年間の支給終了後も、障害状態にある人や収入が十分でない人には、一定の条件のもとで継続給付が設けられる。
中高齢寡婦加算についても、将来的な廃止に向けた段階的な見直しが予定されている。2026年度の受給額を調べる場合は現行制度を基準にしつつ、2028年度以降に受給権が発生する人は改正内容も確認する必要がある。
【遺族厚生年金の金額早見表】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:遺族厚生年金は平均月収30万円ならいくら受け取れますか?
A1:平成15年4月以降の加入期間だけで計算し、平均標準報酬額が30万円、加入期間が25年の場合、月額約30,831円が目安となる。短期要件で加入期間が10年や20年の場合も、300月みなしが適用されれば同程度の金額になる。
Q2:厚生年金の加入期間が10年でも遺族厚生年金は受け取れますか?
A2:受給要件を満たす短期要件に該当する場合は、加入期間が10年でも遺族厚生年金を受け取れる可能性がある。この場合、報酬比例部分の計算では300月みなしが適用される。ただし、保険料納付要件や遺族側の受給条件も満たす必要がある。
Q3:遺族基礎年金と遺族厚生年金は両方もらえますか?
A3:両方の受給要件を満たせば併給できる。例えば、対象となる子が1人いる配偶者の場合、2026年度の遺族基礎年金は年額1,091,100円となり、これに遺族厚生年金が加わる。
まとめ:2026年度の遺族厚生年金は報酬額と加入期間の確認が重要
2026年度の遺族厚生年金は、亡くなった人の老齢厚生年金における報酬比例部分の4分の3が基本となる。平均標準報酬額と加入期間を把握すれば、おおよその受給額を試算できる。
特に重要なのは、短期要件に該当する場合の300月みなしだ。加入期間が25年未満でも、一定の条件を満たせば25年加入したものとして計算されるため、加入年数だけで受給額を判断してはいけない。
さらに、対象となる子がいる場合の遺族基礎年金、中高齢寡婦加算の年額635,500円、65歳以降の老齢厚生年金との調整も受給総額を左右する。
実際の受給額を正確に把握するには、亡くなった人の年金加入記録、標準報酬月額、標準賞与額、死亡時の状況、遺族の年齢や家族構成を確認する必要がある。
2028年度には遺族厚生年金の制度改正も予定されている。2026年度の金額だけでなく、受給権が発生する時期や経過措置まで確認し、自分のケースに適用される制度を見極めることが、将来の生活設計において重要になる。
【プロの結論】遺族厚生年金の金額を判断する際は、平均標準報酬額だけでなく、短期要件・長期要件の区分、300月みなしの適用、遺族基礎年金との併給、65歳以降の支給調整を一体的に確認することが欠かせない。早見表は受給額を把握する第一歩として活用し、最終的な金額は日本年金機構の年金記録と個別の受給資格に基づいて確認したい。