肺が痛いときは何科?呼吸器内科・循環器内科の選び方と危険な症状を徹底解説【2026年版】
胸の片側がズキズキする、深呼吸すると胸の奥が痛む、咳をするたびに肺のあたりに鋭い痛みが走る。このような症状が現れると、「肺に何か異常があるのではないか」「何科を受診すればよいのだろう」と不安になる人は少なくありません。
肺が痛いと感じたときの受診先は、基本的に呼吸器内科、循環器内科、一般内科のいずれかです。ただし、胸の痛みは肺や胸膜だけでなく、心臓、血管、肋骨、筋肉、神経、食道などが原因で起こることもあります。突然の激しい胸痛や呼吸困難がある場合は、診療科を選ぶ前に119番で救急車を要請する必要があります。
2026年11月現在、日本呼吸器学会や厚生労働省などの医療情報を踏まえ、受診先の選び方、深呼吸や咳で痛む原因、左右による違い、胸部レントゲンや心電図などの検査、救急車を呼ぶべき危険なサインまで整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 受診先:肺や胸膜の病気が疑われる場合は呼吸器内科、心臓や血管の異常が疑われる場合は循環器内科、原因が分からない場合は一般内科が基本。
- 主な原因:気胸、肺炎、胸膜炎、肺血栓塞栓症のほか、狭心症、肋間神経痛、筋肉や骨の異常なども考えられる。
- 危険な症状:突然の激しい胸痛、急な息切れ、冷や汗、失神などがあれば、迷わず119番へ。
- 主な検査:胸部レントゲン、心電図、血液検査を基本に、必要に応じてCTや心エコーなどを実施する。
【まず結論】肺が痛いときは何科?症状別に受診先を選ぶ方法
肺が痛いと感じた場合、最初の受診先として検討したいのは呼吸器内科です。しかし、胸痛の原因は呼吸器だけに限られません。症状の現れ方によっては循環器内科や一般内科のほうが適切な場合もあります。
特に注意したいのは、痛む場所だけで受診先を決めないことです。胸の左側が痛いから心臓、右側が痛いから肺という単純な区別はできません。
呼吸器内科:深呼吸や咳で痛む場合に検討
呼吸器内科は、肺、気管支、胸膜など呼吸に関係する臓器を専門的に診察する診療科です。
次のような症状がある場合は、呼吸器内科への相談が適しています。
- 深呼吸すると胸の奥が痛む
- 咳をすると胸や背中に痛みが走る
- 咳や痰が長く続いている
- 発熱と胸痛が同時に現れている
- 片側の胸が突然痛くなった
- 息を吸うと胸の片側が鋭く痛む
- 階段や坂道で息切れしやすくなった
代表的な原因には、気胸、肺炎、胸膜炎、気管支炎などがあります。
特に、突然の片側の胸痛と息苦しさが同時に現れた場合は、自然気胸の可能性があります。軽い症状に感じても、早めに医療機関で評価を受けることが大切です。
循環器内科:圧迫感や動悸を伴う場合に検討
循環器内科は、心臓や血管の病気を専門に診る診療科です。
肺が痛いと思っていても、実際には心臓や血管に原因があることがあります。特に次のような症状には注意が必要です。
- 胸の中央が締め付けられる
- 胸に重いものを載せられたような圧迫感がある
- 運動や階段の上り下りで胸が痛くなる
- 胸痛と一緒に動悸がする
- 左胸から肩、腕、背中、顎にかけて痛みが広がる
- 胸の痛みと冷や汗、吐き気が同時に現れる
考えられる病気には、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全などがあります。
ただし、これらの症状があるときに通常の循環器内科外来を予約して待つのは適切ではありません。強い痛みや呼吸困難などがあれば、救急車を要請してください。
一般内科:原因が分からない場合の最初の相談先
痛みの原因が肺なのか、心臓なのか、筋肉や神経なのか判断できない場合は、一般内科を受診する方法があります。
一般内科では、症状の経過や既往歴を確認し、聴診、血圧測定、酸素飽和度の確認などを行います。必要に応じて胸部レントゲンや心電図、血液検査などを実施し、専門的な検査が必要と判断されれば適切な診療科に紹介されます。
近くに呼吸器内科や循環器内科がない場合も、一般内科は現実的な選択肢です。ただし、急激な症状や危険な兆候がある場合は、一般外来ではなく救急医療を優先してください。
【症状別に比較】呼吸器内科・循環器内科・一般内科は何が違う?
受診先を選ぶ際は、痛みの場所だけでなく、どのようなときに痛むのか、どんな症状を伴うのかを整理すると判断しやすくなります。
以下は、それぞれの診療科と関連する症状・病気の関係をまとめた比較表です。
| 診療科 | 主な症状 | 考えられる病気・異常 | 受診を検討する目安 |
|---|---|---|---|
| 呼吸器内科 | 深呼吸や咳で胸が痛む、痰、発熱、息切れ | 気胸、肺炎、胸膜炎、気管支炎 | 呼吸に関連した痛みや呼吸器症状がある |
| 循環器内科 | 胸の圧迫感、動悸、冷や汗、運動時の胸痛 | 狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全 | 心臓や血管の異常が疑われる |
| 一般内科 | 原因が分からない胸痛、軽い違和感、複数の症状 | 呼吸器疾患、循環器疾患、感染症など | 専門科を判断できず、最初に相談したい |
| 救急外来 | 突然の激痛、急な呼吸困難、失神、冷や汗 | 心筋梗塞、大動脈解離、重症気胸、肺血栓塞栓症など | 緊急性が高い症状がある |
「肺が痛い」と感じても肺の病気とは限らない
ここで知っておきたいのが、医学的には「肺そのものが痛い」という表現と、実際に痛みを感じる組織には違いがあるという点です。
肺の内部そのものは痛みを感じにくい一方、肺を包む胸膜のうち、胸壁側の胸膜には痛みを感じる神経が分布しています。また、肋骨、肋間筋、神経、心臓、食道なども胸痛の原因になります。
そのため、本人が肺の奥に痛みを感じていても、原因が胸膜炎や肋間神経痛、筋肉の炎症、心臓の病気である可能性があります。
日本呼吸器学会の呼吸器Q&Aでも、胸痛の原因として肺や胸膜の病気だけでなく、心臓や血管、神経、筋肉、骨、消化器の病気などが紹介されています。
【原因を徹底整理】深呼吸すると胸が痛い・咳をすると痛い場合の病気
深呼吸や咳によって痛みが強くなる場合、呼吸に伴って動く胸膜や胸壁に原因がある可能性があります。
ただし、この症状だけで病気を特定することはできません。特に突然発症した胸痛や息苦しさは、緊急性の高い病気でも起こります。
1.気胸:突然の片側の胸痛と息苦しさ
気胸は、肺から空気が漏れ、肺と胸壁の間にある胸腔に空気がたまる病気です。その結果、肺が縮んでしまうことがあります。
代表的な症状は次のとおりです。
- 突然、片側の胸が痛くなる
- 深呼吸すると痛みが強くなる
- 息苦しさや息切れが現れる
- 乾いた咳が出る
- 肩や背中に違和感が広がることがある
自然気胸は、比較的若い人にも発症します。日本呼吸器学会のQ&Aでも、突然の胸痛と息苦しさ、深呼吸による痛みの増強が特徴として説明されています。
気胸は症状の程度に幅があり、軽い不快感だけの場合もあります。しかし、肺が大きく縮む場合や緊張性気胸に進行する場合には、生命に関わる危険があります。
突然の胸痛に息苦しさが伴う場合は、自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関で評価を受けてください。強い呼吸困難や急激な悪化があれば119番が必要です。
2.肺炎:咳・発熱・痰と胸の痛み
肺炎は、細菌やウイルスなどの病原体によって肺に炎症が起きる病気です。
主な症状には次のものがあります。
- 咳が続く
- 黄色や緑色などの痰が出ることがある
- 発熱や悪寒がある
- 息切れや呼吸の速さが目立つ
- 深く息を吸うと胸が痛むことがある
- 全身の倦怠感や食欲低下がある
肺炎による胸痛は、炎症が胸膜に及んだ場合などに生じます。また、激しい咳が続くことで胸の周囲の筋肉に負担がかかり、痛みが出る場合もあります。
日本呼吸器学会は、持続する咳、痰、高熱、息苦しさ、息を吸ったときの胸痛などを肺炎の受診判断に関わる症状として挙げています。
特に高齢者では、典型的な発熱や咳が目立たず、食欲がない、元気がない、ぼんやりしているといった変化が先に現れる場合もあります。
発熱と胸痛、呼吸症状が重なっている場合は、呼吸器内科または一般内科を早めに受診してください。
3.胸膜炎:息を吸うと鋭く痛む
胸膜炎は、肺を包む胸膜に炎症が起きる病気です。
胸膜は呼吸のたびに動くため、炎症があると息を吸ったり吐いたりする動作に合わせて痛みが生じることがあります。
代表的な症状は、深呼吸や咳で強くなる胸痛、発熱、悪寒、息苦しさなどです。感染症が原因となる場合もあり、肺炎に伴って発症することもあります。
呼吸のたびに胸が鋭く痛む場合は、胸膜炎だけでなく気胸や肺血栓塞栓症なども考慮する必要があります。
4.肺血栓塞栓症:突然の胸痛と呼吸困難に注意
肺血栓塞栓症は、主に足や骨盤の深い静脈にできた血栓が血流に乗って肺の動脈に移動し、血管を詰まらせる病気です。一般にエコノミークラス症候群としても知られています。
代表的な症状は次のとおりです。
- 突然始まる息切れや呼吸困難
- 胸や背中の痛み
- 咳や血の混じった痰
- 動悸や脈拍の増加
- めまいや失神
- 片足の腫れや痛み
大きな手術の後、長期間ベッドで安静にしていた場合、長時間の移動などで足を動かさない時間が続いた場合には、血栓形成への注意が必要です。
日本呼吸器学会は、突然の息切れや胸痛、咳などを肺血栓塞栓症の症状として紹介しています。
この病気は急速に重症化することがあります。突然の呼吸困難や胸痛、失神などがあれば、外来予約を待たず119番で救急車を要請してください。
5.肋間神経痛・筋肉痛・肋骨の異常
胸の痛みは、肺や心臓ではなく、胸壁にある神経や筋肉、骨が原因で起こる場合もあります。
肋間神経痛は、肋骨に沿って走る神経が刺激されることで、鋭い痛みやピリピリした痛みが生じる状態です。
次のような特徴があります。
- 胸の一部分がチクチク痛む
- 体をひねると痛みが強くなる
- 深呼吸や咳で痛む
- 特定の場所を押すと痛みが再現される
- 片側の肋骨に沿って痛みが広がる
また、激しい咳や運動による筋肉の負担、肋骨の損傷、帯状疱疹などでも胸痛が生じます。
ただし、押すと痛いからといって重大な病気が完全に否定できるわけではありません。初めての強い胸痛や、息苦しさを伴う痛みは医療機関で確認する必要があります。
6.心臓・血管の病気や消化器の異常
胸痛の原因として忘れてはいけないのが、心臓や血管の病気です。
狭心症では、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなり、運動時などに胸の圧迫感や締め付けられるような痛みが起こることがあります。
心筋梗塞では冠動脈が詰まり、心臓の筋肉に十分な血液が届かなくなります。胸の強い痛みや圧迫感、冷や汗、吐き気、呼吸困難などを伴う場合があります。
さらに、大動脈解離は大動脈の壁が裂ける重篤な病気です。突然の激しい胸痛や背部痛が特徴で、痛みが移動することもあります。
一方、逆流性食道炎などの消化器疾患でも、胸の中央に痛みや焼けるような感覚が出る場合があります。
胸痛は呼吸器だけの問題とは限らないため、症状を総合的に評価することが大切です。
【左側・右側で違う?】肺が痛い場所から原因を判断できるのか
「肺が痛い 左側」「肺が痛い 右側」と検索する人が多い背景には、痛む場所によって病気をある程度絞り込めるのではないかという疑問があります。
実際には、左右の違いは診察の参考にはなりますが、それだけで原因を特定することはできません。
左側の胸が痛む場合
左胸には心臓が位置しているため、狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気を考慮する必要があります。
特に胸の中央から左側にかけて締め付けられるような痛みがあり、運動時に悪化する場合や、冷や汗、吐き気、息苦しさが伴う場合は注意が必要です。
ただし、左側の痛みが必ず心臓の異常を意味するわけではありません。左側の気胸、胸膜炎、肺炎、肋間神経痛、筋肉の炎症などでも痛みが起こります。
右側の胸が痛む場合
右胸の痛みでは、右側の気胸、肺炎、胸膜炎などの呼吸器疾患が考えられます。
また、肋骨や肋間筋の異常、神経痛などが原因になることもあります。右上腹部に近い場所の痛みが胸や肩に広がる場合には、胆のうなど腹部の臓器が関係することもあります。
右側だから心臓とは無関係だと判断するのは危険です。心臓や血管の病気による痛みは、必ずしも典型的な左胸痛として現れるとは限りません。
左右よりも確認したい5つのポイント
医師が胸痛の原因を調べる際には、痛む場所だけでなく、次の情報が重要になります。
- 発症時期:突然始まったのか、数日かけて徐々に痛くなったのか。
- 痛みの性質:刺すような痛み、締め付けられる痛み、焼けるような痛みなど。
- 呼吸との関係:深呼吸や咳で痛みが強くなるか。
- 身体の動きとの関係:姿勢を変えたり、身体をひねったりすると痛むか。
- 伴う症状:発熱、痰、息切れ、動悸、冷や汗、吐き気などがあるか。
これらの情報は、呼吸器疾患、循環器疾患、筋肉や神経の異常などを見分けるための重要な手がかりになります。
【救急車を呼ぶべき?】胸痛の危険なサインと受診目安
肺や胸の痛みで最も注意したいのは、重大な病気の兆候を見逃すことです。
胸痛の中には、時間を置かずに救急対応が必要になるものがあります。厚生労働省の「こんな時は迷わず119へ」でも、胸や背中の突然の激痛、急な息切れや呼吸困難、胸の中央が締め付けられるような痛みなどが、救急車を呼ぶべき症状として挙げられています。
すぐに119番へ連絡したい症状
次の症状がある場合は、自分で診療科を探すよりも救急車を要請してください。
- 突然の激しい胸痛:これまで経験したことがないような強い痛み。
- 急な呼吸困難:息が吸えない、呼吸が苦しい、安静にしていても息切れする。
- 胸の強い圧迫感:胸の中央が締め付けられるような痛みが続く。
- 冷や汗や吐き気:胸痛とともに顔色が悪くなり、冷や汗や吐き気が出る。
- 失神や意識障害:突然倒れる、意識がもうろうとする。
- 背中に広がる激痛:胸から背中にかけて裂けるような痛みが突然現れる。
- 急激な全身状態の悪化:唇や顔色が青白い、立っていられないなどの症状がある。
特に、胸の中央が締め付けられるような痛みが2~3分続く場合や、突然の激痛、急な呼吸困難は注意が必要です。痛みが一時的に軽くなっても、重大な病気が否定されたわけではありません。
自分で運転して病院へ向かうことは避け、救急車の到着を待ってください。
当日中の受診を検討したい症状
救急車を必要とするほどの症状がなくても、次のような状態では早めの受診が適しています。
- 深呼吸すると胸が痛む状態が続いている
- 咳をすると胸や背中が痛む
- 発熱と胸痛が同時に現れている
- 咳や痰が長引き、息苦しさも出てきた
- 片側の胸に新しい痛みが出てきた
- 以前より息切れしやすくなった
- 手術後や長期安静後に胸痛や息切れが出た
特に高齢者、心臓や肺の持病がある人、免疫機能が低下している人は、症状が軽く見えても早めに相談することが大切です。
迷ったときは救急相談窓口も活用する
救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合、地域によっては救急安心センター「#7119」などの電話相談を利用できます。
ただし、#7119の実施状況や利用条件は地域によって異なります。明らかな呼吸困難、意識障害、突然の激しい胸痛などがある場合は、相談窓口への電話で時間を使わず119番を優先してください。
【病院では何を調べる?】胸部レントゲン・心電図・血液検査の内容
肺が痛い、胸が痛いという症状で受診すると、医師は痛みの原因を特定するために、問診や身体診察を行い、必要に応じて画像検査や心臓の検査を組み合わせます。
最初からすべての検査を行うわけではありません。症状や緊急度によって検査内容は変わります。
1.問診・聴診・酸素飽和度の測定
まず、いつから痛みがあるのか、どこが痛むのか、深呼吸や咳で悪化するのかなどを確認します。
あわせて、体温、血圧、脈拍、呼吸数、血液中の酸素飽和度などを調べることがあります。
聴診では、肺の呼吸音や心臓の音を確認します。呼吸音の左右差や異常な音は、診断の参考になります。
2.胸部レントゲン検査
胸部レントゲンは、胸の内部を画像で確認する基本的な検査です。
主に次のような異常を調べます。
- 肺炎による肺の陰影
- 気胸による肺の縮み
- 胸水の貯留
- 肺や胸部の構造的な異常
検査時間が比較的短く、呼吸器疾患の初期評価に役立ちます。
ただし、胸部レントゲンだけですべての病気が分かるわけではありません。肺血栓塞栓症や心筋梗塞などは、別の検査による評価が必要です。
3.心電図検査
心電図検査では、心臓の電気的な活動を記録します。
主に次のような異常を調べるために行われます。
- 心筋梗塞や狭心症を疑う心電図変化
- 不整脈
- 心臓に負担がかかっている兆候
胸痛がある場合、呼吸器疾患だけでなく心臓の異常を確認することが重要です。症状や発症時期によっては、繰り返し心電図を記録したり、血液検査を追加したりすることもあります。
4.血液検査
血液検査では、炎症の程度や心臓への負担、血栓の可能性などを調べます。
検査項目の例は次のとおりです。
- 白血球・CRP:感染症や炎症の評価に使用する。
- 心筋トロポニン:心筋の損傷を調べる際に使用する。
- Dダイマー:血栓が関係する病気の可能性を評価する際に参考にする。
- 血液ガス分析:必要に応じて酸素や二酸化炭素の状態を確認する。
Dダイマーが高いからといって、必ず肺血栓塞栓症というわけではありません。年齢や炎症、その他の病気でも数値が上昇するため、症状やほかの検査と合わせて判断します。
5.CT検査・心エコーなどの精密検査
胸部レントゲンや血液検査だけでは原因が分からない場合や、重大な病気が疑われる場合には、さらに詳しい検査を行います。
- 胸部CT:肺や胸膜、胸部の構造を詳しく確認する。
- 造影CT:肺血栓塞栓症など、血管の異常を調べる際に使用する。
- 心エコー:心臓の動きやポンプ機能、心臓への負担を確認する。
- 下肢静脈エコー:肺血栓塞栓症の原因となる足の血栓を調べる際に使用する。
日本呼吸器学会が紹介する肺血栓塞栓症の診断でも、胸部レントゲン、血液検査、心電図、心エコーなどに加えて、必要に応じて造影CTが活用されています。
重要なのは、胸部レントゲンが正常だからといって、心臓や血管の病気まで否定できるわけではないということです。検査結果は症状や身体所見と合わせて総合的に判断されます。
【受診前に確認】肺が痛いときに伝えるべき情報とよくある誤解
胸痛の診断では、検査結果だけでなく、患者自身が感じている症状の情報も重要です。
受診前に痛みの特徴を整理しておくと、医師が原因を絞り込むための参考になります。
医師に伝えたい7つの情報
- 痛みが始まった時期:今日突然始まったのか、数日前から続いているのか。
- 痛む場所:左胸、右胸、胸の中央、背中、脇腹など。
- 痛みの程度:軽い違和感なのか、動けないほどの強い痛みなのか。
- 痛みの性質:ズキズキ、チクチク、締め付け、圧迫感など。
- 痛みが強くなる動作:深呼吸、咳、歩行、運動、身体をひねる動作など。
- 一緒に現れる症状:発熱、痰、息切れ、動悸、冷や汗、吐き気など。
- 病歴や生活状況:持病、服用中の薬、喫煙歴、最近の手術や長時間の移動など。
痛みが出た時間や、その後どのように変化したかをメモしておくのも役立ちます。
誤解1:左胸が痛くなければ心臓は問題ない
心臓の病気は左胸だけに痛みが出るわけではありません。胸の中央、背中、肩、腕、顎などに症状が広がることもあります。
右胸の痛みであっても、心臓や血管の異常を完全には否定できません。左右だけで自己判断しないことが大切です。
誤解2:深呼吸で痛むなら筋肉痛に違いない
深呼吸で痛む場合、筋肉や肋間神経の問題だけでなく、気胸、胸膜炎、肺炎、肺血栓塞栓症なども考えられます。
呼吸によって痛みが強くなるという情報は、診断の手がかりにはなりますが、それだけで安全な痛みと判断することはできません。
誤解3:胸部レントゲンに異常がなければ安心
胸部レントゲンは有用な検査ですが、すべての胸痛の原因を発見できるわけではありません。
心筋梗塞や肺血栓塞栓症などは、心電図、血液検査、造影CTなどを組み合わせて評価する必要があります。
誤解4:痛みが軽ければ病院に行かなくてもよい
痛みの強さと病気の重症度が必ずしも一致するとは限りません。初期には症状が軽くても、時間の経過とともに悪化する病気があります。
特に、突然始まった痛み、息苦しさを伴う痛み、徐々に悪化する痛みは注意が必要です。痛みが軽くても新しい症状が続く場合には、早めに医療機関へ相談してください。
【肺が痛いときは何科を受診するか】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:肺が痛いときは最初に何科へ行けばよいですか?
A1:咳、痰、発熱、深呼吸で悪化する胸痛などがあれば呼吸器内科が候補です。胸の圧迫感や動悸、運動時の痛みがある場合は循環器内科を検討します。原因が分からない場合は一般内科でも相談できます。突然の激痛や呼吸困難がある場合は119番を優先してください。
Q2:深呼吸すると胸が痛い場合、何科に行けばよいですか?
A2:呼吸器内科が主な受診先です。気胸、胸膜炎、肺炎などが原因となる場合があります。ただし、肺血栓塞栓症など緊急性の高い病気でも起こる症状です。突然の痛みや息苦しさがある場合は救急受診が必要です。
Q3:咳をすると肺が痛いのは肺炎ですか?
A3:肺炎の可能性はありますが、咳による筋肉痛、肋間神経痛、胸膜炎、気胸などでも痛みが生じます。発熱、痰、息切れなどを伴う場合は、呼吸器内科または一般内科を早めに受診してください。
Q4:肺が痛いのが左側だけの場合は心臓の病気ですか?
A4:左胸には心臓が位置していますが、左側の痛みだけで心臓の病気と判断することはできません。気胸、肺炎、胸膜炎、肋間神経痛などでも左胸が痛くなります。圧迫感、冷や汗、息苦しさなどがある場合は心臓や血管の病気も考慮し、緊急性を判断してください。
Q5:右側の肺が痛い場合も気胸になりますか?
A5:なります。気胸は左右どちらの肺にも起こり得ます。突然の片側の胸痛や息苦しさ、深呼吸による痛みなどが特徴です。症状が出た場合は速やかに医療機関で診察を受けてください。
Q6:肺が痛いときは胸部レントゲンだけで原因が分かりますか?
A6:胸部レントゲンで肺炎や気胸などが見つかることはありますが、すべての原因を判断できるわけではありません。必要に応じて心電図、血液検査、CT、心エコーなどを追加します。
Q7:胸の痛みがある場合、どのくらい続いたら病院へ行くべきですか?
A7:痛みが続く場合や繰り返す場合は、期間だけで判断せず受診してください。突然の激しい胸痛や呼吸困難、冷や汗、失神などがあれば、発症からの時間に関係なく119番が必要です。発熱や息切れを伴う場合も、当日中の受診を検討してください。
まとめ:肺が痛いときは症状に合った診療科と早めの判断が大切
肺が痛いと感じた場合、基本的な受診先は呼吸器内科、循環器内科、一般内科です。
深呼吸や咳で痛む場合は気胸、肺炎、胸膜炎などの呼吸器疾患が考えられます。一方、胸の圧迫感や動悸、冷や汗などを伴う場合は、狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患にも注意が必要です。
また、肺血栓塞栓症や大動脈解離のように、初期対応の遅れが重大な結果につながる病気もあります。
受診先を判断する際に覚えておきたいポイントは、次の3つです。
- 呼吸に関連する症状が中心:呼吸器内科を検討する。
- 胸の圧迫感や動悸が中心:循環器内科を検討する。緊急症状があれば救急車を呼ぶ。
- 原因が分からない:一般内科に相談し、必要に応じて専門診療につなげてもらう。
そして、突然の激しい胸痛、急な息切れ、冷や汗、失神などがある場合は、診療科選びに時間をかけず119番へ連絡してください。
胸の痛みは、身体が発している重要なサインです。痛みの場所や強さだけで自己判断せず、症状の変化を確認しながら適切な医療機関につなげることが、自分の健康を守るための第一歩です。
主な医学的根拠資料
- 日本呼吸器学会「急に胸が痛くなり良くなりません。心臓や肺の病気でしょうか?」
- 日本呼吸器学会「市中で起こる肺炎」
- 日本呼吸器学会「肺血栓塞栓症」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- 総務省消防庁「緊急度判定プロトコルVer.3」
(出典: 肺 が 痛い 何 科(Yahoo!ニュース))