肋木とは何か?2026年版・使い方や運動効果、懸垂器具との違いを徹底解説
体育館の壁に設置された、はしごのような形をした運動器具。その名前を「肋木(ろくぼく)」といいます。学校の体育館で見かけた記憶はあっても、具体的な用途や正しい使い方まで知っている人は意外と多くありません。肋木は、単に登ったりぶら下がったりするための器具ではなく、ストレッチや筋力トレーニング、身体の支持運動、柔軟性を高める体操など、幅広い運動に活用できる体育器具です。
そのルーツは19世紀のスウェーデン体操にあり、日本では明治末期から大正時代にかけて学校体育に取り入れられました。2026年現在は、学校や体育施設だけでなく、公園の健康遊具や家庭用トレーニング設備としても利用されています。ここでは、肋木の構造と歴史、具体的な運動効果、ストレッチや筋トレの方法、懸垂器具との違い、自宅に設置する際の選び方、安全管理まで詳しく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:肋木は、縦の支柱と複数の横木からなる、はしご状の運動器具。読み方は「ろくぼく」。
- 要点2:スウェーデン体操に由来し、明治末期から大正時代にかけて日本の学校体育に普及した。
- 要点3:肩・背中・股関節のストレッチや、腕・体幹・下半身のトレーニングに活用できる。
- 要点4:懸垂専用器具とは構造も用途も異なり、すべての肋木が全体重を支えられるわけではない。
- 要点5:自宅への設置では、壁の強度、固定方法、耐荷重、使用スペースを確認することが欠かせない。
【肋木とは?】体育館にあるはしご状の器具の構造と種類を解説
肋木の読み方と基本的な意味
肋木は「ろくぼく」と読みます。英語では「Wall Bars(ウォールバーズ)」や「Swedish Ladder(スウェーデンラダー)」と呼ばれる運動器具です。
基本的な構造は、左右に配置された2本の縦支柱と、その間に一定の間隔で取り付けられた複数の横木から成ります。正面から見ると大きな木製のはしごのような形をしています。
名称に使われている「肋」は肋骨を意味します。横木が人間の肋骨のように規則正しく並んでいることが、名前の由来とされています。
横木は一般に「肋桿(ろっかん)」とも呼ばれます。運動する人は、この横木を握ったり、手足をかけたり、身体を支えたりして運動します。
肋木の構造と仕組み
肋木の特徴は、横木が複数の高さに配置されていることです。これによって、利用者は身長や柔軟性、筋力に合わせて手を置く位置や足をかける高さを選べます。
一般的な壁面固定式の肋木は、次のような部材で構成されています。
- 縦支柱:横木を支える左右の柱。器具全体の骨格を形成する。
- 横木:握る、足をかける、身体を支えるなどの運動に使用する部分。
- 固定金具:支柱や本体を壁面・構造体に固定するための部材。
- 接合部分:横木と縦支柱を連結し、運動時の荷重を受ける部分。
横木が複数あることで、運動の種類や身体の位置を調整しやすくなります。例えば、低い位置の横木を使えば足をかけたストレッチができ、高い位置の横木は肩周辺の運動や、仕様上認められたぶら下がり運動などに利用できます。
ただし、見た目が丈夫でも、すべての横木や固定部分が懸垂やぶら下がりに対応しているわけではありません。器具ごとの設計や耐荷重を確認する必要があります。
肋木にはどのような種類がある?
肋木は設置場所や素材、構造によっていくつかの種類に分けられます。
1.壁面固定式の木製肋木
学校の体育館でよく見られるタイプです。木製の縦支柱と横木を組み合わせ、体育館の壁面に固定します。複数の欄を横に連結することで、多人数が利用できる設備にもなります。
2.壁面固定式の金属製肋木
金属製の部材を使ったタイプです。設置場所や用途に応じて設計され、屋内の運動施設などで採用される場合があります。材質によって握ったときの感触やメンテナンス方法が異なります。
3.自立式・屋外設置型の肋木
壁に直接取り付けるのではなく、独立した構造体として設置するタイプです。公園や学校の屋外運動スペースなどに設置される健康遊具にも、肋木に似た構造の設備があります。
4.家庭用肋木
住宅内のトレーニングスペースやフィットネスルームに設置するための小型製品です。壁面固定式を中心に、製品によっては懸垂用のバーやトレーニング用アクセサリーを組み合わせられるものもあります。
家庭用は、体育館向けの大型製品と比べて設置スペースを抑えやすい一方、住宅の壁や床に適した固定方法を選ぶ必要があります。
【肋木の歴史と由来】スウェーデン体操から日本の学校体育へ
発祥の背景にあるペール・ヘンリック・リング
肋木の歴史を理解するには、19世紀のスウェーデンで発展した体操の体系を知る必要があります。
その中心人物が、スウェーデンの体育家であるペール・ヘンリック・リング(Pehr Henrik Ling、1776~1839年)です。
リングは、解剖学や生理学などの知識を背景に、身体の動きを体系的に整理したスウェーデン体操を発展させました。単に競技の技術を高めるのではなく、身体の調和的な発達や健康、教育への活用を重視したことが特徴です。
1813年にはストックホルムに体操指導者を育成する中央体操研究所が設立され、スウェーデン体操の普及と体系化が進みました。
肋木は、このスウェーデン体操の流れの中で活用された器具です。自分の体格や能力に応じて身体を支持したり、懸垂したり、姿勢を変えたりできる点が特徴でした。
日本への伝来は1902年頃
日本にスウェーデン体操が紹介されたのは、明治時代の終わりに向かう1902年頃です。
金沢星稜大学の学長コラムや国立教育政策研究所教育図書館のレファレンス協同データベースでは、川瀬元九郎や井口あぐりらが日本への紹介に関わったことが説明されています。
当時の日本では、学校教育における身体づくりや体育指導のあり方が整備されていました。スウェーデン体操は、一定の動作を体系的に教えやすく、児童の体格や能力に応じて運動を調整できることから、教育現場で活用されるようになりました。
肋木と日本の学校体育の関係
明治末期から大正時代、さらに昭和戦前期にかけて、肋木は日本の学校体育を支える教材の一つでした。
その役割は、単純に高い場所へ登ることだけではありません。身体を支える運動、姿勢を保つ運動、腕や脚を使った運動などを通じて、児童の身体能力を育てることにありました。
金沢星稜大学の2023年11月1日付の学長コラムでは、石川県におけるスウェーデン体操の教育的な取り組みが紹介されています。1934年には「金沢市児童体育研究発表会」が開催され、当時の児童体育の実践を伝える資料も残されています。
戦後は、学校体育の教材がスポーツ中心へと移っていく中で、肋木を積極的に活用する機会が少なくなりました。現在では、体育館の壁に残っていても、具体的な使い方を知らない児童や教員がいるという状況も見られます。
肋木をめぐる歴史と関連人物・概念
肋木は単独で生まれた運動器具ではなく、近代体育の発展や学校教育の変化と結び付いています。関係する人物や出来事を整理すると、次のようになります。
| 人物・時代・概念 | 主な内容 | 肋木との関係 |
|---|---|---|
| ペール・ヘンリック・リング | 1776~1839年のスウェーデンの体育家 | スウェーデン体操を体系化した中心人物 |
| スウェーデン体操 | 19世紀に発展した身体運動の体系 | 肋木を利用する運動の歴史的背景 |
| 中央体操研究所 | 1813年、ストックホルムに設立 | 近代的な体操指導者の育成拠点 |
| 川瀬元九郎・井口あぐり | 1902年頃の日本への紹介に関係 | 日本でのスウェーデン体操普及に貢献 |
| 明治末期~昭和戦前期 | 学校体育でスウェーデン体操が活用された時代 | 肋木が学校の体育教材として普及 |
| 1934年・金沢市児童体育研究発表会 | 石川県における児童体育の取り組み | 当時の肋木運動を伝える歴史資料が残る |
| 現代の体育・フィットネス | 学校体育、公園の健康遊具、家庭用運動設備 | 柔軟性や筋力を高める器具として活用 |
この歴史から分かるのは、肋木が単なる懐かしい体育館の設備ではないということです。もともとは、身体の状態や能力に応じた運動を実現するための教育用具として発展してきました。その考え方は、現在のフィットネスや身体づくりにも通じています。
【肋木の運動効果】ストレッチ・筋トレ・体操で鍛えられる部位
肋木を使った運動で期待できる効果
肋木の大きな特徴は、複数の高さにある横木を利用して、運動の負荷や身体の位置を調整できることです。
そのため、柔軟性を高める運動から、自分の体重を利用した筋力トレーニングまで、目的に合わせた使い方ができます。
代表的な運動効果は次のとおりです。
- 柔軟性の向上:股関節、太ももの裏側、肩、胸部などを無理のない範囲で伸ばせる。
- 肩甲骨周辺の可動性:腕の位置や身体の傾きを調整しながら肩周辺を動かせる。
- 筋力の維持・向上:腕や体幹、下半身を使った自重運動に応用できる。
- 握力の活用:横木を握る動作を通じて前腕や手指の筋肉を使える。
- バランス能力の向上:手足を協調させる運動や片脚を使う運動に活用できる。
- 身体のコントロール能力:身体を支持する位置や動作を調整することで、運動の協調性を養える。
ただし、肋木を使用すれば自動的に姿勢が改善したり、肩こりや腰痛が治ったりするわけではありません。運動効果は、実施する種目、運動強度、継続期間、個人の身体状況によって変わります。
肋木ストレッチ① 胸と肩を伸ばす
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで、胸の前側や肩周辺が硬く感じられる人に取り入れやすい運動です。
手順
- 肋木の前に立ち、胸の高さ程度の横木に両手を置く。
- 足を少し後ろへ移動させる。
- 肘を伸ばしすぎず、胸をゆっくり開く。
- 呼吸を止めず、心地よい伸びを感じる位置で15~20秒ほど保つ。
- ゆっくり元の姿勢に戻す。
大胸筋や肩の前側を伸ばすことを意識します。腰を大きく反らせたり、肩関節に強い負荷をかけたりしないことがポイントです。
肋木ストレッチ② 太ももの裏側を伸ばす
ハムストリングスと呼ばれる太ももの裏側の筋肉を伸ばす運動です。股関節周辺の柔軟性を高めたいときに取り入れられます。
手順
- 肋木の前に立つ。
- 腰より低い位置など、無理なく足を乗せられる横木を選ぶ。
- 片足のかかとを横木に乗せる。
- 背中を極端に丸めず、股関節から上半身をゆっくり前に倒す。
- 太ももの裏側に軽い伸びを感じる位置で15~20秒ほど保つ。
- 反対側も同様に行う。
足を高い位置に置くほど柔軟性が必要になります。最初は低い横木を選び、痛みが出る手前で止めましょう。
肋木ストレッチ③ 背中と広背筋を伸ばす
背中の広い範囲にある広背筋や、肩甲骨周辺の筋肉を伸ばす運動です。
手順
- 肋木の正面に立つ。
- 肩の高さ程度の横木を両手で握る。
- 膝を軽く緩めながら、腰を後方へ引く。
- 背中から腕にかけて自然に伸びる位置を探す。
- 呼吸を続けながら15~20秒ほど保つ。
腕だけで強く引っ張らず、身体全体をゆっくり動かすことが大切です。
肋木トレーニング① 斜め腕立て伏せ
肋木の横木を利用すると、床で行う通常の腕立て伏せよりも負荷を調整しやすくなります。
手順
- 身体を安定して支えられる高さの横木を選ぶ。
- 両手を横木に置き、足を後ろに引く。
- 頭からかかとまでを一直線に保つ。
- 肘を曲げて胸を横木に近づける。
- ゆっくり元の姿勢に戻る。
胸の大胸筋、腕の上腕三頭筋、肩の三角筋前部などを使います。横木が手をついて運動する荷重に対応していることを確認してから実施してください。
肋木トレーニング② カーフレイズ
ふくらはぎを鍛えるシンプルな運動です。横木を軽く握って身体のバランスを保ちながら行います。
手順
- 肋木の前に立ち、両手を軽く横木に添える。
- 足を腰幅程度に開く。
- かかとをゆっくり持ち上げ、つま先立ちになる。
- 一度姿勢を保ち、ゆっくりかかとを下ろす。
- 10~15回程度を目安に行う。
ふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋を使う運動です。身体を横木に強く預けず、自分の脚で動作をコントロールしましょう。
肋木を使った体操の基本メニュー
初心者は、難しい懸垂や高度な自重トレーニングに挑戦するよりも、ストレッチと軽い筋力運動を組み合わせる方法がおすすめです。
例えば、次のようなメニューが考えられます。
- 胸・肩のストレッチ:15~20秒
- 背中のストレッチ:15~20秒
- ハムストリングスのストレッチ:左右各15~20秒
- 斜め腕立て伏せ:無理のない回数
- カーフレイズ:10~15回
一つひとつの動作を丁寧に行うことが大切です。回数を増やすことよりも、正しい姿勢と呼吸を意識しましょう。
【肋木と懸垂器具の違い】どちらを選ぶべき?用途と特徴を比較
肋木は全身運動、懸垂器具は上半身の引く運動が中心
肋木と懸垂器具は、どちらも横棒を握って身体を支える場面があるため、同じものだと考えられることがあります。しかし、設計上の目的は異なります。
肋木は複数の横木を備えたはしご状の器具です。手や足を置く位置を変えながら、ストレッチや身体の支持運動、柔軟性運動などに利用できます。
一方、懸垂器具は、懸垂運動を行うための横棒やグリップを備えた設備です。身体を持ち上げる運動を想定し、使用者の体重や運動時の荷重に対応するよう設計されています。
肋木と懸垂器具の比較
主な違いを整理すると、次のようになります。
- 構造:肋木は複数の横木を備えたはしご状、懸垂器具は懸垂用の横棒を中心とした構造。
- 運動目的:肋木は柔軟性運動や支持運動など幅広い用途、懸垂器具は引き上げ動作が中心。
- 高さの選択:肋木は横木ごとに握る位置を変えられる。
- トレーニング内容:肋木はストレッチや体幹運動にも応用できる。
- 荷重設計:どちらも製品ごとの耐荷重や使用条件を確認する必要がある。
肋木でも懸垂はできる?
肋木の横木を握って懸垂すること自体は、製品の構造や設計によって可能な場合があります。実際、スウェーデン体操の歴史においても、肋木は懸垂や身体の支持に利用されてきました。
ただし、ここで注意したいのは、すべての肋木が懸垂用に設計されているわけではないという点です。
学校の体育館に設置された古い木製肋木や、ストレッチ専用の家庭用製品では、全体重をかけた懸垂や反動を使う運動が想定されていない可能性があります。
懸垂を目的とするなら、メーカーがぶら下がりや懸垂を認めているか、横木と固定部分の耐荷重が明示されているかを確認してください。
懸垂を中心に鍛えたい人には専用の懸垂器具、ストレッチや全身の運動を幅広く行いたい人には肋木が適しています。
【肋木の設置場所・高さ・サイズ】学校から自宅まで選び方を解説
肋木はどこに設置されている?
肋木の代表的な設置場所は、学校の体育館や運動施設です。壁面に固定された大型の木製肋木がよく知られています。
そのほか、次のような場所でも利用されています。
- 小学校・中学校・高校:体育の授業や身体づくりの運動に使用する。
- 大学の体育施設:体育・スポーツ関連の授業やトレーニングに使用する。
- 体操教室:柔軟性や身体の支持能力を高める練習に使用する。
- スポーツ施設:ストレッチや補助的なトレーニングに使用する。
- 公園:屋外型の健康遊具として設置する。
- 住宅:家庭用トレーニング器具として設置する。
設置場所によって、必要なサイズや素材、固定方法は変わります。
肋木の高さとサイズに全国共通の寸法はある?
肋木の寸法は製品によって異なります。体育館に設置されている従来型の肋木について、金沢星稜大学の学長コラムでは、高さ約180~240cm、横幅約80~100cmという目安が紹介されています。
一方、メーカーの現行製品を見ると、さらに異なる寸法の製品もあります。
例えば、吉田体機工業の壁面固定式肋木では、高さ2.6m、1欄あたりの幅0.9mという仕様が掲載されています。3欄型は幅2.7m、5欄型は幅4.5mです。
また、大阪タイキが取り扱う屋外向けの学校用肋木には、長さ5,449mm、高さ2,124mm、奥行き1,549mmというスチール製の製品があります。
これらは製品ごとの仕様例であり、すべての肋木に共通する標準寸法ではありません。
自宅用肋木を選ぶときのポイント
自宅に肋木を設置する場合、デザインや価格だけで決めるのは避けたいところです。特に重要なのは、設置する建物の構造と、実際に行いたい運動の内容です。
1.壁面固定式か自立式か
壁面固定式は床面を広く使いやすい一方、壁の構造に適した固定工事が必要です。自立式は壁への直接固定を避けられる場合がありますが、床面の占有スペースや転倒防止対策を考える必要があります。
2.設置する壁の強度
壁の表面だけでなく、内部の下地や建物の構造体が荷重に対応できるかが重要です。石こうボードだけに固定するような設置は避け、メーカー指定の施工条件を確認してください。必要に応じて施工業者に相談しましょう。
3.耐荷重と使用目的
ストレッチ用なのか、腕立て伏せなどの支持運動にも使うのか、懸垂まで行いたいのかによって必要な性能は変わります。製品に記載された耐荷重と、運動ごとの使用条件を確認することが大切です。
4.横木の間隔と握りやすさ
横木の間隔や太さは、ストレッチや握る動作のしやすさに関係します。使用する人の身長や手の大きさも考慮しましょう。
5.周囲のスペース
器具の幅だけでなく、前後に身体を動かすスペース、頭上の空間、床面の状態も確認してください。肋木の周囲に家具や障害物があると、安全な運動を妨げることがあります。
特に子どもと大人が共用する場合は、双方の身長や使用目的に対応できる製品かどうかも選定基準になります。
【肋木の安全な使い方】事故を防ぐための点検と注意事項
使用前に固定状態と横木の破損を確認する
肋木を使用する前に確認したいのが、本体の固定状態です。
学校の体育館に設置された肋木は、長年使用されているものもあります。木材の劣化や接合部分の緩み、固定金具の不具合などが生じている可能性があります。
最低限、次の項目を確認してください。
- 壁面や床面への固定部分に異常がないか。
- 横木にひび割れや欠け、ささくれがないか。
- 横木と縦支柱の接合部分に緩みがないか。
- 木材に腐食や変形がないか。
- 金属製部材に腐食や損傷がないか。
- 運動する場所に障害物や滑りやすいものがないか。
異常があれば使用を中止し、施設の管理者やメーカーに点検を依頼しましょう。
ぶら下がりや懸垂を無理に行わない
肋木の横木は、見た目が丈夫でも、必ずしも全体重を支える設計ではありません。
特に注意したいのが、横木に勢いよく飛びつく動作や、身体を大きく振る運動です。静止した状態での荷重とは異なる力が加わり、横木や固定部分に大きな負担を与える可能性があります。
メーカーが認めていない懸垂、ディップス、反動を使った運動などは避けてください。製品の用途や耐荷重が分からない場合は、ぶら下がり運動も行わないことが原則です。
滑りや転倒を防ぐ
手に汗をかいた状態や、床が濡れている状態で運動すると、握り損ねたり足を滑らせたりする危険があります。
使用時には手の状態を確認し、床面を乾燥した状態に保ちましょう。また、足を横木に乗せるストレッチでは、身体が不安定にならない高さを選ぶことが大切です。
柔軟性を高めようとして、無理に高い横木へ足をかける必要はありません。痛みや強い張りが出た場合は、すぐに運動を中止してください。
子どもが使用するときは大人が見守る
子どもにとって肋木は、登る、握る、身体を支えるといった全身運動を経験できる設備です。一方で、高い場所からの転落や、手足が横木に引っかかる危険もあります。
使用する際は、子どもの身長や運動能力に合った範囲で活動させ、教員や保護者が見守る必要があります。
また、複数人が同時に登る、横木から飛び降りる、周囲でふざけるといった行為は事故につながりやすいため、使用ルールを明確にしましょう。
文部科学省が示す学校施設の安全点検
学校における安全管理については、文部科学省が「学校における安全点検要領」を公開しています。2025年3月には安全点検を推進するためのノウハウ集も更新・公開されました。
同要領では、学校施設や設備について、日常・定期・臨時の安全点検を実施する考え方が示されています。また、設備の劣化や損傷を把握し、必要な場合には専門家による点検や修繕を行うことも重視されています。
肋木も体育施設の一つである以上、設置状態や使用頻度に応じた管理が必要です。日常的な目視確認だけで安全性を判断せず、異常があれば管理者による適切な対応につなげることが重要です。
家庭用肋木についても同じ考え方が当てはまります。設置後に放置するのではなく、固定金具の緩み、横木の劣化、壁面の異常などを定期的に確認しましょう。
【プロの結論】肋木は目的に合わせて使い分けることが大切
肋木の価値は、単に身体をぶら下げたり登ったりできることだけではありません。複数の横木を利用して、身体の位置や運動の負荷を調整できる点にあります。
学校体育の歴史を振り返ると、肋木は児童の体格や運動能力に応じた身体づくりを支える器具として普及しました。その教育的な背景を知ると、体育館の片隅にあるはしご状の設備にも、異なる見方が生まれます。
現在、肋木を活用するなら、次のような判断基準を参考にしてください。
肋木がおすすめできる人
- 肩や背中、股関節周辺のストレッチを行いたい人。
- 自重を利用した軽いトレーニングを取り入れたい人。
- 柔軟性と筋力の両方を意識した運動をしたい人。
- 子どもの全身運動や身体づくりに活用したい人。
- 家庭にトレーニングスペースを設けたい人。
肋木をおすすめしにくい人・注意が必要な人
- 懸垂やディップスなど、高負荷の運動だけを目的とする人。
- 壁の強度や固定方法を確認できない住宅に設置したい人。
- 器具の耐荷重や使用条件を確認せずに運動したい人。
- 痛みや身体の不安定さがある状態で無理なストレッチを行おうとする人。
特に自宅用肋木を購入する場合は、価格や見た目よりも、施工条件と耐荷重を優先してください。安全に使用できる環境を整えたうえで、運動目的に合った製品を選ぶことが大切です。
【肋木とは何か】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:肋木は何と読みますか?
A1:肋木は「ろくぼく」と読みます。体育館の壁などに設置されている、縦の支柱と複数の横木からなるはしご状の運動器具です。英語ではWall BarsやSwedish Ladderと呼ばれます。
Q2:肋木を使うとどのような運動効果がありますか?
A2:肩や胸、背中、股関節、太ももの裏側などのストレッチに加え、斜め腕立て伏せやカーフレイズなどの筋力トレーニングにも活用できます。握力や身体のバランス、運動の協調性を養う運動にも応用できます。
Q3:肋木と懸垂器具は同じものですか?
A3:同じものではありません。肋木は複数の横木を使って全身の運動を行う器具で、懸垂器具は懸垂を中心とした運動を行う設備です。肋木でも懸垂できる製品はありますが、耐荷重やメーカーの使用条件を確認する必要があります。
Q4:肋木の高さやサイズに決まりはありますか?
A4:製品や設置場所によって異なります。従来型の体育館用肋木には高さ180~240cm程度の例があり、メーカー製品には高さ2.6mの壁面固定式などもあります。購入時は個別の製品仕様を確認してください。
Q5:自宅に肋木を設置することはできますか?
A5:可能です。家庭用の壁面固定式などが販売されています。ただし、住宅の壁や下地が荷重に対応できるか、固定方法が適切かを確認する必要があります。必要に応じて専門業者に施工を依頼してください。
Q6:肋木を使うときに最も注意すべきことは何ですか?
A6:器具の固定状態と横木の破損、使用目的に対する耐荷重を確認することです。特に、すべての肋木が懸垂やぶら下がりに対応しているわけではありません。メーカーの使用条件を守り、無理な運動を避けてください。
まとめ:肋木の正しい使い方を知り、安全な運動に活用しよう
肋木とは、体育館や運動施設の壁などに設置される、はしご状の運動器具です。19世紀のスウェーデン体操を背景に発展し、1902年頃に日本へ紹介され、明治末期から大正時代にかけて学校体育に普及しました。
現在では、ストレッチや筋力トレーニング、身体の支持運動などに活用できる設備として、学校やスポーツ施設、公園、家庭などで利用されています。
胸や肩、背中、股関節の柔軟性を高めたい人にはストレッチ、腕や体幹、下半身を鍛えたい人には自重トレーニングというように、目的に応じて使い分けられるのが魅力です。
ただし、肋木は懸垂専用器具ではありません。安全に使用するためには、器具の構造、固定状態、耐荷重、設置環境を確認する必要があります。
肋木を活用する際の基本は、無理なく身体を動かし、器具の設計に合った運動を選ぶことです。学校体育の歴史を受け継ぐ器具として、その特徴を理解し、安全な身体づくりに役立てていきましょう。 (出典: 肋木 と は(Yahoo!ニュース))